とある町の物語
空のワインボトルが転がるテーブルに、彼女は突っ伏していた。
「無惨ですね。今月に入って、もう五件目ですよ」
「ああ、全て同一人物がやったと見て、間違いないだろうな」
「現場に残されているのは、見るに耐えない女性の亡き骸と、空のワインボトル、か・・・」
小奇麗なスーツを羽織った二人組。すると、一人が白い手袋を嵌め、空のワインボトルを掴かんだ。
「ぺカード=ヴェレーノ、1944年物ですね」
「随分と、高価な酒を用いているな」
「アルコール度数も高いですからね。最後くらいは、いい酒を飲ませたいとかいう、狂った頭をしてるんじゃないですか?」
「本当に狂ってんのは、この町なのかも知れねぇがな───」
そう言って、一人は窓の外から町を見渡した。
欲望に規制が掛けられたこの町で、正常な奴らは何処にも居やしない。
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