柵越

 柵を越えた。きっと、何かの境目とされていたのだろう。けれど、こんな僕でさえも、いとも簡単に飛び越えられる程の小さな柵。


 一体、何の意味があってここを隔てているのか。荒野を伸びる背の低い柵は、何処までも何処までも伸びている。この世界をぐるっと一周してきてしまうのではないかと思えるくらいに、遥か向こうでは、かすれて見えなくなっている。


 何と何を、何の為に、誰がこの柵を設置したのか。そして、この柵は必要なのか。この荒野に、この柵は何の意味を成しているのか。


 


 時が過ぎ去れば、意味を持たなくなるものが、この世界では殆どだ。

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