無声映画

 カーテンで締め切られた薄暗い部屋に男が一人。座椅子に座り映画を見ている。ここにはもう帰ってこない、あの子が好きだった白黒の無声映画。


 マグカップに残った、冷えたきった珈琲を飲み干し、彼はぼやく。


「言わなきゃ分かんないこともあるよ・・・」


 マグカップの底からは、珈琲が漏れ出ている。

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