第30話政府軍 対 革命軍

龍真との立ち話から終わってから私、ミリナはウィリアムと共にある人物と落ち合った。1人は赤い髪の幼女、1人は仮面をつけた不気味な男。


「私が依頼主っす。名はミリナ・アルベルク」


「ほう、お主が依頼主という訳か。それにしても若いな。内容はこの国のトップの暗殺で良いんじゃな。」


「はいっす。裏ギルドのあなた達に頼むなんて夢にも思わなかったけど、意外とこの国手強いっすからね。

報酬はこの革命が終わり次第払います。」


「おい、そこの男は何だ?」


「私のボディガードっす。私の魔力アビリティで記憶を改竄して、元々私に仕えていたという風に記憶を書き換えました。私の盾っす!」


「ふっ!面白いな…。こちらもギルドの魔道士を何人か用意した。好きに使え。


「後、貴方のギルドの団長が加勢するって言ってました。」


「ほう?団長が…。まあ、この国なんかには興味ないんだろうがな。ほかの人物に興味があるとか。

まあ良い、目的は現政権を潰す事だな。」


「そうっす。」


そして、私は革命軍に名乗りをあげる部隊が待っているアジトへと足を運んだ。私はこの国に復讐する。

絶対に…。仇を討つために。


私は今にも雨が降りそうな空を見上げて拳を握った。

そして、父親のことを思い出した。


あれは10年前、だった…。





私が丁度8歳の頃、今の政権のトップ、アスカのお父さんディアル・ユースフォードが選挙によって当選した。その時私のお父さんはA級魔道士であり、それなりに発言力はあった。


経済省のディアルは国を強くするため、経済を活発にし、たちまち暮らしは豊かになり、国は発展していった。だから、人気も凄まじく、一強状態であった。そして、

アスカの禁忌のアビリティの実験が成功し、莫大な力を得て政権のトップに上り詰めた。でも、アスカ本人は実験のことを覚えていない。

私がその記憶を改竄したから…。


その勢いに乗り、誰も口を出すものは居なかった。まだそこまでは良かったのだ。

禁忌のアビリティの研究を国が力を入れて始めた。丁度10歳になると適合検査を受けさせられる。

私の父親は知っていた。その実験が悲惨であることを。


アスカは奇跡の成功であって、ほかの者には適合せずに魔力中毒を起こし、次々と同い年の子供が死んでいった。そして、私も受けることとなった。


実情を知っている私の父親は必死で私を守った。

だが、Aランクの娘となると力を持っていることが多く、事実私は持っていた。

しかし、私の父親は必死で私を守り、自分が地上探査に行くからやめてくれと言って、私の検査は行われなかった。


結局父親は地上探査から帰ってこなかった。私はアスカの父親はディアルを恨んだ。でも、アスカには私と同じ気持ちを味わって欲しくない、自分の忌み嫌われているアビリティが父親の研究で得た物だと。


だから、私は記憶を改竄した。アスカを巻き込みたくない。だから、裏ギルドに頼んで、地下街で足止めをしてもらった。


計画は予定通り進んでいるはずだ。


「必ず、ディアルを葬り去って、大罪人として処罰する!」


私は強くそう心に刻んだ。私は同志の仲間たちが待っている倉庫へと向かった。

私と同じディアルを恨んでいる者たち。


私とウィリアムは倉庫の扉を鍵で開け、中に入った。

中には血の気の多い野蛮な人から、誠実な魔道士まで幅広い層の人間が蔓延っていた。


「随分待たせたっす!計画は順調っすね。あとは皆んなの力を借りるだけ。この国のディアルの首を取り、復讐する。それが私達の目的だ!」


そういった瞬間、歓声が上がった。人それぞれ複雑な気持ちを抱き、この場に集まっている。

でも、この戦いで気持ちは晴れやかになる。


「私達でこの国を変える!!」


「ウォー!!!」


「潰す!!!」


私は心強かった。こんなに仲間がいるなんて、そしてこの国を、変えられるということがとても嬉しかった。


そして、シャッターを開けると珍しくレイン共和国に雨が降っていなかった。

そして、後方から援軍の裏ギルド魔道士が集まっていた。数は30人程度だが、どれも魔道士の能力に長けたいる実力派であると聞く。


そして、私たちは大統領の邸宅へと向かった。私達の行動に感づいていたのか、警備はいつもよりも多かった。そして、私は大軍を率いて、大統領の邸宅へ向けて巨大な火球を放った。


地上に轟音が鳴り響き、邸宅にいる人間は異変を感じ外を眺めていた。そして、私達の軍は邸宅を、襲撃する班と軍の施設を襲撃する班に別れた。


「クーデターが起こったぞ!」


邸宅の方からはそう声が聞こえた。私達の革命が今から始まる。父親の恨み晴らす!


軍もすぐさま駆けつけ、魔道士との戦闘が始まった。

あたりは魔法の弾ける音や、魔法陣で埋め尽くされていた。


私も戦いに加勢した。ウィリアムを同行させて…。


「火属性魔法 蒼火!」


広範囲に蒼い炎が吹き荒れ、相手の魔道士を襲った。

青い炎は相手の魔道士に燃え移り、悶えていた。


この光景は夢に見た光景であった。

軍と激しい戦闘を繰り広げる!


「たぎるっすね〜!!!」


そう言って、私は満面の笑みを浮かべ、魔法を放ち続けた。

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