第16話解術の方法

私は一旦距離を取るため、迷路のように広がる王宮内を駆けた。そして、会議室に入り込み、体を隠した。


そして、あることを検証するためそこに息を潜めた。

まともに戦ったら、相打ちになる。それは先ほどの戦いで分かった。

自分のダメージが相手に反映されるなら、偽物の私は自分にダメージを与えれば良い。しかし、一向に私にダメージは来ない。


そこにヒントがあるはずだと私は考えた。しかし、答えに繋がる手立ては無かった。

そして、廊下の方からはコツンコツンと足音が聞こえた。私は息を潜めながら身構えた。


その後ドアノブが回された音がした。キーとドアは開き偽物の私は辺りを見渡した。

そして、私を見つけると私の下に魔法陣を展開させた。


「光属性魔法 光球爆破」


私は突然の攻撃に対処できず、光球の爆風に飲み込まれた。私は、吹き飛ばされ壁に体を強く打った。

そして、強い衝撃が私の意識を削ごうとした。


私は力強くはを噛み締め、遠のく意識を必死に繋いだ。偽物の私も同様のダメージを受け、強い衝撃を受けていた。


「どうしたら良いの?」


私はその言葉を必死に心の中で反芻し、頭を回転させたが、混乱するばかりであった。

そして、私はスーッと息を吐き、呼吸を落ち着かせた。頭を一旦リセットさせた。


「幻術の解き方は、術者を第三者が倒すか、幻術解除のトリガーを探すこと。でも、幻術の魔力所持者はそういない…。私の中で知ってる幻術の術者と言えば…。」


私は解決策を得るべく、偽物の私に会話をして見ることにした。


「もう一度聞くわ。あなたの目的は何?」


「魔龍を倒して認めてもらうこと。」


「なぜ認めさせるの?」


「父親に家族としてもう一度見てもらいたいから。」


偽物の私はそう切実に答えた。このやり取りで少し気づくことがあった。それは、この偽物の私は私の弱い部分であるということ。私を構成している一部であるという事。


その自分を消そうとすると、ダメージが食らう。それは、自分を構成している要素を壊すことになるから。


やるべきことは…。


その時、偽物の私はそんな私の考えもお構いなしに、

私の足元に魔法陣を作り出した。


「光属性魔法 光球爆破!」


私は魔法陣にすぐ気付き、後ろに飛び爆破を回避した。爆破により、会議室の机や椅子は粉々になった。


煙が会議室を覆った。そして、視界が悪くなったところで私は会議室の窓を破り、外へ出た。

幻術の中と言っても、外の風景は現実の風景と一切変わりはなかった。


そして、庭走り建物の角に息を潜めた。相手に位置を知らせないよう、私は小声で


「光属性魔法ホーリー・ノヴァ」


と言い、足元に魔法陣を作り出し、地面に仕掛けた。

魔法陣の起動は時間差で操ることができる。


そして、私はわざと見つかるように庭へ出た。偽物の私は私を見つけると私に向かって走り出した。


すると私を囲むように魔法陣をセットした。

私は魔法陣が起動する前に、詠唱を始めた。


「水属性魔法 アクア・バリア!」


そう言うと私の周りに水の障壁が現れ、私を取り囲んだ。その瞬間、


「光属性魔法 光球爆破」


と偽物の私は言い、沢山の魔法陣から現れた光球は一斉に爆破した。私はその爆破に飲み込まれたが、アクア・バリアのお陰で無傷で済んだ。


バリアを張ってなければ、確実に共倒れであった。

敵の術者であったら、もっと確実に仕留められる幻術を作り出す筈なのに。


「あなたは私、私はあなた…。」


私は偽物の私にそう言った。何か思いついた訳でもない。なぜか私の口が勝手に動いた。


「そうだよ。」


「でも、あなたは私であって私ではない。」


「いえ、私はあなた。だから、こうやってどっちの私が強いか勝負をしている。」


「こんなの勝負じゃないわ。あなただってわかってるんでしょ、この戦いに勝負がつかないって。」


「……」


私がそう言うと、偽物の私は気まずそうな顔を浮かべながら、黙った。


「何が言いたいか、分かる?」


「…」


依然として、偽物の私は沈黙を保った。そして、私は先程仕掛けた魔法陣に向かうべく、建物の角に向かって走り始めた。


そして、偽物の私は私を追いかけようとしたが、追いつくのは不可能であった。そして、仕掛けた魔法陣を起動させ、私が魔法陣を仕掛けたところに倒れ込んだ瞬間、私は魔法陣を起動させた。


「光属性魔法 ホーリー・ノヴァ!」


後ろを振り向くと、偽物の私は微笑を浮かべていた。

この幻術のトリガーは、自分の弱さを受け入れ、自滅すること。だから、偽物の私は自分自身を攻撃しなかった。


私の過去から作り出された、私が消えてしまうから…。


そして、まばゆい光とけたたましい騒音とともに私は光の中に消えていった。ほんの数秒の出来事であった。


そして、私の意識は完全に消え、目を開けるとそこにはルイの怒りの声が聞こえた。そして、もう一つの声を聞き確証を得た。


この声、このトーン、口調それはアルト帝国で大罪を犯し、消え去った。私の師であり、兄である、

魔道士 Sランク 【幻術】の アルブラット


そして、私はそいつの顔を見た。しかし、仮面をつけていた。

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