第15話幻術の魔道士

私とルイは庭のケルベロスを倒した事により、結界が壊れ、窓を割り、王宮内に進んだ。王宮内は、人が極度に少なく、異様な雰囲気を醸し出していた。そして、中の廊下は薄暗く、所々に絵画が静かに佇んでいた。


誰のくる気配もなく、私達は廊下を進んだ。私達の足音だけが、廊下内に響き渡った。

王宮内は迷路のように道があり、どこに繋がってる道かを判断するのは容易ではなかった。


「気味悪いわね。」


「はい、私もこの雰囲気は嫌いです。」


「ルイって、なんでいつも敬語なの?龍真に対しても。」


「目上の人なんで、礼儀を払わなければならないと思って…。」


「そ、そうだよね。」


そして、私とルイの間には沈黙が流れた。私はとても気まずかった。いつもルイの世話は何だかんだで龍真がしていたので、実際あまり私がルイの世話をしなかったからあまり扱い方が分からない。


私はこの気まずさに耐えられそうもなかった。


「そうだ、ルイの苗字って何なの?」


「それが、分からないんです。昔の記憶があまりないと言いますか…。」


そして、また私とルイの間には沈黙が流れた。触れちゃいけない事を、聞いてしまった感じがして、私は多少の申し訳なさを感じた。

しかし、昔の記憶が無いというのは少し気がかりであった。


そんなことを話して歩いていると、私の視界はどんどん曇っていった。必死に重くなっていく瞼をあげようとするが、無理であった。


そして私はほぼ視界が閉ざされ、その場に倒れた。最後に見た光景は仮面をつけ、杖をついた人が目の前に立っている光景であった。


私が目を開けると目の前には私が立っていた。

そして、もう1人の私は不気味に微笑んでいた。


「あなたって無能な存在よね…。龍真には逃げられ、ルイに助けられる。あなたは仮にも最高魔道士の称号8の枢要罪の色欲。聞いて呆れるわね。」


私は、もう1人の私が言っていることがぐさっと胸に突き刺さった。何も言い返しようのない言葉であった。


しかし、まずこの場所はさっきいた場所と同じ風景であるのは間違いない。しかし、隣にはルイがいない。そして、前には私がいる。


この状況は相手の作り出した状況で間違いないのは分かっていたが、抜け出す手立ては何もない。

まず、この私が何なのかを突き止めなければならない。


「あなたは何なの?」


「私はエルゼ・ユースティティアよ」


「何が目的?」


「魔龍を倒して、父に認めてもらうこと。」


「何でそれを知ってるの?」


「何度も言ってるわよ。私はあなただから。」


今の会話で分かったことは、あれは自分を映す鏡だと言うこと。でも、一体何をどうしていいか分からない。


そして、もう1人の私が口を開いた。


「下らない質問されても無駄な時間だわ。どっちの私が強いか勝負しましょう。それで勝った方が体を手に入れる。」


「良いわよ、偽物になんか負けないわ!」


私はそう言って、魔法陣を展開させ、


「光属性魔法 ホーリー・ノヴァ」


と言うと、すかさず偽物も


「光属性魔法 ホーリー・ノヴァ」


と言った。そして二つの魔法は当たり、相殺した。その衝撃で私達は吹っ飛び壁に激突した。


「痛たた…。」


私は腰を打ち、腰を抑えた。しかし、打ってない頭も激痛が走った。私は当たった衝撃で頭痛が起きたんだろうと想像した。


偽物は立ち上がったが、頭を抑えていた。

私は立ち上がるとすかさず魔法を詠唱した。


「闇属性魔法 影縫い」


すると、私は一瞬消え、偽物が作り出す影から現れた。そして、近距離で


「風属性魔法 烈風」


と言い、腹部に激しい風の塊を打ち込んだ。すると偽物は吹っ飛び、激しく地面に体を打ち付けた。


その瞬間、私は腹部に強烈な痛みを感じ、体全身が痛んだ。


「偽物が受けたダメージが私に帰ってきてる?」


私はこの現象が正しかったとすれば、間違いなく、偽物を倒すことはできないと言うことを悟った。


倒そうするのなら、相打ちしかない。じゃあなぜどちらが強いか決めようなんかを言っていたのか。


そして、気づかない間に偽物は私に向けて魔法陣を展開させていた。そして、ホーリー・ノヴァを打ち込んだ。


私は至近距離で食らったせいで、肩の傷口が開き、そしてとてつもない衝撃が私を襲った。

私が相手を見ると、かなりのダメージを食らっていたようなので、偽物も私が受けた衝撃は受けるみたいであった。


私はこの状況を一旦頭の中で整理した。


まず、どちらかが受けたダメージはどちらも受ける。

相手は私に攻撃をする。しかし、自滅して同じダメージを食らわせようとはしない。


最後にこれはどちらかが強いかを決められない。


私はこの状況から、導き出される最善の選択しを熟考した。しかし、その選択肢が未だはじき出されることは無かった。


「様子を伺うしかない。」


私はそう考え、相手の動きを見た。

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