第8話帝国アルト
帝国アルトにつくと町は異様な雰囲気であった。しかも、街並みも黒い建物ばかりが建ち並び、どんよりとした雰囲気が広がっていた。
ルイは様々な建物をみて好奇心旺盛に周りを見渡していた。しかし、エルゼは気が乗らない顔であった。
「普段は明るいお前がそんな顔をするなんて珍しいな。」
「そう?暗い顔なんかしてないわよ。」
「エルゼさん少し暗いです。」
エルゼは、ルイにそう言われ、頭を掻きながら、口を開いた。
「この国の皇帝が私のお父さんなんだよね・・・。」
「父親と会うのが嫌だと?」
「私のアビリティを知った瞬間捨てられちゃったからね。家族に・・・。」
「お前のアビリティは忌嫌われるものなのか?」
エルゼは少し悲しそうな顔を浮かべ、ゆっくりとうなずいた。
その顔ははかなげで俺には何もかける言葉はなかった。
「じゃあ、なぜこの国に来ようとしたんだ?嫌なんだろ・・・。」
「それは、家族としては捨てられていても、魔導士としては認めてもらってるから。ただ、それだけよ・・・。」
「そういうことか・・・。」
俺は、相槌を打ち、その話はそこで終わった。そして、エルゼは
「付いてきて。」
と言い道を案内した。住民の顔はアルテミアの国民比べると、とても暗かった。一言で言えば活気がなかった。そして、町の真ん中には巨大な建物がそびえたっていた。
「あれが、帝国アルト本部だわ。」
「でけーな・・・。」
俺はその大きさに息をのんだ。ルイは目を輝かせ、
「龍真さん大きいですね」
としゃべりかけてきた。本当に大きかった。黒い外壁に広大な敷地、中には警備兵のようなものが何人かいた。エルゼは門の前に立っている警備兵に手帳なようなものを見せ扉を開けてもらい、俺たちを手招きした。その前に、俺はエルゼの方に行き耳打ちをした。
「ルイはどうするんだ?」
「うちの国では℉ランクでも奴隷にしてないから同席してても大丈夫だわ。逆に℉ランクは重宝する存在よ。」
俺は言っている意味が分からず困惑したが後でエルゼに聞くことにし俺は深く追及しなかった。
門をくぐると、それは多くの魔導士たちが中にはいた。そして、エルゼの顔を見るなり、敬礼をした。
中の廊下は黒いカーペットが続き、中もどんよりしていた。
「黒が好きだな・・・。」
俺はぼそっとそうつぶやいた。そして、エルゼは建物の中心部分までスタスタと歩いて行った。すこし歩くと巨大な扉が見えてきた。扉には鍵がなく、どのように閉めているのか皆目見当もつかなかった。
「リオス皇帝、エルゼ・ユースティティアただいま戻りました。」
エルゼは扉の前で膝をつきそういうと、扉が勢いよく開いた。
「入れ・・・。」
部屋の中には皇帝の低い声が響き渡った。
俺は緊張感が漂うこの部屋に寒気を覚えた。
皇帝の顔は、赤い髪に、ひげを生やし、右目には眼帯をしていた。
明らかにやばいひとじゃねーか。俺は身震いをした。
「エルゼ、情報収集は終わったんだろうな。」
「はい・・・。」
「あの、珍しい髪色の男は誰だ?」
「龍真というSランクの人間です。」
「お前は、異界から来たそうだな?」
俺は何も言葉を発していないのに自分の素性がばれたことに驚いた。
「なぜそれを?」
「私の魔力アビリティの【思考解析】だ。相手の考えていることは何も言わなくても分かる。あの幼子が℉ランクだということも、お前が早く帰りたいと思っていることもな。」
思考が読めるなんて、どんなチートだろ。俺は、思考を読まれた恥ずかしさに耐えられなかった。
「まあ、魔導士の資格を与えるのは別に良いのだが、お前の力を図りたい、俺に魔力をぶつけてみろ。」
「じゃあ、お構いなく。」
「皇帝、この部屋でよろしいのですか?」
「案ずるな・・・。ろくに魔法を使ったことのない人間に負けるわけがない。」
俺はなぜかバカにしている態度が気に食わず俺は自分の手に魔力を集中させた。俺の体中からは黒い魔力が漂い始め、手に向かっていった。
手には黒い球体のようなものが形成され始め、俺はそれをそれをどんどん大きくし、
「闇属性魔法 魔結晶」
俺は巨大な魔力の結晶を放った。リオスは、余裕な表情を浮かべ呪文を唱え始めた。
「無属性魔法 神界」
リオスの手には白いオーラが漂い始め触れると同時に俺の技は消えた。
リオスは全て俺の技を消すと、拍手をし始めた。
「お前の魔力認めてやろう、かなりの実力者となる。魔導士の証として、魔力を増幅させる、このタリスマンをお前にやる。」
そういって俺の手元には銀色の中央には星形の文様が入り、外側には、魔法の術式が書いてあるものを手渡した。
「一つ忠告しておくが、魔龍はかなりの強敵だ、用心してかかれ。」
そう俺らに言い残し俺らは、部屋を出た。そして、そっと胸を撫でおろし、息を吐いた。
「そう、あなたに言ってなかったことを言うわ・・・。」
「℉ランクの秘密・・・。」
俺が一番気になっていたこと、俺は珍しく、耳を傾けた。
「でも、ここにはルイがいるから、ルイをここに預けて話すわ。」
そして、エルゼは警備兵にルイを引き渡し、少しの間、警備兵に世話をしてもらうことにした。
その後、俺とエルゼは一旦本部を離れ、喫茶店へと足を運んだ。喫茶店は落ち着いた雰囲気であった。
俺とエルゼはコーヒーを頼み、コーヒーをすすりながら会話を進めた。
「簡単に言うと、ルイ達℉ランクの人間は半魔族だわ・・・」
俺は、驚愕の事実を付きつけられ、言葉を失った。そして、これまでの疑問がすべてつながった。
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