第2話

ロッカーは黄色だか緑だかわからない色になっていた。

中には虫の破片のようなものが転がり、少し濡れているように見える。

私のロッカーの周りは雑菌が繁殖した藻のような匂いが漂っている。


昨日の授業で使った薬草やらの残骸を私のロッカーに捨てたやつがいるらしい。

私は次の授業で必要なものだけを取り出し、校庭へ向かった。


昼休み、もしくは放課後にでもロッカーを掃除しよう。



校庭にはほとんどの生徒が集まっており私は後ろのほうに並んだ。

「これから鉱物採集を行う。鉱物は我々魔法使いにとってなくてはならないものである。以前は個人が自分で必要な鉱石の採集をしていたが現在では企業が入り安定した供給が可能になっている。 しかし採集方法は知っておく必要がある。 十分に気をつけて行うように。」


鉱物魔術担当のアルクスはそう話すと懐から拳ほどの大きさの鉱物を取り出し(といっても彼の拳の大きさのためかなり大きい)ブツブツとなにか唱えた。


地面にその鉱物を落としたかと思うと地面からボコボコと岩が盛り上がり1枚の扉のようなものが出来上がった。


アルクスに続いて生徒が順番に扉へ入っていく。


私は最後にその扉をくぐった。


「さむ.....っ!!」


到着したのは鉱山の中腹


通りでコートを羽織った生徒が多いと思ったら...

私のコートは今頃ロッカーで芋虫の体液と仲良くやっているだろう。


この鉱山は古くから魔法族が鉱物魔法に使う鉱物を採取してきた山で、私が住む国の半分を半円のような形で囲んでいる。

そのせいで日が落ちるのがとても早くすぐに暗くなる。

多くの物語にもこの山は登場しするようなそんな山だ。


私は寒さをしのぐため洞窟で鉱物を採取することにした。

洞窟は以前採集が行われていた可能性が高く資源もとられた後のものが多いが、過去に採掘するに値する場所であったことを意味する。


私のように鉱物の場所を特定する魔力がなく、誰かと協力もできない者にはとっておきの場所だ。

取り残した鉱物が壁や地面に残っているかも知れない。


私は取り残しがあることがあることの多い洞窟の最深部を目指した。



ある程度奥まったところに私の腰の高さ程の岩を見つけた。

取り残しの鉱石がついていないか細かく調べる。


私はあることに気付いた。

先ほどから調べている岩、よく見ると幼いころ絵本で見たような架空の生き物のような形をしている。


いたるところに棘がのようなものがあり、地面に面した部分は4つにわかれている。

ひと固まりだと思っていた岩は長いものがとぐろを巻いているようにも見えた。


「これは....竜?」



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