第8話
数分の沈黙が続いた後最初に口を開いたのはシャルロットだった。
「慎さんどうでした?」
「どうと言われてもな......」
「そうですよね......」
ぴたりとまた会話が止まった。
俺はしばし考え......
「なぁ。お互いギルドカードに書いてあることを紙に書くってのはどうだ?」
「それはいいですね!そうしましょうか!」
「そうだな」
部屋の中にある机みたいな物の上に紙見たいな物と羽根ペンが置いてあったので俺はそれを手に取った。
「羽根ペンが一つしかないから俺から書くわ」
「はい!」
俺はギルドカードに書いてあったことをそのまま書き写した。
正直特殊能力のけだるげはいいとしてもハーレムは書き写したくなかった。
「書き終わったぞ。はい」
「ありがとうございます!しばしお待ちを」
シャルロットはどんな能力を持っているのか気になるな。
シャルロットが手に持っていた羽根ペンを置いた。
「書き写し終わりました!」
「よし。じゃあせーので見せるぞ」
「はい」
「せーの」
俺は目をつむりながら紙を前に出した。
シャルロットも同じように出したのだろうか静かだった。
静かだなと思ったのも束の間。クスクスと笑い声が聞こえてきた。
俺はなんか怪しいと思い顔を上げると......
「おい!何でお前は紙出してねーんだよ!」
「は......はい!......だってハーレムって......」
シャルロットは顔を赤くして涙を浮かべるほど笑っている。
「俺も知らねーよ!別に俺が望んだことじゃねーんだからよ!」
「はい!分かって......ます!でも......でも......」
シャルロットは今までにないぐらい笑っていた。
俺は少し照れくさかったがシャルロットの笑顔を見ていたらなぜだか胸がほっとした。
「もういい!いいからシャルロット見せろよ!」
「はい。どう......ぞ......」
(まだ笑いやがって)
俺はシャルロットの書き写した紙を見た。
まず思ったこと。それは。
字がめっちゃ綺麗。
「シャルロットお前めっちゃ字綺麗だな」
「いえ。それほどでも」
スキルやステータスに目がいくよりも字の綺麗さに目がいってしまった。
さて本題に入ろうか。
気を取り直してもう1回見た。
シリア・シャルロット
レベル1
職業:未定
種族:エンジェルフ
攻撃力:120
防御力:170
魔法攻撃力:350
魔法防御力:500
素早さ:200
運:100
(何これ。俺より全然いいじゃん)
まぁ見た感じ俺よりはいいということが分かる。
俺は一つ不思議な所を見つけた。
「なぁシャルロットこの種族ってどういう種族なんだ?」
「......」
俺はシャルロットから嫌な何かを感じ取った。
「そっか。別に無理して話そうとしなくてもいいよ」
「いえ。話します」
「分かった」
彼女の顔が真剣な顔になった。
「エンジェルフとは天使とエルフの間に生まれた者のことです。この世に少数しかいない特殊な種族なんです」
「そうか」
俺はこの生活を楽しんでいてこの世界がリベリアルファンタジアに似通った世界だということを忘れていた。
リベリアルファンタジアではエンジェルフという種族はなかった。
「でも何でそんなに深刻そうな顔してんだ?」
「エンジェルフは昔から奴隷として扱われてきたものですから。話せば奴隷にされるかもと、......」
彼女はうっすらと涙を浮かべていた。
「俺は絶対にそんなことはしない」
「え......」
「えじゃねーよ!俺はお前のことをそんな風に絶対に扱わない!」
途中から何言ってんだろうと思った。
「慎さん......」
「シャルロットのことは絶対に守る!絶対にだ!」
「慎さん......」
彼女の目からは大量の涙が零れ落ちていた。
俺は自分で思っていた以上にシャルロットのことを大切に思っていたらしい。
彼女は涙を拭ったあとすぐに天使のような笑顔で笑った。
俺たちでは強さが分からないためステータスは他の冒険者に聞くことになった。
特殊能力は伏せておこうと言うことになった。
俺はまだこの時シャルロットの記憶が失われていることを知らずシャルロットの記憶が重要な鍵だと言うことを知る由もなかった。
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