第7話


俺はギルドカードの入った封筒を受け取りシャルロットの元へと歩いていった。

「シャルロット待たせたな」

「いえいえ。私も今終わったところですから」

「どこで開ける?」

「多分これを見せるだけでも宿代は安くなると思いますので宿をとってから見ましょう」

「そうだな」

俺たちはギルドを出て宿へと向かった。

「105・106号室の鍵はこちらになります」

宿に着いてカウンターに行くとさっき来た時と同じ応対で封筒を見せたら割引きしてもらえた。

「じゃあとりあえず荷物を置いて、整理してからお披露目と行こうか!」

「そうですね!それじゃ後でです!」

シャルロットは寂しそうな顔をしていたが天使のような笑顔で笑った。

「さて、俺も部屋に入るか」

部屋の扉を開けるとまぁ悪くはなかった。

日本のホテルと比べると断然日本の方が便利だし清潔ではあるのだが、ここも全然綺麗なほうだ。

「よし!一通り終わったな!それじゃ開けるか!」

内心俺は緊張もしており楽しみでもあった。

俺は封筒を手に取り開けた。

中からはクレジットカード程の大きさでプラスチックのような素材で出来ていた。

封筒の中には何やら説明書らしきものが入っていた。

「んーなになに?」


・一つ。ギルドカードを失くした場合新しく発行は出来ません。

・二つ。ギルドカードは当人しか見れない。

・三つ。クエストの報酬や高難易度クエストをクリアしていくと称号が与えられギルドカードが銅、銀、金、プラチナとなる。

・四つ。ギルドカードに入っている個人情報や能力を安易に他人に教えないこと。


「以上か......」

なんというか案外普通だった。

さて次はお目当てのギルドカード。

今ギルドカードは封筒の中に入っている。

俺は恐る恐る封筒へと手を伸ばしていく。

封筒に近づく度に鼓動がドクンドクンと大きくなり速度が速まっていく。

(落ち着け俺。心配することはなにもない。落ち着くんだ。深呼吸をするんだ)

「スゥーハァースゥーハァー」

俺は心臓の音が一定になるまで深呼吸をした。

心臓の音が一定になるのを感じ俺は封筒へと手を伸ばした。

封筒を手に取り中身を取り出し......

コンコン。

ノック音が響いた。

中身を封筒の中にしまい扉へと近づいた。

「慎さん!入っても宜しいでしょうか?」

「あぁーいいぞ」

(来るタイミング悪すぎ)

俺は内心思っていた。

扉を開けシャルロットが部屋に入ってきた。

彼女の手には封筒があった。

「慎さんはもう見ました?」

「いやまだだけど」

「そうなんですか。実は私もまだなんですよ」

「何でだよ?」

「いやちょっと緊張しちゃっ」

シャルロットの頬は少し赤く染まっていた。

「じゃあ二人で一斉に見るか」

「そうしましょうか」

我ながらにいい判断だと思った。

二人だと緊張も和らぐし確認しあえるからな。

「行くぞ」

「はい」

「せーの」

二人は同時に封筒の中から中身を取り出した。

各々じっとギルドカードを見つめていた。

俺のギルドカードにはこう書かれていた。


樋崎 慎


レベル1

職業:未定

種族:ヒューマン?

攻撃力:200

防御力:150

魔法攻撃力:500

魔法防御力:400

素早さ:120

運:100

特殊能力:陰と陽・全属性使い・ハーレム・けだるげ


「......」

言葉が出なかった。

まず基準が分からないから強さが分からない。

特殊能力のけだるげとハーレムと陰と陽の意味が理解できない。

マジでけだるげとかハーレムとか意味わからん。

シャルロットの方を見てみると困ったような顔をしていた。

頭上に?が見えそうなぐらいの困った顔だ。

「シャルロットどうだった?」

「うーんいまいちよく分かりません。何しろ基準が分からないものですから」

「そうだよな」

あれだけ緊張していたのが馬鹿みたいだ。

その後俺たちは数分間の沈黙が続いた。

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