第4話くまもんのチョコもなか

 昼休み、美弥子は「くまもん」のチョコもなかボックスを持って一人、自分の机に向かっていた。

(今更かな。媚び売ってるって思われないかな。……仲良くしてくれるかな。みんな)

 彼女は遠い田舎から引っ越してきたので「なまり」があるのを気にして口をきかないでいた。当然、友達もいない。藤原がふらりと廊下からのぞきこみ、

「お、いいもん持ってるな」

 顔を上げる美弥子、泣きそうな顔。ちょいと額をこづいてお菓子の袋を破いて中身を一つ取る藤原。

「くまもん、うめー。みんなも食えくえ」

 呆然と見守ってしまった美弥子、はっとした。

 集まっておやつにありつく同級生たち。

 藤原、廊下をサンダルでブラブラしながらつぶやく。

「間に合ってよかったじゃん」

 手には賞味期限が今日の菓子包み。

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