第3話 練習試合
蛭田先輩が辞めてから
1週間が経とうとしている。
あれから連絡が取れないらしい。
引っ越しもしていて居場所が分からない。
『お前まだユニフォーム来てないの?』
そうだった。
今日は幾徳高校に入ってから
初めての練習試合だ!
対戦相手は熊谷実業高校
いつも埼玉大会の決勝で当たる高校だとか
実は僕も試合に出ることになっている!
8回9回の2イニング。
緊張するけど練習もしてきたし大丈夫!
ブルルルル
プシュゥゥゥ
熊谷実業のバスが来たらしい
あれ?あいつは。。。
瑠偉だ。
幼なじみの秋場瑠偉だ!
卒業式の後から連絡が取れていなかった。
熊谷実業は規則が厳しいらしいし
携帯が使えなかったのだろう。
『おーい!瑠偉?』
瑠偉の方へ走っていった。
すると
『こんにちは。今日はお願いします。』
なんだよそれ!からかってんの?
『準備があるので。失礼します。』
何か様子がおかしい。
前までの瑠偉ではない。
そんな事を思いながら試合が始まった。
ビュッ
ストライーーク
篠田先輩が先発だ!
レベルの違うピッチングで相手を唸らせる
打っては
野田先輩がホームランを打ち
こっちが勝っている!
『目黒。そろそろ準備しておけ』
はい!
そういってブルペンに向かう。
そうこうしているうちに8回だ。
『ピッチャー目黒に代わります。』
そう監督が言って僕がマウンドへ向かう。
僕はマウンドが好きだ。
誰にも邪魔をされずグラウンドに一つしか
ないマウンド。
そこに立っている気分は王さまになったよう
『バッター秋場に代わります。』
何だと!?秋場も試合に出るようだ。
しかも今。
僕の初対戦相手は秋場になった。
秋場は背が高く雰囲気がある。
サインはインローにスライダー
ここのコースに決まればそう簡単には
打てない。
記念すべき1球目!行きます!
ハァァァァァ
ビュッ
よし!これまでにないコースだ!
秋場を仰け反らせてやる。
カキーーーーーーン
何!?
渾身の一球は軽々と飛んでいった
そして
『ホームラン。ホームラン。』
渾身の一球が打たれた。
その瞬間頭が真っ白になった。
そこからの記憶が全くない。
スコアを見ると
0/3回 6被安打 5四死球 5失点
最悪だ。
っあ瑠偉だ。
打たれたけどその事は忘れて話しかける。
『渾身の一球だったんだけどな。
打たれちゃった。さすがだな』
秋場は仮面をつけているように表情がない。
『そんな球誰でも打てる 野球をなめるな』
でも蛭田先輩は。。。
『蛭田?もう潰したから知らねえな』
驚きで言葉が出なかった。
秋場は口を止めないで
『お前がここの野球部にいる限り
蛭田のような事が続くぞ。
いや。お前が野球をやっている限りか』
ふざけるな!お前は何をしたんだ?
『俺じゃないさ親だよ。うちの親は
社長でね。その権力で蛭田を辞めさせた』
辞めろ。そんな事をするのは。
『じゃあ勝負をしよう。夏の大会で僕に
勝つんだ。僕はレギュラーになる。
そこで三振を取ってみろ。
その為にはエースになる必要があるな
まあ無理だろうが精々頑張れ。』
そう言うと去っていった。
この事が理解出来るのに時間がかかった。
いや理解出来てないのかもしれない。
とりあえず言えることはエースになる事だ。
篠田先輩からエースを取るんだ。
よっしゃぁぁぁぁぁぁぁ!
気合を入れて寮に戻って寝た。
『はい。例の勝負の件は言いました。
今のままでは負けるはずがありません。
はい。父さん。』
こうして僕はエースを目指す
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