退職後編8話:初めてのハワイクルーズへ
2007年になり念願のハワイクルーズ出かけた。と言ってもツアーではなく
個人でクルーズチケットを米国のネットで購入し1人10万円程度で買った。
ホノルルの空港に着いたのが朝に七時過ぎで店は閉まっておりクルーズ船用の
バスは11時半出発で4時間以上、時間つぶすのに苦労した。
コーヒーショップやレストランで休んでいると時差の関係で非常に眠くなって
しまいテーブルに突っ伏して寝ていると店のウエイトレスがウィクアップ・プリーズ
と起こしに来る。その内に時間となりノルウェイジャン・クルーズ専用のバスに乗りホノルル港(アロハタワーの近く)へ行きクルーズ船にチェックインした。
その場所は空港のジャンボジェットの格納庫みたいに大きい倉庫だった。
8列に並ばされ、それぞれの担当者のいる机でチェックイン。
必要書類にサインとクレジット番号の登録、身分証明書、パスポートなどを
提示し、各寄港地でのオプショナルツアーのデスクもあり希望する人は手続きを
していた。北島夫婦は日本語のツアーもあるのだけれど料金が二倍以上もするので
マウイ島、カウアイ島での英語のツアーに参加する事にした。
あたりを見回しても日本人のツアー客は見当たらなかった。
予約していた海側の窓のある部屋にチェックインした。入ってみると普通の
ホテルの小さめのツインルームといった感じだ。お風呂はなくシャワールームのみ。
部屋に入り少しして、黒人の大柄な男性がノックをしてきたので用件を聞くと
ノルウェイジャンクルーズの日本人向け通訳で日本語のツアー予定書と船内での
催し物をかいたペーパーを毎日、ドアの郵便受けに入れに来たと言った。
何か希望することがあれば伝えて欲しいと言っていた。彼は日本の上智大学で
勉強したので日本語は堪能であり出航前に救命ボートの使い方の訓練が
あるから必ず出席して下さいと言われた。次に彼に日本人は何人乗ってるのか聞くと二グループで六人だけだと教えてくれた。そして出向まで上の階の広いレストランで食事しながら待っていると良いよと教えてくれた。また飲食は、ほとんど無料ですがアルコール飲料だけは有料であり、持ち込み禁止で、もし見つかったら没収されて、下船の時に渡してくれる様だ。意図的に持ち込んで部屋で飲んでるのが見つかる
とペナルティーフィーをとられるから注意して下さいと言った。
その他、大きなレストランは、いつでも無料で飲食できますが、
ほかのイタリア料理、中華料理、フランス料理、ステーキハウスは予約料金が
必要で必ず事前に予約しておくと利用可能だそうだ。予約料金は20~50ドル。
劇場でショーや、歌、おどり、手品などをやっていますから気が向いたら開演時間より30分くらい前にいけば座れるそうです。但し人気のショーの場合は1時間くらい前の方が良いといっていた。ただ立ち見で見てる人もいますけどねと笑っていた。
最後に何か質問はと聞かれ、ないと答えるとクルーズを楽しんで下さいねと言って立ち去った。この船が港から離れる時間が近づいてきて甲板に出て見る事にした。
大きなクルーズ船が夕暮れ時のハワイ港をゆっくりと出て行く。数分後、ホノルルの町が見えてナイトショーの遊覧船が近くに見えて、お客さんが手を振ってくれるので、こちらも手を振り返すのだった。何だか妙に興奮するのである。岸を離れて
から、すぐに太平洋の荒波が感じられた。クルーズは大型船を使っているから揺れ
が少なくて快適だよと、本に書いてあったが意外に揺れは大きく感じた。
多分ハワイは海に出るとすぐに外海であり日本の様に陸の近くとは波の大きさが
違うのかも知れないと思う北島夫婦だった。その晩はハワイについた初日とあって
疲れのせいで、すぐに眠りについた。翌日は朝六時には起床し、すぐに甲板を散歩
した。気持ち良い潮風と海の景色を楽しんだ。その後大きなレストランで珈琲と
トースト、サラダをいただいた。味はそんなにうまいと言う程ではない。
ただ種類は充実していた。バイキングみたいにチキン、ビーフ、ポーク、
スクランブルエッグや、しっかり焼いた目玉焼きもあった。特に、いつも海が
見える景色は最高。朝食後、卓球台を見つけて女房と卓球を始めた。
すると隣の卓球台の夫婦が気軽に声をかけてきた。彼らはフィリピン出身で
ロスに住んでいる30代の若夫婦で北島夫婦に日本人なのかと聞いてきた。
そうだと答えると以前、日本を旅行して町並みのきれいな事と日本人が優し
かったので声をかけてきたそうだ。そしてミックスダブルスをしたり選手交代して
シングルスで卓球をしたりして楽しいひとときを過ごした。
その後も船で会うと気さくに声をかけてくるのだった。その後に図書館みたいな
所へ行きチェスや将棋、カード、プレイステイション、NINTENDO64など、いろんなゲーム機が置いてあった。北島夫婦はカードを借りて七並べをはじめた。
すると小柄な男の子が興味深げにゲームしているのを見に来た。
黒い帽子をかぶったユダヤ人。そして彼が七並べを知らないから教えてくれと言う
ので彼を入れ北島夫婦と三人でゲームを開始した。
その前に彼がちょっと待ってと言い両親の所へ行った。ご両親が来られて日本人
なら大丈夫だと言い宜しくお願いしますと慇懃な挨拶をした。
そして七並べを楽しみ神経衰弱をしたりして楽しんだ。北島が彼に、どこから
来たのというとヒューストンだと言い、高校二年生だと言っていた。来年の大学に
入学するつもりだと言いコンピュータ関連の学問がしたいと語っていた。
そして唐突に日本人て、何故お箸を使うのと聞いてきた。
そこでお魚を食べるのに便利である事。また日本には、豊富な森があり良い木材が
取れるので木の箸を使うと教えた。木の種類によっては良い香りがするんだよとも
言った。何か興味津々で北島の話を聞いていた。次に日本人は時間に厳しいのは何故かという質問をした。日本人でも約束の時間に遅れたり約束を忘れたりする人もいるよと言い、ただ電車の時間が正確なのは朝の通勤時間に多くの人を運ぶには時間が
正確でないと具合が悪いからだよと言うと、なるほどと頷いていた。
彼は冨士山が好きだというので笑いながら日本人同じだと言った。
北島は彼にスキーやったことあると質問すると、ないと答えてきた。
日本に来たらスキー場もきれいだらかやると良いよと言うと彼の両親がスキーは
骨折が怖いから、やるなと言っているのでできないんだと残念そうに言った。
カードゲームを終えて返ろうとした時、彼のご両親が来ていろんな事を教えて
もらってありがとうと挨拶に来た。非情に感じの良さそうな、ご両親だった。
その後も、この船で会うと必ず挨拶してくれた。翌日マウイ島のカフルイ港に
到着した。予約しておいたハレアカラ火山噴火口めぐりのツアーに参加した。
ツアーバスに乗り込み、ひたすら曲がりくねった山道を登っていった。
そのためバスに酔ってしまう人もいた。山頂からの景色は、マウナロア、
マウナケアまで見えて素晴らしかった。また、火口のクレーターの雄大さは
見るものを圧倒する。ただ標高が高く寒くて風も強いので暖かい服にウインド
ブレーカを重ね着でないと寒くてたまらない。
翌日はハワイ島に到着して、コナの港のおきに停泊して小さなボートに乗り換え
てコナ港に上陸した。ここではツアーでなく自分の足で観光する事にした。
まずカメハメハホテルに入りキング・カメハメハの写真を見て回った。
その後ビーチサイドのレストランでコナコーヒーとサンドイッチを食べた。
景色が良いのでい長居をし、大きな木の下で少し涼んで行き交う人を眺めていた。
そして午後になり、また小さなボートで港からクルーズ船に乗り込んだ。
歩き疲れたので少しの間、仮眠をとった。そして夕方のキラウエア火山の溶岩流失を海上から眺めた。真っ赤な溶岩が海に流れ落ち溶岩の熱で蒸発した海水が湯気を上げてる姿は圧巻。翌日はハワイ島の反対側のヒロ港から地元のツアーでマカデミアナッツの工場やレインボーフォールズを見学した。
マカデミアナッツ工場ではナッツとナッツ入りのチョコレートが食べ放題で、
かなり食べたが、そんなに食べられるものでもない。
工場直売コーナーもあったが決して安くなかった、どこも観光地価格だ。
日系人が多く住む地域らしく商店には日本人の名前の商店が多かった。
ただコナとヒロは気候が対照的でコナは乾いていて、ヒロは雨が多く湿っている
と言われた。もちろんコナの方が高級な土地らしく日系人は湿った安い土地のヒロを与えられたそうだ。この日は早めに船にもどっていた所、日本人通訳の黒人の方が、もう一組の日本人客を紹介するというので面会した。
三十代の娘さんと、その三才位の娘さんと、ご両親夫婦の四人組だった。
娘さんはアトランタに住んでいて米国人と結婚したそうで今回は、ご両親と
ホノルルで待ち合わせクルーズに参加したと言った。
彼女は上智大学出身で日本人通訳も同じで話があったようで親しく話していた。
北島の次女も上智大だったので、それには驚いた様だった。話の方は三十代の
娘さんの長い話の後に、そのお母さんが旅行の話や家の話など自慢話に花が咲き
北島夫婦はあまりそう言う話は好きでないので相づちを打つのみだった。
多分、日本人通訳が気を利かせたのか、または娘さんか、お母さんが、
もう一組の日本人ツアー客に興味があったのか面会する様になった様だ。
しかし北島夫婦は日本人のこういう話は好きではなくフランクに話しかけてくる
外人の方がリラックスするというのが本音だった。その後、再び彼らと会う事は
なかったので良かったと思った。翌日はカウアイ島ナウィリウィリ港へ寄港。
予約しておいたワイメア渓谷のツアーに参加した。
最初に、お決まりの観光コース潮吹き岩の見学をし、その後、太平洋のグランド
キャニオンと呼ばれるワイメア渓谷についた。グランドキャニオンに行った事が
ないので比較はできないが雄大な景色で写真を取りまくった。
最終日にホノルル港に戻り解散となり日本への帰路についた。
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