帰京編10話 横浜(営)の問題点と交通事故

 六時半に帰社して佐藤係長と七時から飲みながら話する事となった。

 まず佐藤係長に、ずばり横浜営業所の印象を聞いた。すると、まず今泉所長は、

やさしいけどリーダーシップが欠如していて所員が問題起こさない様に考えている、

極めて保守的であり業績が伸びないのも当たり前だと言っていた。佐藤係長は営業

は、やはりリスクをおかしても仕事のめりはりをつけて重点を置く仕事と、

そうでないものに分けてやっていくべきだと考えている様だった。

 では佐藤係長は新しい所長に何を望むと聞くと、もっと責任を持たして欲しいと

思っていると言っていた。次に安田新所長についてどう思うか聞いた。まだ数日しか

見てないので良くわからないが、やる気はありそうだが問題も多そうだと感じてると

述べた。まず大阪弁、商売人風の動作あれは横浜では、まず医者に嫌われますね。

 ですから佐藤係長は安田新所長の同行は、お断りしています言うのだった。

 次に気分屋すぎる、飲んだ翌日なんて機嫌が悪く困る。強権的な手法で指示が高圧的で指示の理由説明が少なくて良くわからない。北島は問題点が多いのには困ったもんだと前途多難を感じるのだった。新人の指導について聞くと個性的な新人が多くて困ってると言った。ほめて後輩を育てろと言われますがほめる所がない新人が多いんですと言う。その後、営業所の全員と同行してみたがベテランの山下君が今後期待できるくらいで、その他の営業マンのレベルは、低い事がわかった。

 そこで大学担当の石島係長と、一番売り上げの大きいMK病院担当の山下君と

月一回、一年にわたり同行する事を決めた。そして早くもの秋頃から大学病院と

MK病院での売り上げが伸びてきた。特に大学病院担当の石島係長君が先生方と一本

づつの線のつながりから、そのグループ全体の面の付き合い方を会得してきた。

 そして、そのグループの派遣病院での実績も伸びてきた。MK病院は一番重要な

院長には新人時代から面識があり北島自身も可愛がってもらっていた。

 そのために接待の時も担当者と一緒に参加する様になった。そしてMK病院の

実績が過去最高を更新してきた。年が暮れて新年を迎えた。仕事始めから、二週間

後、新人の西田君が、仕事中に、人をひいてしまったと営業所に連絡が入った。

 ちょうど、その時北島が営業所にいたので安田所長から調べてくる様に言われ

出かけた。現場につくと外人風の作業着を着た男が座ってうずくまっていた。

 そして西田君が呆然と立っていた。そこで、西田君に聞くと細い道に入った所、

その作業着の男が急に道を渡り車とぶつかったと言うのだ。

 少しして相手の会社の上司と思しき男が現場に現れた。

 そして西田君に向かって、お前が、はねた相手かと言ってきたのだ。

 そこで北島が名刺を渡し挨拶した。その後、冷静に、その上司に保険会社は

どこですかにと聞いた。

 それに対し、そんな事は教える必要はない医療費を出してくれと言ってきた。

 それに対し北島が作業着の男の保険証を見せてくれと言った。

 事故報告書を出すので身分証明書がいると強く言った。

 すると、その上司が無いと言った。という事は労働契約書もないんですねと

北島がたたみかけると困った様に無いと言ってきた。北島が、それなら医療費を

出す方法がないと答えた。すると、ぶつかった男が立ち上がって太ももをもんで、

ここが痛いと言い出した。上司が旗色が悪いと思ったのか作業着の男に何か耳打ち

をした。そして上司が今日の所は勘弁するから、お金を出せと言ってきた。

 西田君に向かって人にぶつかったんだから当然だろ治療費を払えよと声を荒げた。

 そこで北島は不法労働者には、お金を出せないと、きっぱりと断った。

 警察を呼んで事故報告書を書いてもらおうと北島が言うと警察は、やめてくれと

上司が言い始めた。その後、西田君をにらみつけて北島に馬鹿野郎と言って去って

いった。営業所に帰り西田君に事故の顛末を聞くと、どうも外人風の労働者が車の

前に急に飛び出して徐行して急ブレーキで止まった所に横からぶつかってきた様だ。

 西田君は胸をなでおろし北島にお礼を言った。北島が西田君の事故処理を終了。 

 春が過ぎて暑くなってきた。そんなある日、北島が一番、有望視していた

ベテランの山下君が交通違反で一発免許停止六十日間の処分を受けた。

 一日、講習し三十日の免許停止の措置を受けた。そのため一ケ月は、電車とバス

と徒歩で病院訪問をする事になった。これに対し安田所長が烈火のごとく怒り

山下君を叱責した。最初は山下君は、すいませんと謝っていた。

 しかし安田所長が会議で山下君の訪問件数や仕事について、ねちねちと

クレームをつけ始めた。あまりにクレームがしつこいので山下君がついに車で営業

ができる様になったら業績は挽回できると反論した。そこで北島が気を使い山下君と運転禁止のい一ケ月のうち毎週一回、同行訪問する事にした。山下君は、一番実績の大きいMK病院を担当していたので、そこの院長も知っておりフォローしてあげた。

 これには山下君は感謝した様で、その後、北島のいう事を聞くようになった。

 大学病院と山下君の担当の一番実績の大きなMK病院の業績が更に上向いてきた。

 今年は去年の売り上げの十%アップと五年ぶりに二桁の伸び率になった。

 忘年会には、石井支店長が来て中華街で有名な店でフルコースをおごってくれた。

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