帰京編7話:転勤と母の交通事故
ただ三年目のジンクスが、ひたひたと近づいてる事を知るよしもなかった。
その数日後、支店長からの電話で、ちょっと話があるからと一緒に食事をした。
実績好調の、ご褒美でももらえるのかなと内心うきうきで出かけた。
石井支店長に会うなり頑張ったね、山梨がついに民力を超えたんだってね。
おめでとう、個人でも全国トップ。こんな良い知らせの時に何だが、
その北島君の力をぜひ欲しいという話が西の方から来たんだよと言った。
西の方ってどこですか。静岡いや愛知、岐阜いや、まさか、大阪いや・・、
岡山県なんだよ。えーなんで、もう転勤は、勘弁してよと言った。
ただね岡山の営業所長としての栄転なんだよと言っていた。
即答は、もちろんできませんから十日間いや七日間、検討させてほしいと告げた。
自宅に帰り話すと女房は大反対だった。その数日後、北島の母がバイクでトラック
と接触して大怪我を負い救急車で運ばれたと情報が入り真夜中、病院へ向かった。
命は助かりそうだが頭部を強打してるので後遺症が心配だと先生が言っていた。
集中治療室で二週間、その後一般病棟へ移ったのだが子供や旦那さんの顔を
見ても、きょとんとしている有様で記憶が戻らないのだ。
その数日後、痴呆の症状があらわれた。早速、東京支店長に、この北島家の
非常事態を話し岡山への転勤を断ってもらう様にお願いした。
この件を石井支店長に話すと岡山転勤の件は断っておくと言ってくれた。
二ケ月が過ぎても記憶が戻らず担当の先生に詳細を聞くと外傷による記憶喪失が、まれにあると言った。その後、先生に痴呆の症状がひどくなり、老人病院への転院をした方が良いと言われた。この話を北島が石井支店長に話し地元から離れることが
できない事を訴えた。すると現在、横浜営業所が競争が厳しく、業績が心配なので
ので北島君に課長として行ってもらいたいと言われた。渡りに船と喜んで引き受ける
事にした。ただし石井支店長が地元に帰ると言う事は、そこで所長になることを
諦める事になると言われた。そして順番から言って、もう一度、転勤し、
そこの所長になって戻ってこない限り出世の道はない、万年課長のままだと
言い渡された。現状を考えると、やむを得ないので北島は、それを了解して
横浜営業所へ転勤する事にした。正式に翌週、石井支店長からの電話で横浜営業所への転勤が決まったとの知らせが入った。その後、北島家は家族五人と大所帯のため
手持ち資金を使って横浜市内に家を購入した。これには家族中で大喜びした。
支店長から横浜営業所の所長と若い所員のめんどうを見て下さいと言われた。
その後、出社して見ると昔の面影はなく、朝からどなる所長、係長を見ると
事の重大さを実感した。最近の横浜営業所の売り上げの伸びは鈍く全国占有比を
毎年下げている。若い所長、係長と実績の上がらない若手三人の面倒をみながら
病院を担当するという激務の毎日が始まった。係長達も自分の仕事で手一杯で
部下の指導もできていない。更に今泉所長は支店長への報告書作成の為に
土日も出勤するという有様で全く余裕がない。
そのためか新人の退職が多く問題になっていた。営業所の中でも将来性があり
そうな、岩井係長も北島に今泉所長の悪口ばかり言う始末だった。
その後、岩井係長も今泉所長について行けないと退職していった。
これが問題となって所長交代問題が持ち上がり大阪から新任所長が来る事が
内定したのだ。
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