青春編7話:4Hクラブでの思い出

 工場に入社して二ケ月後、近くの祭りに地元に住む会社のおじさんに誘われた。

 そして神輿の担ぎ手が少ないので頼まれた。おじさんは北島の腕力に期待して

連れてきた様で、神輿を担いで汗びっしょりになるとコップにいれた水の様な者を

周りの地元の人が渡してくれる。

 北島は、それを一気に飲み干すと、日本酒だった。

 日本酒は好きではないので水をもらい口直しをした。

 三十分位で担ぎ手が交代して近くの集会所でご馳走が用意してあった。

 おなかも空いていたので遠慮なくいただいた。一休みしていると、

また、お呼びがかかり、再度、神輿を担がされた。

 そして二時間位してお祭りは終了し、その後、集会所に集まり北島を連れてきた。

 おじさんが近所の若者達に北島を紹介してくれた。彼らは農協の下部組織で

4H俱楽部(農業青年クラブ)と言っていた。

 地元の若手農業者の集まりの様だった。面白そうなので北島もゲスト会員として

入会する事にした。

 気さくな連中で総勢、男性五人、女性七人で合計十二人で代表格の牛島君と

握手した。その後、彼らの仲間入りして、ニコニコしている北島だった。

 数日後、牛島君からバーベキューのお誘いがあり出かける事にした。

 絹子さんに工場まで車で来てもらいバーベキュー会場は車で十五分の大きな

河川敷。数人が釣り糸をたれて魚を釣りはじめた。

 北島は魚釣りの餌が苦手なのでバーベキューの用意を担当した。

三十分もすると魚が釣れた。バーベキューの用意も完了し、早速、火をおこし

買ってきた豚肉と牛肉となす、ピーマン、キャベツを焼き始めた。

 大きな鉄板が3つあり一つは焼きそばを作る為に空けておいた。

 四十~五十分して総勢十人が集つまりバーベキューが始まった。

 タレを作ったり野菜の焼け具合を見たりして楽しみ、運転手以外は

生ビールを飲み始めた。

 若い連中でばかりで焼けるそばからどんどん食べるので、できあがった

料理はすぐなくなる。そこで北島は焼きそばを大量に作り始めた。

 これで、みんなの食欲に見合うだけの料理の供給ができはじめた。

 生ビールがドンドン開き始めてみんなの食べる速度が遅くなり、

ゆっくりバーベキューを焼ける様になった。

 飲んで食べて一人づつ自己紹介をした。会長の牛島君、副会長の石島君、

副会長の君子さん、夢子さん、知加子さん、吉田君、木下君、絹子さん、

大石君と、北島の合計十人。

 牛島君が、北島に自己紹介をしてとて言うので、今度、近くの工場の

技術部に入社した北島ですと、みんなに挨拶した。出身は横浜、スポーツは

柔道、仕事は研究開発と大きな声で話した。

 いろいろ質問を受けて答えた。一番困った質問は何故こんな田舎の工場に

入ったのかと言う質問だった。

 オイルショックで就職難でここに来たというと、皆、不思議がっていた。

 今度は、北島が見た彼らの第一印象だが総じて子供っぽい感じがしたが顔は

日に焼けて健康そうにみえた。

 女の子の中では君子さんが可愛い感じで良かった。 

 工場に一番近いのは、絹子さんの家で歩いて七分。

 二ヶ月後、農閑期になるから泊まり込みで東北の温泉に行くから北島君も

来ないかと誘われた。

 工場に帰って相談していける様だったら連絡すると伝えた。

 二時間位でバーベキューは終了して日が傾いてきたので帰ることにした。

 工場まで送ってもらい、お礼をいい別れた。

 工場長に旅行の件を話すと有給があるから行っても良いと言ってくれたので

参加の連絡をした。

 数週間後、工場に絹子さんが車で迎えに来てくれ石島君、君子さん、吉田君が

一緒の車。

 北島が、みんなに今日は宜しくお願いしますと挨拶したところ喜こんでくれた。

 高速を使い2時間半で温泉宿に着く予定で途中のスーパーでトイレ休憩と

昼食、飲み物や酒、洋酒、ビールなど買いものをした。

店を出て一時半で温泉街に到着し荷物をホテルのロッカーに入れ、

早速、外湯巡りにくり出した。

 平日で、来ているのは農閑期と言う事もあるのか農家の方が多かった。

 ゆっくりと外湯巡りをして三時にホテルにチェックインして各部屋に

別れていった。その晩、大広間で宴会が開かれた。

 最初に牛島君が今年の秋の収穫の話や4H俱楽部の活動などを発表して

挨拶をした。

その後、北島は新人なのでお酌して歩いた。

 そして音楽を流して広い広間で歌ったり踊ったりし始めた。

 北島はサラリーマンであり珍しがられていろんな人に呼ばれて話の相手をした。

 その内にチークダンスなども始まって北島も、いろんな娘と踊りまくった。

 北島が、歌え!のリクエストに気軽にこたえ、洋楽、邦楽とも、数多く歌い、

いろんな人からお呼びがかかった。

 その内、歌好きの連中と、飲み好きの連中に、別れ、歌好き連中は近くの

スナックへ行き歌って踊ってを楽しんだ。

 北島は歌好き連中に引っ張られ、二次会に出かける事となった。北島の様な、

サラリーマンは農家の若者には珍しかった様で、女の子にもてた。

 可愛い感じの君子さん、都会好きな夢子さん、その他の女の子も若い

サラリーマンに興味がある様で、ほとんど全てが歌好き連中についてきた。

 そう言う訳で北島は特に気に入っていた君子さんと何回も踊って歌の

うまい夢子さんともデュエットした。

 特にサイモンとガーファンクル、ビートルズなど洋楽のリクエストが多く北島が、それらの歌を歌いまくった。

 最後の方は、みんな、かなり酔っ払ってきてチークダンスしながら女の子に

抱きついたり胸を触ったりキスしたり、めちゃくちゃな状態になっていった。

 それに乗じて北島も気に入った君子さんとチークダンスしながら、

曲の盛り上がった所で、おもわずキスをした。

 それに対して、なんと酔った君子さんが北島に抱きついてきたのだ。

 次に歌のうまい夢子さんと洋楽でデュエットして歌い終えた時に、

お礼のキスをした所、彼女も抱きついてきて破顔一笑の北島だった。

 それを冷静に見ていた絹子さんが席に座って話した時に北島さんは会社で

営業マンなんですかと聞いてきたので笑いながら技術研究科で新製品の開発を

しているというと、えー? 北島さんは絶対に営業マンに向いてるわよと

言いだした。そして意外に女の子に手が早いのねと大笑いしていた。

 彼女いるんでしょと言ってきたので、それは、ご想像にお任せしますと、

煙に巻いた。

 歌ったり踊ったりして席に戻ると女の子を独占している格好になり

牛島君が強引に半分づつに別れて座るように言った。

 そして疲れ果てる頃には空が明るくなってきた。千鳥足で宿に戻り爆睡した。

 そして昼過ぎから動きだし風呂に入ったり土産を買いに行ったりして過ごした。

 その晩一泊して翌日の昼前に帰路についた。

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