命をもっての贖罪

命の大切さを小さな子供に教える時

あなたはどのように教えますか?

大切なもの と言っても

分かるはずがないでしょう


きっと

「大切なものってなーに?」

と可愛く返されてしまいそうです

微笑ましいですよね



しかし、命の大切さ

これは微笑ましく

人に説明するものではありません

微笑ましい説明は後に

その人の命の価値を下げてしまいます


これがなければ私達 人間も 動物も 植物も

弱肉強食 食物連鎖を取り巻く者が存在しないのです


うーむ…

やはり、命を語るとやけにスケールが

大きくなってしまいますね…

反省しないと…


でも、命ってそういうことでしょ?

言葉は伏せますが…

人間の愛の行為によって生み出されるもの…

命を作るのは簡単でしょうか?

答えは人によって違いますよね

そもそも作ることができない人がいたり、

その行為までに達することができなかったり

非常に様々ですよね


例えば 命を作ることが簡単だったとして…

簡単に作られた命は

複雑に作られた命よりも価値が下でしょうか


複雑…という言い方をしたのは

簡単 という言葉の対義語は 複雑 だからです

ぱっと見 簡単と複雑 対義語とは思えませんよね


…話を戻しましょう

命の価値

それは誰が決めるのでしょう?

いや、そもそも決めていいものなのでしょうか?

皆の左側にある臓器ー命

たったこれだけに価値を付けるのは

無駄だと思いませんか?

命だから特別に価値をつけようとする…

これがもし指だったら…?鼻だったら…?

価値などと話し合おうとも思わないですよね


人の指に価値を求めようとするなんて

愚かだと思いませんか?

でも、命に価値を求めるのは

愚かではない…

心のどこかで思っていますよね?


どういう風に どういう過程で

どんな感情であれ命は命です

価値を見出すこと 位をつけること自体が

間違いなのです


しかし、人間は自分でも気付かないうちに

命の価値を決めてしまっていることが

あると思います

こんなことは思ったことはないでしょうか?


虫を救うなら今にも死にそうな人間を救う


意味は分かりますよね?


そこら辺に飛んでいる虫を殺すか

飢餓で苦しみ死にそうな人間を殺す

二択です

あなたはどちらを選びますか…?

「人間は殺したくない…」

と思いますよね?

でも、虫だったら躊躇なく殺してるじゃないですか?

夏とかに、手で潰したり蚊取り線香で殺したり…命を奪ってる自覚はありますか…?

そもそも人間を殺したら罰せられるのに

虫を殺したら罰せられない

国を動かすための法律が既に

命の価値を決めてしまっている

そうは思いませんか?

家に出てくるゴキブリ…

気持ち悪いですよね?

じゃあ 夜 女性を狙う不審者は?

これも気持ち悪いはずです…

でも、殺しますか?

実際に女性の方からしたら

殺意が湧くでしょう…

しかし、殺しません

ゴキブリだったら簡単に殺すのに…

不審者は何かをしでかしますよね?

女性を触ったり…見せたり…

でも、ゴキブリは触ってきますか?

見せてきますか?

きませんよね

でも、殺します

ただ、見た目が醜いがために…

でも、見た目が醜いものを何でも殺している訳ではありませんよね?

街中を歩いていてもいるでしょう?

「こいつ…よくこんな顔で街中歩けるよな…」

「なんであんな顔のヤツがモテるのに俺はモテないんだよ!」

と思うでしょう?

ひとえにモテる要因ってのは見た目だけじゃありませんよね?

内面がよかったり性格がよかったり…

もしかしたら それでも命の価値って

決まってしまうかも知れません

しかし ゴキブリの内面や性格は知ることができません

人間とゴキブリの間には意思疎通をする

ツールがありません


ゴキブリが実は良い奴だったら…?

考えたくもないですよね?

今まで殺すべき対象として見ていたものが

殺していいものなのか

疑わしき存在になります

人々はますます混乱するでしょうね…

とりあえず見逃すことを選択するはずです…

でも、いたらいたで気持ち悪い

結局殺すんじゃありませんか



命って難しいですよね

「赤ちゃんってどうやってできるのー?」

子供の質問です

大人は少々返答に困りますよね

どう伝えていいものか…

勿論 でき方は知っています

それを純粋無垢な子供に教えていいものでしょうか…?


小さな頃から性知識が豊富な子供って

子供もそうだし、親も

頭のネジが外れている

と思われてしまいますよね


それは嫌

だから教えない



でも、本来なら皆が経験し

人生で1度は通る道じゃないですか?

周りの風潮がおかしいとは思いませんか?

実体のないものに縛られるなんて

無様ですよね?








少々話が長すぎてしまいました

これでは メインのお話が薄くなってしまいますね


メインは 今村 成都 と戦士ビエルの

肉弾戦でしたね…

今回も驚愕の展開が満載ですよ?

是非ご堪能ください…

お話の続きは次回の冒頭で

しましょう


では、さようなら〜









ビエルと今村の闘いが始まるー


「審判は校長のわしがやらせて頂こう」

「ええ、どうぞ」

今村は余裕の表情を崩さずに答える


「では、スタートじゃ!」

審判の合図により打撃対決が始まるー







バシッ!バシッ!ドカッ!

ビエルと今村の一進一退の攻防が

続いている

今村はビエルの右フックをかわし

頚動脈に飛び蹴りを喰らわす も防がれる

ビエルは浮いた足を掴み今村を投げ飛ばす

お互い隙を見せない戦いに

体育館にいる生徒 教師は息を呑む

人間対人間の勝負に見えない

投げ飛ばされた今村は余裕の表情を見せ、

ビエルを指で挑発する

ビエルは体格を生かし今村にタックルするも

彼はジャンプして避ける

壁にぶつかったビエルに今村は

追い打ちと言わんばかりに尻を蹴る

ビエルは壁にもたれかかるもすぐに体制を立て直す

一歩も譲らない闘いが続く

いつまで続くのだろう…と思った刹那

今村が勝負を決定する一撃をビエルに当てる

それは、みぞおちへの強烈な膝蹴りだった

今村はビエルが体制を立て直した直後

相手の懐に忍び込み、

両肩を手で掴み両膝で肋を砕いた


ビエルは血を吐きうずくまる

「俺の勝ちだな…まぁこれくらいなら

生徒が正しい護衛術を身につけられると思うよ」彼は息が全く乱れていない様子だ


(すごい…これなら俺の目的も達成できる…)




俺の目的…

それは校長を殺すこと

但し、それは幼馴染の未来の復讐ではない

校長がよく口にする

「死んだら終わり」

を彼に一番知ってもらうためであった

それさえ知ってもらえば殺すまではいかなくてもいい

ただ、

ただ、彼に命を奪っている自覚を持ってほしいだけだ

命の大切さを教える

彼の行き過ぎた方針は

彼の中の命を大切に考えるという気持ちが

薄れているように思える

だからこそ 殺す

彼に命を奪っている自覚さえもってくれれば

俺の中では殺したのと同じだ…


しかし、校長を殺すには

確かな実力が必要だった

だが、俺にはない

実力など皆無だった

自分の目的を人任せにしてもいいのか

と思うかもしれない

俺は目的さえ達せれば

誰が成し遂げようと関係ない


幼馴染の未来を奪ったことによる罪悪感を

校長がどれほど抱えているかはわからない

もしかしたら抱えていないかもしれない

でも、命を奪った自覚さえあれば…

あそこまで校長の人格は作られなかったはずだ

殺したとも思っていなければ…

未来が…浮かばれないだろう?



(とりあえず今村と話をする必要があるな…)

俺は決意する



勝敗が決まった体育館のステージ

今村は悠然と

ビエルは実力を認める

そんな表情でお互い握手をしている


「認めん…認めんぞぉ!

おいビエル!貴様は何故 こんな若造に負ける!?高い金を払って雇ってやってんだ!

最後まで仕事をしろ!

そのガキを殺せ!」

校長は激昴していた

おそらく彼は誰が説得しようが聞く耳を持たないだろう

しかし、幸いなことに彼自身は武器を持ってない

校長自らが今村を手にかけることはないだろう

「しかし、負けは負けです

これ以上の闘いは不毛でしょう」

ビエルは清々しく答える

「ええい!やかましい!

審判はこのワシじゃ!

審判の言うことを聞け!」

やはり、聞く耳を持ってなかった

「騒がしい審判ですね

勝負は既に決まっていますよ

どこまでもこの老人は…まったく…笑ってしまいますよ?」

「このガキィ…

おいビエル!さっさと殺せ!

さもなくば 貴様を殺すぞ!」

思わぬ脅迫をしだした

しかし、彼は武器を持っていない

殺せないはずだが…

「校長よ 武器も持っていないあなたがどうやって私を殺すと?」

「ふんっ!このワシが武器を持っていないと思っていないとでも思ったか?」

そう言って彼は

ポケットから折りたたみ式ナイフを取り出す

「そんなもので屈強な軍人を殺せると思っているんですか?」

今村は聞く

「このナイフの形状にはちょっとした

工夫があってな…?」

そう言って彼はナイフを強く握る

すると刃先から緑の液体が染み出す

「強く握ると毒が出てくる仕組みでな…

この毒は触れた瞬間神経に届き

一瞬で体が動かなくなる

その隙に刃の部分で心臓を抉る

素晴らしいものだろう?」

力作だ と言わんばかりに

高らかに笑う



「さぁてどうする?

ビエルよ…

これで自らを殺すか

その少年を殺すか…

2つに1つだ…

選びたまえ!」

ビエルは校長に近づきながら話し出す

「私は軍人だ…一応それ相応の訓練を受けている 当然何が一番最適な行動かも分かるつもりだ…」

そう言って彼はナイフを受け取る

「悪いな…少年 死んでもらう!」

ナイフを受け取るや否やすぐに今村の懐に飛び込みナイフを振るう

今村は読んでいたかのように

避ける も刃先からでた毒が制服の肩部分にかかる

制服が溶けだしていく

「制服にかかっただけましか…」

彼は余裕の表情を崩し呟く


ナイフだけを避けるだけなら彼にとって造作もないことだろう

しかし、毒が飛び散るともなれば

ナイフ自体のリードは短くとも

攻撃のリードは長い

ビエルに一撃を与えるには

一瞬で間合いに入り

ヒット&アウェイを心掛けなければいけない

さっきまでとは比べ物にならないぐらい

難しいことだろう

しかもビエルが一撃で倒れてくれる保証もない

かなり厳しい闘い だが、今村は

既にやる気十分だ

構えをとり 一気に間合いを詰めていく

ビエルはナイフを振るうも彼はジャンプする

下に屈むと毒を浴びてしまう可能性があるからだ

彼は再び頚動脈を狙い飛び蹴りをする

どうやら今村の得意な攻撃のようだ

しかし、当然見切られている

ビエルは蹴りの足をナイフで切ろうとする

今村は素早く足を戻し

2.3歩戻る

もう1度懐に…

彼は勢いよく飛び込む…

と同時にビエルはもう一本のナイフを取り出す

これは校長手製のナイフではなく

ビエル自身のナイフだ

ナイフ二刀流となった彼を見て踏み込むのを留まる…も遅かったようだ

ビエルは自前のナイフの方で今村の肩を切り裂く

「うがぁぁぁ!」

彼は痛みで顔を歪める

肩を抑えビエルを睨む

「くそぉ…!」

彼は3度懐に飛び込む

ビエルはナイフを正面に構え

突き刺しに行く

刺されば終わり

避けられれば隙だらけ

2つに1つの諸刃の剣となる攻撃を

今村は避けた

ビエルはバランスを崩しかける

否ー隙が生まれる

「でやぁぁぁっ!」

今村は叫びながら彼が砕いた肋に拳を打とうとする…もビエルは拳を強く握っていた

ナイフを上空へ投げて…

拳を掴まれて身動きが取れなくなった今村へ

毒付きのナイフがゆっくり落ちてくる

ナイフは今村の制服が溶けて露になっている肩に刺さる

「っ!!!! 」

今村は声を上げることもなく

その場に崩れ去る

勝負は終わった…ビエルの勝ちだ…

と思われた

がビエルは倒れた今村に大きくナイフを振りかぶる

(殺す気だ…)

ナイフは心臓を突き刺し 貫いた

今村は血を吐き

気を失う


死んだ…

軍人の手によって殺された

俺の希望…


校長は笑い出す

「どうだ!見たか!やはり、わしが雇った軍人の方が上だったのだ!

わしの目に狂いはなかった!」


死んだ…

おそらく生徒の中で一番強かったはずだ…

一番の力を持ってしても勝てなかった

軍人ビエル


生徒全員が彼にとてつもない恐怖を覚えることとなった…


















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