15 中ニ病

「文化祭の準備しないのか?」

もういい加減準備しなければ、文化祭は後一週間後に迫っていた。学校は、放課後何人もの男女生徒が残りイチャイチャしながら良く分からない変な物を作ったり、折ったりしている。

実に不愉快……まあ、そんな事は今は関係無い。

今は、ただ


「もう、一週間後に迫っている文化祭で部活発表する準備はどうしたあああ!」

寛太が、大声で怒鳴りその大きい声が部室に響き渡る。

心先輩は、外を見ながら目を閉じて眠そうにして、馬鹿(龍斗)は、もう熟睡状態……結城はかろうじて起きているがこのまま放置してたら絶対ねると思う。雪乃は、いねえ!

こんな、ゴミ部活を見た莉緒は頬を引きながら苦笑している……

俺が、落ち込み下を向いていると莉緒が耳打ちをしてきた。小さい声で……


「あんた……なにこのゴミ部活」


「しょーがねーだろ、推理の依頼が来ないんだから」


「はあ」


「おい!溜息すんな!」


そんな会話を、2人でコソコソやっているとコンコンとドアをノックする音が聞こえる。


「どうぞ」


「失礼する」

入って来た人は、生徒会副会長の八重 茉都香(やえがし まどか)

いつものように自信に満ち溢れた顔、クッキリとした瞳、赤い頬、そんな素晴らしい方がこのゴミ部活に何のようだ?


「は、はい なんでしょう?」

俺が、震えた声で返事をすると副会長は少し微笑みながら口をあける。


「そんな、怖がらなくても良い……」


「は、はい……すいません」

俺が、いつもの癖で謝ると副会長は赤い頬を膨らまし俺を凝視してくる、なんだ……?一瞬心が揺れた。

これだから女子ってもんは、少し可愛い素振りを見せただけで男は簡単に落ちてしまうそれを知ってやっているのか女子は!


「何故、謝る」


「あ……すいません」

あ……また誤ってしまった……

副会長の、顔を見ると完全にイラついて居る。


「ん!」

バシ!と寛太の頭を思いっきり引っ叩く副会長


「いったあああ!」

寛太の叫び声が、部室に響き渡り静かだった部室が一瞬にして動物園になる。


「うるっさい!寛太!」

雪乃の罵声が飛び……


「うるせえ!」

龍斗の罵声も……


「お兄ちゃん!」

結城は……?うん。怒ってる!


「あああああ……ワレワレハウチュウジンダ」

部室にある扇風機に声を掛けて遊んでいる心先輩……

まあ、俺が今叱る立場では無いので放って置こう。


「あ、ごめん」

寛太は、頭を掻きながら皆んなに謝り謝罪をした。



「それで、何で副会長さんがこんな部活へ?」

雪乃が、イライラしながら副会長に話を掛ける。

この、イライラは多分俺が原因だろう。


「え?ああ……忘れていた、君達に頼みがある!会長を元々の生徒会長に戻してくれ!」

副会長がいきなり訳の分からない事を喋りだす。そんな意味不明の依頼内容を聞き俺も含めて皆、首を傾げている。


「どういう事ですか……?」

寛太は、厳しい顔をして副会長にさっきの依頼内容をもっと詳しく聞きだす。


「え……言葉の通りなのだが?どういう事だ?」


「えーーとーーですね……副会長さんの説明では、会長が今どんな状況かわからないのでもっと詳しく説明を……」


「ああ。そんなことかそれなら生徒会室へ来てくれ!」

そう言って、副会長は小走で部室を出て廊下で俺たちを手招きしながらこっちを見ている。

依頼内容については全く解らないのだけれども副会長一生懸命さは、俺達にもしっかりと伝わった。___


何だかんだで、生徒会室の前で止まり息を整え、唾をごっくんと飲み生徒会室のドアを静かに開けた。

中に居たのは、マントを被った少女の姿をした生徒会長が机の上で片目を隠し眼帯をしてこちらを見ている。


「え……?なんで、マント被ってんの?」

雪乃が、不思議そうにマントを被った少女(生徒会長)を首を傾げながら見ている。


「ふふふ……貴様ら我には向かうかをうとするか!」


「生徒会長また!何やってるんですか!机から降りて下さい!」

そう言って、急いで生徒会長を机から降ろし椅子にストンと座らせ深く溜息を吐く副会長


「あ、あのーどうして生徒会長はこんな風に?」


「それが……今日、朝学校に登校し生徒会室に入ったら生徒会長がこんな風になって居たんです!」

涙目になりながら俺らの方を見つめ助けてを求めている副会長さん


「でも、これを……どうすれば?」


「そんなの分かるか!!」

何故か逆ギレをし始めた副会長……俺なんか変な事言ったか?


「「ええ……」」

推理部全員が、嫌そうな目で副会長を見る。


「悪い……つい気持ちが……」

そう言って、頭を下げ目を赤くしながらもう一度話を始める。


「生徒会長をいつもの生徒会長に戻してくれ!頼む!」


「わ、分かりましたけど……これは、いわゆる中二病って奴で救いようは……あるのか?」

まず!こんな依頼をした奴が今までいや、世界どこを探してもまず居ないと思う。

と言うかこれ、推理部の仕事じゃなくね?


「中ニ病……?なんだ、それは?ああああ!生徒会長!駄目ですって!」

話を始めたかと思えば、また机に登ろうと足を上げて居る生徒会長を見てそれを止めに入る。


「ああ……もうやだ」

雪乃と結城がこんな光景を見て俺と龍斗を残し生徒会室から出ていく……

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学園推理は手短に。ーAcademy Reasoningー 瑠奈 @Re_zeroRemu1207

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