13 転校生

「あの、女の人……お姉ちゃんに似ていた様な……」

寛太は、さっき見た女の人を考えながら家の玄関のドアを開けた


「ただいまー」

二階からドンドン音を立てながら階段を降りてくる結城を寛太は凄まじい目つきで睨む


「おかえ……り?」

あはは……見たいな顔をして俺の前で固まる結城


「お前、サボったよな?」

俺は、優しく話し掛けるが目は殺す目をしている。

そんな俺を見て、結城は足をガタガタさせながら笑って俺の目を見て頬を引く


「えーーとーーお腹が……う!」

言い訳をしようとした結城の頭に寛太は、チョップを入れた。


「うう………」

涙目で、頭を抱えてしゃがみ込んで居る結城


「もうするな……次は、龍斗だな……ふふふ……」

そんな俺の呟きを聞いていた結城が怯えながら


「お兄ちゃんがあああ!」

などと、変な事を叫んでいる、そんな馬鹿を無視して俺は二階に上がり自分の部屋に向かった。

ん……?部屋の電気が……付いてる?そっとドアを開け中に入ると俺の毛布の中で何かがモゾモゾと動いている。


「ゆ、幽霊?」

俺は、怯えながらもうごめいている毛布を剥ぎ取ると、中からは意外な物が出て来た。


「ゆ、結衣!?」

え!?なんで?なんで?結衣が俺の毛布の中……?

俺が、そんな事を考えていると結衣も俺に気づき


「ひえええええ!」

などと、悲鳴を上げる。


「ああ、お兄ちゃん忘れたよー結衣ちゃん今日私の家泊まるから!」


「先に言えよ!」

そう言って、また結城の頭にチョップを入れる少し強めで


「う!」

頭を抱えて、涙目の結城を放っておき結衣に話し掛ける


「ようこそ、結衣 楽しんでくれこんなクソつまんない家だけどな」

俺は、微笑んで結衣を見つめた。


「ふぁ、ふぁい!」

何を言っているのかは分かるが、日本語にはなっていない……


「お、おう……まあそれはそれとして、お前らでてけえ!」

そう叫び、2人を部屋から追い出しベットに横になる。

なんで……結衣は、俺の毛布に包まっていたんだ?

女子とは、時に理解に苦しむ生き物だ……


そう言って、俺は目を閉じた。_______



「う……ん………」

はっ!と目が覚めると真っ暗な部屋の天井が見える……さっき電気を付けっぱなしにしていたが消えている。

結城が消してくれたんだろう……


なんだ……?俺の横に柔らかくぷにぷにしたものが……

寛太は、静かに横を見ると、可愛く寝息を立てている結衣と結城が俺の身体に抱きついて寝ている。

はあ、なんだ……結城と結衣か……ははは…あああああ!


「うおおおい!お前ら!なんで俺のベットで寝ている!」

大声で2人を起こす、すると2人は目を擦りながら俺を何食わぬ顔で俺を見る。

コイツら……もう部屋に鍵付けたいよ…………


「んー…あ、お兄ちゃんおはよ」「おはようです寛太くん」


「うん、おはよう」

俺は、ニコニコしながら2人の頭に再びチョップを入れる。


「「う!」」

2人同時に、声を上げ頭を抱えている。もちろん涙目で……


「お前ら、いい加減にしろよ?」


「「はい……」」

結城も結衣も縮こまり正座をする。

そんな、可愛い2人を見て俺は優しく囁やく………




「でてけ」





ドタバタと、走りながら小さいお2人が俺の部屋から退出していく。


「ああ、疲れた〜」

結城が、2人いる様でかなり疲れる1人でも疲れるのに2人……


俺は、こんな機会で……小さい子供を持つ親の気持ちを理解した。______



俺は、いつもの2倍早く登校し昨日サボった龍斗くんを玄関で1人待ち伏せしていた。

そんな俺を見てすれ違う人ほぼ全員が可哀想な人を見る目で俺を見ていく……

いや、辞めて……俺そんな可哀想な人じゃないから!ちゃんと友達いるから!

そんな、事を心で叫んでいると馬鹿面をした馬鹿が呑気に登校してくる。

ふふふ………そうだ、そのまま真っ直ぐにこちらへ来い!


「龍斗〜ちょっとこっち来て〜」


「あ?なんだー?」

後、俺から数メートルのとこで急遽方向転換する馬鹿……


「クソ……」

なんて、運がいいんだ……

寛太は、1人寂しくテクテクと自分の教室へ戻っていった_______



「よお!寛太おはよう!」

机に顔を埋め寝ている寛太に、何も知らない馬鹿が話し掛けて来る。

そんな、馬鹿の挨拶を完全に無視して俺は寝る……


「おーい?寛太くーん?」

う……うぜえ……


「あ?なんだよ」


「えー寛太くん怖い〜」

ふざけた顔をして、俺から距離を取ろうとする馬鹿……どうやら、女子生徒を演じている様だ。


「はーい!皆んな座って〜!」

担任の山崎先生の声が教室に響きわたる。

山崎先生は、教卓によしかかり口を開く、


「今日は、転校生の紹介です〜」


「「ええ!!」」

そんな、山崎先生の一言で教室が騒つく……

叫んでいるものや、ガッツポーズをしている馬鹿など、いろいろ……


「はーい、静かに〜入って来て〜」

山崎先生が、今日室に転校生を呼ぶ


「はい……」

小さい声で、返事をし入って来た人は……

背が小さく、黒縁メガネをかけ真っ青な瞳に水分を沢山含んでそうな頬っぺた、真っ白な肌……

そんな女の子


「す、須佐 莉緒です……宜しくお願いします……」

その子は、下を向きながら小さい声で挨拶をする。


「うーんとー席は〜あ!寛太の隣入れて上げな!」


「ええ……」

なんだ?男子の視線が冷たいぞ……俺なんもしてないのに……

そのまま、莉緒が俺の席の隣に座る。


「よろしく、寛太くん」

相変わらず声が小さい


「ああ、よろしく」____________


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