6 盗聴
『ガチャ!』部室のドアが静かにゆっくり音を立てずに開く。
「あ、あの失礼します」
部室へ入って来たのは、スリムで一際違う光を放って見える女の子、気弱で守って上げたくなるような…
「ど、どうぞ」
そう言って、寛太は席へ案内する。
久しぶりの依頼なので緊張して言葉が口から出て来ない。
「「…………………」」
沈黙の時間が流れる。気まずい……もっとこう明るい感じで……
その女の子は、寛太の顔を見て気まずそうに
「あ、あの.....」
「はい?」
震えた声で、寛太に話し掛ける女の子その姿は、何処か寂しそうで、恐怖を感じている。
そんな、感じがする.....
寛太は、頰を無理矢理上げ笑って見せた____
「ゆ、幽霊を見ちゃったんです」
体を震わせながら、口を開く女の子
「はい......?」
幽霊など、現代社会にとって昔の人が産み出した空想の産物とされている。
そんな、幽霊を見た………?信じ難い…
「私の部屋のタンスの中で『ザアアー』って音が毎晩聞こえてくるんです」
「へえー」
「怖くて怖くて一人じゃ寝れ無いんです」
「分かりました、今日あなたのお家に行き、そこで僕が確かめますそれでいいですか?」
気ダルそうに、依頼を了承する寛太、女の子は、ホッ と胸を撫で落ち着いた表情を見せている。
ま、大体この依頼の真相は、分かったんだけどね________
「お邪魔します」
寛太は、靴をキレイに揃え女の子の後を静かに着いて行く。
「ただいま、ママ〜」
「お帰り〜結衣〜てっ!結衣の彼氏さん………?」
俺の事を彼氏と勘違いしている結衣の母親…て言うかこの女の子結衣って言うんだ。
「お邪魔します。結衣さんの彼氏をさせて頂いてます斎藤 寛太です」
寛太は、多少の冗談を混ぜながら結衣の母親に頭を下げる
そんな、寛太の発言を聞いて結衣は顔を真っ赤にして動かない…
そのまま、俺は結衣の母親に結衣の部屋の場所を教えて貰いまだ思考停止している結衣をおんぶで連れていく
そこは、女子高生の部屋だった。甘い香りがしてとても綺麗な部屋。
「おーい、結衣さんー」
結衣の前で、手を振る寛太を見て意識が戻る結衣、
「あああ、れええ?いつに間に私の部屋!?」
本当に思考が止まっていたらしく結衣は驚愕した表情をして、また固まる。
寛太は、固まっている結衣をベットに寝かせそのまま現場の検証を始めた、まずタンスの中を調べる為タンスを開けると、可愛い服や下着が綺麗に畳まれている。
下着を見るのは、悪い気もするが検証の為だ…結衣さん許してくれ……心の中で俺は結衣に誤った。
何分か、タンスを調べているとやはり俺の思惑通り『盗聴器』がタンスから出て来た。
すぐに、その盗聴器のコードを切る。
これで、謎の『ザアア〜』の音は聞こえ無い筈………これだけしか仕掛けられていなかったら……
寛太は、一応調べる為夜までここに残る事にした___
「寛太さん…寛太さん!起きてください」
結衣の声が聞こえてくる。なんだか、肌寒く、寒気がする。
「ん……?なんだ……?」
まだ、寝ぼけて居る寛太を見て笑みを浮かべて居る結衣
「こんなとこで、寝て居ると風邪引きますよ…」
「あ…てっ!」
俺は、夜まで残ってまだ盗聴器が無いか確認しようとしていたらウトウトし始めて、寝てしまっていたらしい。
「お風呂沸いてます。入って来て下さい」
「え……あ、はい」
人の家でお風呂に入るのは生まれて始めてだ。それも、女の子も家……
「はあー」
結衣の部屋に盗聴器があった事は、結衣に知らせた方がいいのだろうか…?でも、それでもっと寝れなくなるかもしれない。どうする……
そもそも、何処の誰が盗聴器など………逆探知できる機会があれば…
「あ!!」
寛太の声が、お風呂に響く。
そうだ!居るじゃ無いか!逆探知機持って居る人!
「どうしたの〜寛太くんー?」
結衣の母親の声が台所から聞こえて来る
「いやーなんでも無いですー」
俺は直ぐ風呂を上がり服を大急ぎで着替へ結衣の部屋へ向かう。
部屋のドアを開けようと、ドアのぶに手を掛けると中から声が聞こえた…
「寛太くん………」
『バン!』とドアを開けると、結衣がさっき俺の被っていた毛布に包まりグルグル回っている、
何して居るの…この人…
「何してる…の?」
「へ…あ、あああああ!」
顔が真っ赤を通り越し真っ青になって、叫んでいる結衣
それは、何処か雪乃に似ている気がする。
「ま、まあそれはどうでもいい!ちょっと、静かにしろ結衣!」
寛太の言った通りに静かにする結衣
部屋から、『ザアアー』盗聴器の音…その音を聞いて結衣は震えている。
何処だ…寛太は部屋の中を手探り探す、すると次はベットの下に盗聴器が置かれて居た。
それを、ポケットにしまい寛太は、結衣の部屋を走って出て行く。
ある場所を目指して___________________
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