4 妹

「ただいまー」

誰も居ない家にただいまと言う寛太

ドアの鍵を閉め、玄関で靴脱ぎすてて自分の部屋に向かい部屋に入り、服を脱いでそのままお風呂場へ向かう


「「るるる~んんん~」」


何処からか、女の人の鼻歌が聞こえてきた。

嫌な予感がする…そう思い寛太は全裸のまま台所へ向かい包丁を二つ二刀流にして持ちお風呂場へ向かう

予感通り、風呂場の電気が着いている、やっぱ誰かいる!

寛太は体制を低くしながら、戦闘体制で風呂場のドアを『ガラ』と開ける________


中には、真っ白な肌でヒョコンと背を伸ばし座りながら髪をゴシゴシ洗っている女の子がいた


寛太が、「うああああ!」と叫ぶと女の子も、寛太に気づき「きゃああああ!」と叫んで、流れるような動きで俺の『急所』を狙い。本気で蹴って来る。痛い…痛い…、床に倒れこみグルグル転がる。


「ああああ!」

叫び苦しむ、寛太を余所に少しにやけながらその女の子は…


「大丈夫?お兄ちゃん」


「え……?あ、結城…?」


「そうだけど…」

顔を赤くしながらモジモジして小さく笑う結城

数年前、にあって以来一度も合ったことの無い妹…斉藤結城


「なんで、この家にいる」

寛太が鋭い目つきで結城を睨み、結城が少し縮まりながら下を向き静かに呟く



「お母さんが、死んだ…」



その言葉、に寛太は『嬉しい』ような『悲しいような』気持ちが、心に生まれた。

あの、憎い憎い母親の事が______


寛太がこの家で一人で暮らして居るには理由があった。


それは、寛太がまだ中学二年生の時、寛太が家に帰ると家は、ものけのからでリビングのテーブルに、


<お母さん、お父さんと結城で外国に行って来るね。>


こう書かれた手紙が乗っていた。それから、寛太は一人で『家事』『洗濯』をこなしてきた。

ずっと孤独で、そんな憎き母が死んだ…子供を置き去りにし、孤独にさせたあの母が…

寛太の口からほんの少し笑みがこぼれる。


「そうか…お父さんは…どうした?」


「私を置いてどっかいっちゃった…」

無理やり、泣くのを我慢して笑顔を見せようとする結城

だが、輝く瞳から一粒の涙がこぼれた。


「ああ、そうか」

結局、子供は置いて親は何処かへ行ってしまうだから大人は嫌いだ______



「それで、この家に住ませて下さい」

結城が、寛太に向かって深く頭を下げる。


「駄目だ」

断る寛太を、輝く澄んだ目で見つめる結城


「おねがい」


「駄目」


「どうかああ!」

そう、叫びながら床に土下座する結城を超上から目線で見下ろす寛太


「そもそも!年頃の男女が一つ屋根の下で暮らすなどあるかああ!!そんな、のアニメの中だけにしておけ!」


「そこをなんとかあああ!!」

あ、もう泣いている結城、ガチで泣いている。


うん、まあ変なことするわけじゃないし、一応、戸籍上兄弟だから別に……


「わかったよ」

そうして、結城を家に住ませることにした_________


ピピピ!

目覚まし時計の音が聞こえる…太陽が俺の顔を眩しく照らす。

朝か…


「お兄ちゃんー起きてー」

結城の声が一階から聞こえて来る。

いつもなら、二度寝して安定で遅刻するが結城が何回も一階から叫んで起こすのでさすがに起きることにした。


「はーーい」

寛太は、気だるそうに返事をして一階に下りる。

何だ…何かこげた臭いいが一階に充満して…


「ゴホ!ゴホ!おい!結城なんだこのこげた臭い!」


「お兄ちゃんごめんパン燃やしちゃった」


燃やした!?焦がすじゃなく?燃やしただと…!

結城の発言に、驚愕する寛太を余所に何知らぬ顔で台所で野菜を切っている。


「いった!指、包丁で切った!」

結城の、指を見ると血だらけで野菜までが真っ赤かになってたいた。


「ああ、ちょっと、待ってろ!今ばんそうこう持ってくるから!」

寛太は、走ってばんそうこうを取りに行き結城の指にばんそうこうを着ける。


「ありがと!お兄ちゃん!」

満面な笑みで寛太を見る結城。


「お前もう!包丁触るな!と言うか台所行くないいな!」


「はい…」

元気の無い萎れた声でショボイ返事をする結城


その後、結城が作った味噌汁と目玉焼きを食べ学校へ行く頃には、寛太はヘトヘトになっていた。


味噌汁は、超しょっぱくて口から吹き出し。目玉焼きは、もう目玉じゃなくなっていた…

それで、玄関にいくと結城がいきなり靴がないとか言い始めて。物置にお母さんの履いてた靴を引っ張り出して履かせ二人で走って高校へ向かい何とかチャイムが鳴る前に、教室へ入れた…

てか、靴ねえのにどうやって家来たんだよ……


「よう、寛太!元気ねーなどうした?」

調子のいい声で俺に話しかけてくる龍斗


「うーーん、まあ色々とね…妹が…」


「え!?お、お前妹居たっけ!?」

相当、驚いたのか声が裏替えっている。


「ああ、義理のね…」


「なんと!うらやましい!!」

ああ、始まった。コイツどんだけ妹好きなのよロリコンめ!!


「ああ、それ以上話すないいな」


「ええ……」

何処かの変態が悲しげに俯き廊下へ出て行く______________________



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