第155話 絶対不敗の決闘者 -22

    ◆



 エーデル・グラスパーは、目の前の少女の裂帛を耳にしていた。

 耳にしただけで何も対処できなかった。

 目の前の少女が剣を振り下ろしてくる。

 相手を殺すことへの迷いも無い。

 覚悟を決めた剣。

 そこに自身の命を絶つには十分な力が込められているのが分かった。

 文字通り、相手は100パーセントを超える力を出してきた。

 武人としてそのようなものは判る。

 肌で判る。


 だけど――


 負けを知らない。

 勝ちも知らない。


 そんな異常だった彼が、自身の敗北を目の前にして思ったのは――



(ああ――



 敗北したことに対しての後悔であった。

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