第154話 絶対不敗の決闘者 -21
◆
――信じているよ、遥。
その言葉が遥の耳に届いていたかどうかは、彼女自身にも分からない。
そんなこと、どうでもよかったから――
――いや、違う。
判り切っていたからだ。
拓斗が遥を信じているということを。
だから遥は応えなくてはいけない。
彼女の目の前にいる敵――エーデルは、拓斗のおかげで身体を開いて隙を作っている状態だ。
あとはここに一撃を叩き込むだけ。
だけど、たた叩き込むだけでは駄目だ。
相手はエーデル・グラスパー。
その能力は攻撃の反射――与えたダメージをそのまま跳ね返す。
つまり、遥がこれから斬りつければ、そのダメージは自身に跳ね返ってくるのだ。
怖くない――と言えば嘘になる。
体格差もあるから、遥の全力では彼は倒せないだろう。
つまり文字通り、100パーセントを超える力を出さないと相手を倒せない。
それを自分が出せるか?
自分にダメージが返ってくると判っていながら。
そして、100パーセントを超える攻撃ということは、自分へのダメージも当然――
――だけど。
遥はその心配をしていなかった。
恐怖はあったが、それでも、それを上回る信頼があった。
何故ならば言ったからだ。
拓斗が。
――「必ず僕が君を守るから」と。
ならば何も疑うことは無い。
遥がやることはただ一つ。
120パーセント――いや、それ以上の力でエーデルを斬るだけ。
「はあああああああああああああああああああああああっ!!!」
もう迷いも恐怖も無かった。
遥は目の前にいる敵に向かって大剣を全力で――いや、全力以上で振り下ろした。
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