スぺパイ!ーVol.1「恒星騎士誕生」

Chap1-1 火星にて

2017年10月15日

5年前より探査ローバー“キュリオシティ”によって送られてくる画像は天体ファンを毎回ドキドキ・ワクワクさせてはいるものの、それとはまた別で、秘密裏に火星における開拓は進行しており、人類と異星人の協力によって大規模コロニーが建設中であった。


異星人との接触をなかったことにする風潮は今も昔も変わらないが、少なくとも地球には20社近いの異星人のテクノロジーを有する企業・団体が存在する。


アメリカのSilver rabbit社は、エンリルと呼ばれているおおいぬ座シリウスよりやってきた異星人とアメリカンユダヤ系の会社で、表立ってはロッキード・マーティン社より小型核融合炉の研究を請け負っているが、実際には、恒星間移動のテクノロジーを、人類にどういう段階を経て引き渡すか?と言うシナリオライティングを主業としている。


勿論、諸々の異星人たちの手により火星は既に開拓されており、いくつかの大規模コロニーが建造され、またこのコロニー間で何度か大規模な戦争が起こってはいるものの、ここ近年、アステロイドベルトの内側の移住・生存における基本協定が各異星人間で取り交わされたことにより、比較的平和な状態が続いている。


Silver rabbit社は、2004年、NASAより依頼されて火星コロニー建設のための用地買収をした。但し、この用地買収は非常に強引なものであり、反対勢力との紛争が勃発するほどであった。この紛争に対し、アステロイドベルト内部運用委員会は火星に積極的に関与し、一端紛争は収まっている。


この日、Silver rabbit社のシリウス人スタッフは、現在の進行状況を地球人スタッフ及び数か国の政府の高官にお披露目する事になっていたが、そこで事件が発生した。


Silver rabbit社は開拓作業員として宇宙空間で犯罪を犯した囚人を雇っており、この囚人が反乱を起こしたのだ。


地球人スタッフを載せて地球⇔火星間を移動する移動艇が奪われ、シリウス人もろとも視察に来た地球人は惨殺された。


月にある、アステロイドベルト内部運用委員会、通称AIC(Asteroid Belt Inner Consults)には、この火星での暴動直後にすぐ連絡が入ったが、事件はほんの一瞬の出来事でどうすることもできなかった

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