キミを狙っている

第1話キミを狙う

キミは何も気にせず嵐やまないこの世を突っ走っている。

誰も無敵のキミを妨害できない。知ってるかい？　のんきな街のコンビニ全店でキミはVIP待遇だってことを。

僕がキミのSNSをフォローしないのは逃げられるのを避けるため。慎重に距離を測ってキミを狙う。虎視眈々（こしたんたん）とキミを狙う。

キミと接触できるのは週一のゼミの時間だけ。僕はさも女に興味がないように装（よそお）う。ゼミのコンパの時二人で乾杯したね。実はあのあと友人に冷やかされたんだよ。

僕がキミのSNSをフォローしないのは逃げられるのを避けるため。慎重に距離を測ってキミを狙う。虎視眈々（こしたんたん）とキミを狙う。

のんきな街でキミを自由に泳がせてきた。

キミが油断（ゆだん）するのを待つ僕はそろそろ出番のはず。僕は君を狙っている。虎視眈々（こしたんたん）と狙ってる。

この世はやったもん勝ちだというけれど、なんだかんだで最後にはテイラーとジャスティンが話題をかっさらっていく。そんなのを見て僕はせいぜい隣人（りんじん）を愛するだけ。隣（となり）のおばさんと笑顔であいさつ。２階の子供と笑顔であいさつ。老人と子供には人気あんだよ。

今夜も汚れた部屋で一人眠る。先日悪夢にうなされたよ。でも助けを呼んでも誰もいないんだ。

キミは何も気にせず嵐がやまないこの世を突っ走っている。

誰も無敵のキミを妨害できない。

キミは僕の唯一無二（ゆいいつむに）のヒロイン。