兎の虚無煮込み炒め
階段の踊り場ではうんこ座りをして雑談をする女子高生たちの姿が。
家ではテレビでひたすら砂嵐を流しながら涙する兄弟たちの姿が。
目に見えない毒が彼らの鼻と口に侵入して、やがて全身に行き渡る。
「どうして君はいつも虚無なんだ」
教師がそんなことを言っていた気がしたけど私は知らんぷりした。
高二の冬、私は知らない人と会ってから一緒に死のうとしていた。
何もかも無意味だ。
毎日毎日人間に気持ち悪い常識を押し付けられているピンクの兎があまりにも可哀想で同情した。
でも私には何もできなかった。
私はピンクの兎のように可愛くなんかないし、落ちこぼれの駄目な人間だ。おまけに無職で。
ごめんね、助けられなくて。助けられないのはいじめと同じだ。
もう光なんてない。
自分の腕にカッターナイフを押し付けたのは良かったが、勇気が無くて切ることはできなかった。
布団に包まれながら気が付いたら次の日になっていて、私がこんなにも悲しんでいるのに人々はいつも通りの顔で登校や出勤をしていた。
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