第三〇七節:晩春。
***
「よ、
「もう、遅いよ」
「ごめんごめん」
「こんくらいの季節って、雨。対策とお洒落どっち優先すればいいんだろなー。流石に
私が思っていたことをほとんどそのまま真護が聞いてきて、思わず吹いてしまう。
「急にどうしたんだよ」
「いや、なんでもないよ?」
明るい彼はいつも私には眩しすぎて、私なんかが付き合ってていいのかな、なんて年甲斐もなく感じる――と言ってもまだ大学生なのだが。
こんな時間が永遠に続けばいい。彼なら結婚も十分考えられた。彼のためなら死ねる、本気でそう思った。
彼の心中とは裏腹に。
***
面倒くさい女だな――柊真護は、
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