your story.
第一〇五節:晩夏。
『君に会いたい』――そう、強く思った。
***
こんなことなら連絡先を交換しておけばよかった……と今更な後悔をするが、もう既に遅い。
夏休みの初めの頃は、木々は
季節の過ぎ去りを感じる。それは、無駄に、
会いたかった。君の、
しかし俺は何もしなかった。
怯えていた。ただ、怯えていた。君が俺を憶えていない、その事実を
会いたくない。でも、君を見たい。
そんなことを考えていた
今の俺はとても出る気持ちになれなかった。
***
留守電が入っていることに気づいた俺は、静かにそれを聞いた。
『私が、誰かわかる? 多分君は忘れてると思うな。――
冴南の声で目が潤んだのは、気のせいだろう。
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