第6話 あのとき、、、

警察署に着くと、担当部署へ案内された。


何を話せばいいのか、私はどうするべきなのか分からないままだった。


担当部署へつくと、女性の警察官の人と2人で話をした。


あったことをこと細かく聞かれ、すごく嫌だったが、


同じ女性のため何とか話すことができた。


警察官の人は、「あなたの同意なく行為に及んでいるため、犯罪にはなると思いま


す。訴えるとなるとお金もかかってくるだろうし、あとはあなた次第。」と言われ


る。


正直、訴えることまでは考えていないし、とにかく関わりたくなかった。


それを、女性警察官へ伝えると、「また、気持ちが変わったり、何かあったときはお


いで。」と言われ、警察署をあとにする。


女性警察官と話していたとき、「私の彼氏、死ぬって言ってるんです!」


そう言おうと何度も考えましたが、私にその勇気はなく


結局そのまま帰ってきました。


家につき、彼に警察署に行ったこと、はなしたこと、訴えないことを


伝えました。


そうすると彼は、「じゃあ、もう死ぬから。」と言い、


電話の向こうでガタガタと何かしている様子。


彼が死ぬ準備をしていると悟った私は、仕事に行く前の彼の父親に電話をかわるよう


彼に言いました。


彼は、父親に電話を渡そうとしますが、父親は電話にはでず、


彼の準備行為を本気にしていないのか、「勝手にしろ」と言い


仕事に行ってしまう始末。


遠く離れていて電話でしか繋がっていない私は無力だった。


彼の準備は整った。


そして、必死に止める私の思いは届かず、彼は自ら命を絶った。


今でも耳に残っている。


彼の苦しむ声とそのあとの静けさ。


何の音も聞こえない静けさの中、必死に彼の名前を叫んだ。


彼からの返事はなかった。


我に返った私は、電話をきり彼の友達へ救急車を呼ぶよう連絡。


なかなか救急車がつかないもどかしさに腹ただしかった。


しばらくして、救急車が到着し、彼の友達から病院に運ばれたとの連絡をもらう。


「大丈夫。大丈夫だよ。きっと目をさます。」そう言ってくれた。


私も彼が目を覚ましてくれるのを願った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る