第6話

ゴブリンが大量発生した原因を探るため、煉とイキシアは群れがやってきた方向に向かっていた。ただし地上ではなく空を飛んで。


「手がかりっぽいもんは見つからないな。イキシアはなにか見つけた?」


「いや、こっちもさっぱりじゃな。」


煉とイキシアは数十mほど間隔を開けて地上を観察していた。会話はイキシアの無属性魔法の念話を利用している。


「ところで、レンよ。儂は飛行魔法があるがお主はどうやって飛んでおるのじゃ?実は最初出会った時に少し鑑定させてもらったのじゃが、お主の魔法には飛行に使えそうなものはなかったと思うが?」


「ああ、これは実は異能を利用してるんだよ。」


そう言って煉は原理を説明した。煉の異能である『操作』は現在Lv.3になっている。Lv.1で使えたのは固定だったが、Lv.2では『分子操作』、温度を変化させたり分子を固定したりできる能力が使えるようになり、Lv.3では『空間固定』という能力が使えるようになった。空間固定は空間そのものを固定できるという文字通りの能力だ。

 煉はこの『空間固定』で自身の周囲の空間を固定し分子操作によって自分を押すという形で飛んでいることをイキシアに説明した。


「お主は異能も持っていたのか。その、ブンシ?とやらが何かは知らんが異能の使い方が上手いのう。それらもカガク的な考えからなのか?」


「まあな。しかもこの異能って魔力消費しないんだよ。体も動かさないから疲れないし楽だぞ。」


「魔力を使わない異能か…。稀にじゃがそういう異能があると聞いたことはあったがまさか本当にあるとは…。しかも聞く限りではかなり強力な異能のようじゃな。」


そう話していると2人の前方に全貌が分からないほどの巨大な群れが姿を現した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る