第2話 到着
異世界の存在は長い間、答えの出ぬまま議論されてきた。
平行世界(パラレルワールド)説やもう一つの地球(アナザー・ガイア)論など様々な仮説が挙げられてきたが、現代の魔術、ましてや科学さえもその存在を証明できないでいた。
俺は目で見たものじゃないと信じれない人間だったのでその仮説は全く信じていなかった。
ーーーその俺がまさか本当に異世界へ転移してしまうとは夢にも思わなかったが
◇ ◇ ◇
「・・・ここは」
どの位意識を失っていたか分からないが、無事異世界らしき所に転移したらしい
万が一外部からの危害や悪意があった場合、強制的に目覚めさせる術式があるのでそれが発動しなかったことは特に何もなかったらしい
(本当に異世界なのか?)
何処に飛ばされたのか皆目見当もつかないのでまず調べる必要がある。
(この位置の座標確認だな)
俺が今いる場所の緯度、経度が分かれば俺が何処にいるかが分かる。
早速魔術で確認するが・・・
(反応なしか・・)
やはり、ここは地球以外の何処からしい
「という事は本当に異世界か・・・」
本当に来ることになるとはな・・・
すると俺はある事に気付いた。
「王宮の中や森に転移してないな」
書店で読んだ小説では、王宮や森へ転移して
勇者になってくれとか、力を授けよう的な展開があるはずなのだが、それが全くない
まあ、あれはフィクションであるから当たり前といえば当たり前だが、
「ここは、建物の路地裏か?」
周りを見てみると両隣にビルらしきものが建っていた
しかも高さが尋常ではなく恐らく30階以上ありそうだった
しかし、両隣がビルであるということは、
「転移せずに元の世界のままなのか?」
という疑問が浮かび上がる
しかし、その疑問は先程座標を確認したのでここは元の世界以外となる。
「じゃあこのビルは一体・・・」
と、とりあえず調べようとしたが、
「ウィーン」
という機械音がした。
「うん?」
と横を振り向くと
2台の監視カメラが俺を捉えていた。
「・・・・・・」
ジーという音と共にカメラのレンズと数秒目が合ってしまった。
「・・・・・・」
あ、コレって結構マズい雰囲気・・・って明らかにそうだろ!
「ヤバい、ヤバい、ヤバい!」
今すぐここから離れないと大変なことが起きそうな気がする。
案の定、俺が路地裏から出ようとその時、
「ピーーーーーーーーー!!!」
「クソッ!!」
大音量でアラートが鳴り響いた。
俺は急いで路地裏から出ると辺りは夕日が差し掛かっていた。
ビルの大きさで転移した場所に日の光が届かず気付かなかった。
逃げようとして何処へ逃げようかと思い、辺りを見渡すとここが異世界であると思い知らされた。
まず、人が球状の乗り物に乗り、移動していた。それだけでも驚きなのにその球状の乗り物は地面から浮いていた。
「なんっ!?」
更に、これは俺にとっては良くないことであるが、遠くからサイレンを鳴らしながらドローンのような機体が数体迫ってきていることだ。
「ちっ!仕方ない」
だが、この程度の驚きは現代で魔術師をやっていたならば日常茶飯事だ。
すぐに俺は【隠形】の術式を行使して身を隠した。
「霧隠(キリガクレ)」
すると俺の姿は途端に見えなくなる。
(ふう、少しヒヤッとしたな)
まさか、異世界に移転して、目覚めてから1分もしない内にこうなるとは思いしなかった。
と、少し落ち着いていると俺の場所に4台のドローンがやってきた。
(流石にバレはしないだろ)
この術式は俺のオリジナルで、かなりのモノだと自負している。
こっちに向かって来たドローンの様子をしばらく伺っていると、ブンッといきなり音がしたかと思うと、ドローンからいきなり銃がでてきて、
「うん?」
「ドドドドドドッ!」
といきなり撃ってきた。
「はあ!?」
と驚きもつかの間、自動的に物理防壁の術式が行使された。
弾は殺傷力の無い素材を使っているようだが、当たったら気絶くらいはするだろう。
だが、それよりも
「何でバレた!?術式の失敗か!?」
そう俺は考え、もう一度【隠形】の術式を行使しようとしたが、
「何だ?何だ?」
「おい、【ABU(アブ)】が撃ってるぞ!」
「誰もいないのに故障か!?」
「とにかく離れろ、巻き添えをくらうぞ!」
通行者や車内の人が急いで逃げ出すが、俺は通行人が言った言葉で、術式の行使を留まった
(誰もいないのにだと・・・)
「人には俺の姿が見えていない?」
じゃあ、術式は失敗していないのか?
だったらなぜ、あのドローンもどきには俺の姿が見えたんだ?
いや、今はその疑問は後回しだ。
「まあ、とにかくあの近所迷惑なモノをどうにかするか」
このまま銃で撃たれ続けても面倒なので
俺はあのドローンもどきを破壊することにした。
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