闇ギルドの童歌

沖田 陣

闇ギルドの童歌

夜風に乗って 唄が聞こえる


五つの呪言じゅごんと七つの福音ふくいん

奴らはちゃんと 聞き取れたかな?


銀のやいばに手がかかる

柄にはびた紋様一つ

いよいよ悪魔の お出ましだ


俺の身体からだを食い破るため

奴らの歩みは 止まらない


ぐるりと一帯あたりを囲んでいる

その中に一人 黒づくめの男

静かに笑って立っちゃあいるが

奴の心は 穏やかじゃない


バリバリ バリバリ

俺の心臓を食い破るため

の立て方をためつすがめつ


俺にはほとんど時間がない

言ったかな 俺の兄貴は奴らの一味

独善的な断罪人

今日もどこかで わらっている


ダガーの刃先に 悪臭漂う薬を塗った

触れれば 即座に神に出会える

恐らくそいつは わらっちゃいるが


夜風に乗って 唄が聞こえる


言ったっけ? 俺の家族は奴らの一味

どいつもこいつも 俺の敵


ぐるりと一帯あたりを囲んでいる

その中に一人 白づくめの女

にせの笑顔で隠しちゃいるが

あいつの舌は さえずっている


チロチロ チロチロ

俺の魂を吸い出すために

血の抜き方を 聖書で学んだ


もう外には出られない

ダガーの刃が きらりと光る




夜風に乗って 唄が聞こえる

誰かの悲鳴と重なって


夜風に乗って 唄が聞こえる

八つの怒号どごうと一つの祈り


言っただろう? 昨日の俺は奴らの一味

この世の全てを焼き払うため

神の炎に 手を出した


夜風に乗って 唄が聞こえる




聞こえているのは 俺だけか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

闇ギルドの童歌 沖田 陣 @sharerain

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ