第12話 暗殺…

 一方、ドイツでは。

 マルクは自分の屋敷に着いていたが、エドのヘリが飛んで行くのが見えた。

 まさか、あいつらー!

 すぐにでも捕まえたいが、自分のジェットは修理中だ。


 くそう、こうなればヘリでも構わん。

 マルクは、遠ざかっていくヘリしか見えていなかった。


 シュンッ!


 風が空を切る。

 色んな音が入り混じっている為、気が付いていなかった。

 誰もが、自分のジェットを修理や点検をしている。

 その為、自分で格納庫に赴き、ヘリを物色していた。


 音もなく、血に飢えたドーベルマンが静かにやって来る。

 屋敷中のドーベルマンが何者かに操られているかのように、格納庫の入り口に向かう。


 ヘリを動かすことが出来ず、マルクはイラつきながら外に出た。

 すると、ドーベルマンの群れに気づき、指示を出した。

 だが、動かない。

 ドーベルマンは、マルクを囲むようにジリジリと距離を詰めてくる。

 ドーベルマンは、一斉にマルクを襲う。

 マルクはワルサーしか持っていなかった。

 すぐに弾切れになったワルサーに弾を詰めようと隠れるが、何か異音が聞こえる。

 パチパチ…と。


 音がする方に振り向くと、誰かが自分にくっ付いてこようとする。

 「貴様ッ、私を誰だと思ってる!離れろっ!」

 「ふふ…。撃ちたければ、撃てばいい」

 「その声は…。どういうつもりだっ」

 相手はマルクにしがみ付き、心は先ほど見かけた人に向いていた。

(エド。最後に、貴方に会えて、顔が見れて良かった)


 異音が、パチパチと大きくなってくる。

 風に煽られ、目の前の奴の服の中が見える。その身体には、ダイナマイトが火花を散らしている。

 そいつが口を開いてきた。

 「マルク。貴様も『無』に還れ」


 その言葉が言い終わると同時に、爆発が起きた。

 ドンッ!


 続いて音がする。

 ドンッ、ドンッ! ドドンッ!!


 マルクの傍まで寄っていたドーベルマン数匹は巻き添えを食らい死んだ。

 残ったドーベルマンは散らばった肉塊に鼻を近づけ、匂いを嗅いでいる。

 口に入れようとしたら、足音が聞こえてくる。

 人間だ。

 ドーベルマンの口からは、涎が垂れている。

 音がした方に駆け寄ってきたパイロットは、格納庫の側まで行かなくても様子が分かった。

 ドーベルマンが一体何匹…、いや何十匹居るのだろうか。

 そして格納庫も爆発したのだろう、その形跡が…。

 散らばってる肉塊を目にして、青褪めた。

 「ヒッ…!だ…、誰かっ」


 パイロットは走って逃げた。

 ドーベルマンは、逃げていく人間を追った。

 あっという間に追いつかれた。


 「ギャーー!」



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