第9話 叔父と甥っ子の話し合い

 マルクは起き上がると、頭を横に振る。

 うう…と呻くと、目の前に居るヒロトに気が付いた。

 「ヒロト。そいつを、こっちに寄越せ」


 ヒロトはマルクを睨んでいる。

 「マルク。お前は、こいつに何をした?」

 「最初は、あの人に会わせようと思ったが…。どうやら、そいつは何かを知ってる様だ。聞きたい事が、いくつかある」

 「こいつに何を聞きたいんだ?」

 「…まあ、いい。お前も、エドも一緒にドイツに連れて行く。一石三鳥だ」


 ヒロトは憮然として言った。

 「ドイツに連れて行ってどうするつもりだ?爺さんは棺桶に入ったのか?」

 「縁起でもない事を言うなっ」

 「私は言ったんだ。『今度呼ぶ時は、棺桶に入った時にしろ』と」


 エドは笑ってるが、マルクは渋い顔になってる。

 「私は聞いてない。ある書類に、お前がサインすれば済む。それだけの話だ。

それに、お前のデータにアクセス出来ないから、色々な場所へ足を運んでいたんだ。エドの所に居るとは思ってもなかったよ。データぐらい開示しろ」


 マルクは呟いているが、ヒロトは一言だけだった。

 「腕の良いプログラマーが居るからな。そいつに任せてる。それじゃ、帰らせてもらう」


 だが、マルクは譲らない。 

 「待て。そいつを置いて行け」


 勿論、ヒロトも譲らない。

 「諒一は置いてってやるよ」


 お前もしつこいな…と呟いたマルクは、もう一度言い放つ。

 「その男もだ」


 その言葉に、ヒロトは即答だった。

 「断る!」


 ジェットのクルーは悩んだが、ドイツに連絡を入れて指示を仰いだ。

 ドイツからの指示は一言だけだった。

 「そのまま、こっちに戻ってこい」


 今度は、エドワード様のヘリがある。

 だから、そのままドイツに戻ったのだ。

 ワープをかけて、最速スピードで。

 10分足らずで、ジェットはオーストラリアからドイツの屋敷にあるヘリポートに着いた。

 エドワードのヘリはジェットの格納庫から出ると、ヘリポートで給油と点検を済ませた。これで、帰りのエネルギーは十分にある。

 パイロットは、それだけではなく飲食類も運んだ。


 勝手知ったる管轄塔に入って行くと、今までに起きた事をリーダーに話したからだ。その結果での、行動だった。

 その時、リーダーの判断で、ある特別な物を付けてくれた。

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