第8話 奪取、成功

 カンカンカンカンッ……。


 ジェットの格納庫からコクピットに向かって走っている4人の内、2人は迷わずにプライベート室へ向かってる。ヒロトとエドワードだ。その2人を追うように、マサとカズキが走る。

 銃声が聞こえる。

 単発が散弾に変わった。

 エドは呟いてる。

 「あいつは、自分のを壊してるのか…」

 もう少しで着くという時に、誰かが床に這いつくばってるのが見えた。

 すると、叫び声が聞こえた。


 「ジョーーーーッ!!」


 エドは安心した。

 「トモは元気みたいだな。今回は離れてて良かったよ。マルクの奴、蹲ってるだろうな」

 ヒロトはダッシュをかけた。

 「トモッ!」


 ヒロトの、その走りを見て3人は目を瞠った。

 「はやっ!」


 ヒロトは蹲ってるマルクを見ると、蹴り上げた。

 「マルクッ…、お前は許さんっ」

 マルクは下から蹴り上げられ、天井に頭をぶつけてしまった。


 「トモ、大丈夫か?もう大丈夫だからな」

 ヒロトはトモを抱き締めると、トモは匂いを嗅ぎ相手が分かったのか、呻き声は止まった。

 その様子を見ていたエドは思い出していた。

 「トモは、ヒロト様の匂いを嗅いでますよ。本人にしか分からない区別ですよね」と、苦笑しながらアランが言ってた。その言葉に、「トモは犬か…」と、自分は苦笑して返していたものだった。

 アラン…。

 いや、今は浸っている時ではない。


 「マルク。自分の部屋は、自分で片づけろよ」

 そう言ったエドは、2人の日本人に目を向けた。

 「怪我は?」

 「大丈夫です。それよりもボス…」

 2人の声が、同じ様に重なってくる。

 「ああ、トモは大丈夫だ。ヒロがトモを診ている」

 タカは呟いてる。

 「発砲が好きな人ですね。単発だけでなく散弾まで持ってるなんて…」

 エドは、タカに聞いた。

 「どっちが先に撃った?」

 「私は最初は構えてたけど、撃ち返すより避ける方に集中してました。ボスの事はユウマに任せてね。ああ、そうだ。それと…ボスに向かって撃ったので、私は銃尻で叩いたんですよ。でも、少ししか当たらなかった」

 なるほど、この男は頭の回転が速いのか。私の一言で、知りたい事を幾つも返してくれる。

 「しかし無茶苦茶に撃つ人ですね。せっかくの調度品がもったいない」

 「タカ、ここ見て」

 「なんだ?」

 「これ。まるでネズミの巣穴みたいだ。少し大きいけどな」

 ユウマが指差した個所を見て、タカは呟いていた。

 「本当だ。私達をネズミ呼ばわりしてくれたんだ。今度は、この人をネズミ呼びしてやろう」

 そう言うと、ユウマとタカは2人して笑っていた。


 それを聞いてたエドは感心していた。

 この2人の男達は肝が据わってるのか、度胸があるのか、単純バカなのか。どちらなのだろうと。


 そう思ってたら、カズキが見かねてエドに言ってきた。

 「エド・ボス。その2人も私と同じですよ」

 「何が?」

 「同じ大学の同じ医学部を卒業して、ドクターをしています。

 ボスの周りを囲んでいた9人の内の2人ですよ」

 「え?ユタカとも同じ…」

 「そうですよ。ラーメン屋と、マサと、ユタカと、タカと、ユウマと、ワンと、私。そしてボスを入れて8人共、同じですよ」


 カズキの、その言葉を聞きエドは面食らった。

 あのラーメン屋も、そうなのか?


 だが、大団円にはならなかった。

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