出会いの記憶-③

「家、隣なんだね」

「そう、みたいだな」

「ねえねえ家の人っていたりする?良かったら挨拶したいんだけれど」

「どうだろう。今いるかな。少し待ってて」

僕の家に僕の両親なんているはずないのだが

何故か虚勢を張りたくて僕は両親を探すふり

をした。誰もいない無人空間に胸が張り裂け

そうになりながら僕は家中をいるはずのない

両親を探す。

「今日は出かけてるのかな。だったらまたの機会にするね。」

「ああ。そうしてくれ。」

「...もし君がよければ晩御飯食べに来ない?」

「うーん。」

僕としても白浜の家に迷惑をかけることが

できなかった。だから僕は5分ほど考えた。

考えているあいだは白浜も何も言わなかった

「じゃあ。ご馳走になろうかな。」

と僕がいうと白浜はとても嬉しそうな顔をした。僕の答え次第ではこんな顔は見れなかったかもしれない。そして僕は恋をした時の

胸のドキドキを知らずに生きていたかも

しれない。今ならそう考える瞬間だった。

この記憶は初めての恋の記憶に繋がるのだ。

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