しばらくこちらはお休みさせていただきます

第16話 トラベルウィークれ6日目!スグの気持ち

「ん、ん〜」

ガバッ

「あれ?タクトくん、今日は早いですね?」

「あ、あぁ!スグ!え?あ、目が覚めちゃってな!ははは……」

「昨日のこと、気にしてるんです?」

「あ、あぁ……」

「大丈夫ですよぉ!だって可愛い形してましたし!」

「か、可愛い……カタチ!?」

(あれのどこが可愛いんだよ!俺の股間に可愛いもんなんてついてねぇよ!)

「はい!キュッと引き締まっていてすべすべでした!」

「す、すべすべ!?スグ……もしかして触ったのか?」

「は、はい……す、少しだけ……」

「少しでもアウトだよ!」

「でもでも!小さくて可愛かったんですよ!」

「ち、小さいっていうなぁ!」

「羨ましいですぅ!だって私のは最近お肉がついてきたような気がして……

大きくなってきたような気がするんですよね、お尻」

「……へ?お尻?」

「はい、ダイエットしなくちゃですかねぇ」

「お尻?お尻かぁ!」

「はい、お尻……ですが?」

スグは自分のお尻を擦りながら小さくなれ〜なんて言っている

(危ない危ない、危うく妄想が一線を越えてしまうところだった……

そうだよな、お尻だよな!いくらスグでもそんな簡単に股間を触ったりしないよな!)

「まぁ、タクトくんの成長した男の子の証も少し触りましたけど……」

「……」

終わった……、俺の健全で紳士的なライフが終わりを告げた……

あぁ、どこからかジョーヤの鐘の音が聞こえる

煩悩よりも俺の過去を消してくれ……

「でもでも!ちょっと触っただけですから!あの、チョンって、ほんとですよ?」

「だからそのチョンが既にアウトなんだよぉぉぉ!」

「スグちゃん、嘘はダメですよ?」

「み、ミクちゃん!しぃー!」

「お、ミク!ごめん、うるさかったか?」

「大丈夫です、起きる時間ですから……

それよりスグちゃん、チョンじゃないでしょ?」

「ミクちゃん!それは言わないって約束じゃ ……イテテテ、わかりぃまひた!ほんこのここいいまふ(ホントのこと言います)」

ミクがスグのほっぺをぎゅぅーっと引っ張るとあっさりスグは白状し始めた

「ほ、本当はチョンじゃなくて……ぎゅっとしました……」

「……ぎゅっ?」

「に、握りました!」

「に、握った!?」

「だ、だってぇ、小さい頃のタクトくんのと比べたかったから……」

「……」

「タクトくん?大丈夫ですか!」

「はっ!一瞬意識が違う場所に……」

だが、ちょんでさえアウトなのに握るなんて……

「お、女の子としての恥じらいを持ちなさい!」

「女の子だから興味があるんです!男の子はが興味持ってたら変態さんです!」

「スグの方が変態だよ!」

「ひ、酷いです!」

「酷いのはスグの方だよ!おれの初めてを……、初握りを……」

「は、はじ……!?」

スグは俯いて黙ってしまう

「スグはいつもそうやってなんでも行き過ぎなところがあるから「私じゃ……」……へ?」

「私が初めてじゃ不満ですか?不服ですか?そんなに嫌ですか?」

「あ、いや、そんなことは……」

「じゃあちゃんとそんなことないって顔してくださいよ!」

タクトは今更、恥ずかしさを怒りでごまかそうとしていたことに気づいた

「私は……私はタクトくんのことが好きだから!大好きだから!自分でもやりすぎたなって思うこともあって……、それでもグイグイ行かなきゃ、何もかもが私より上なミクちゃんに全部もっていかれるんじゃないかって不安なんです!」

「スグ……」

「スグちゃん……、そんなこと……「ないわけないの!」……」

「私のことは私が一番よく知ってる、料理もできない、歌もうまくない、片付けだって普段手伝わないし、女子力ないし、昨日だってそう、タクトくんが疲れてるのわかってたのに自分が生きたいところばかり行って」

「それは!俺がスグの好きなところにいこうって言ったから!」

「確かにそう言ってくれた、でも、それを私は優しさだって気づいてたのに言葉に甘えてたんだよ!いつもそう……終わったあとに公開する……、なんで私ってこうなんだろう……、なんで学ばないのかな……」

「俺は!」

「もう黙っていてください!」

「!?」

「どうせ私と初めてあった日のことなんて覚えてないくせに……」

スグの目からは涙がこぼれ落ちた

「今日は二人だけで楽しんできてください……、私は少し独りになりたいです」

そういうとスグは部屋を飛び出していってしまった

「スグ!?」

タクトがすぐに追いかけようとしたがミクがそれを止める

「今言ったって無駄ですよ」

「無駄って……、そんな!」

「そうでしょう?今追いかけたところでスグちゃんをもっと傷つけるだけです」

「……わかった」

タクトはソファに座り込み頭を抱える

(なぜ俺の恥ずかしい昨晩の話からこんなことに……)

「まずはどうやって仲直りするかですね」

「なんでミクはそんな平然としていられるんだ?」

「平然としているのではなくて……呆然としているのですよ、スグちゃんがあんなに怒ったことなんて今まで1度も……」

「あぁ、そうだな……」

というかいつも笑っているスグが怒るなんて考えられなかった

そのせいで違うとはっきり言えなかった

「でも、仲直りってそもそも喧嘩なんて初めてだしわからねぇよ……」

「そうですねぇ……、タクトくんはスグちゃんのこと、好きですか?」

「え?あ、あぁ、仲間として……」

「異性としては?」

「そ、それは……わ、わからない」

「そこですよ!そういう曖昧なのが女の子は一番嫌なんです!女の子を不安にさせるワードの上位なんですよ!」

「え!?で、でも……」

「仲直りするにはタクトくんの本当の気持ちをぶつけないとダメだと思うんです、そうすればきっと分かってくれますよ?」

ミクの視線は温かい

「俺の気持ち……、あぁ、わかった!」

タクトは力強くうなづく

「うんうん、それではスグちゃんを探しに行きましょう!」

二人は部屋を駆け出した

だが、広い大地のどこを探せばいいのやら……

「探すって言っても広すぎるだろ……」

「わからない以上、このあたりを手当たり次第に探しましょう!」

「わかった、俺は商店街を見てくる」

「わたしはビーチと森林を見てきます!」

二人は別々にスグを探し始めた

二人は必死に探し、店の中、裏路地、岩の影まで手当たり次第に探した

だが夕方になっても見つからない

スグにメールをしても返信が来ない

ミクに連絡をして、いなかったと伝える

ミクからも同じ返事が返ってきてガックシと肩を落とす

砂浜で二人は落ち合ってやはり肩を落とす

このまま見つからなければどうしよう

そんな考えを沈みゆく太陽が急かす

「クソっ!どうすれば!」

俯いたタクトの目に白い砂浜に落ちていた何かがうつる

「これは……」

「髪留めですね……、はっ!」

「もしかしてこれって……」

これは確かにスグの髪留めだ

よく見ると赤色の髪の毛が挟まっている

きっとスグのだろう

「タクトくん!これをつかいましょう!」

「髪留めなんてどうするんだ?」

「髪留めじゃなくて髪の毛を使うんですよ」

ミクが取り出したのはバーチャルマップだ

「マップ?でも、これだとどの区域に仲間がいるかはわかっても場所まではわからないだろ?」

「でも、この髪の毛にはスグちゃんのデータが詰まっています、魔力と一緒に細かいデータをマップにインプットすれば……」

「! 場所がわかるかもしれない!」

「タクトくん!手を貸してください!」

「わかった!」

タクトはマップに手をかざして魔力を注ぎ始める

ミクは髪の毛をマップのシステムと繋ぎ合わせてデータを送る

マップはだんだんと細かく表示されていく

そしてそれはひとつの地点に印をつけた

「成功です!」

「これは……あそこだ!」

地図の示すほうを見ると遠くに半分海に面した丘が見える

近くまで行ってみるがスグの姿は見当たらない

「おかしいな……」

もう一度周りをみて回ってみる

すると……

「タクトくん!こっちに洞窟があります!」

行ってみると海に面したところに洞窟が見える

「きっとあそこだ」

二人はギリギリの足場を慎重に歩き、入口にたどり着く

入口は海面とほぼ同じ高さにあって入口から中は下り坂のようだ

慎重に入っていく

ミクの炎のおかげで暗くはないがそれも先が見えない

「このあたりにいるはずだが……」

地図によるとスグのいる場所とタクトのいる場所はほぼ重なっている

あたりをよく照らしてみると一瞬、人影が見えた

そこを照らしてみると

「スグ!」

だが、様子がおかしい

一人でなにかをブツブツ言っている

「私なんて必要ないんだ……

私はいらない子だ……

このまま一人で死んでいくんだ……」

「スグ!スグ!」

肩を揺すってみるが反応がない

「こうなったら無理やり抱えて連れて……」

その瞬間、なにやらゴーっという音が聞こえた

地面がかすかに揺れている

「な、なんだ?」

「地震でしょうか?」

と、その時!

入口の方から大量の海水が流れ込んできた

「うわっ!」

「きゃぁ!」

海水に押し流され、岩壁に叩きつけられてしまう

「イテテテ……、すぐ、スグは!」

スグはあさっての方向を向きながらぼーっとしている

タクトはスグに駆け寄る

「大丈夫か?」

「私はいらない子、ここで溺れて死ぬんだ……」

「そんなことない!」

その間にも海水の水深は増していく

ついには息をするのも精一杯なほど海水で溢れてしまった

「ま、まずい……、スグ!しっかりしろ!」

「私はいらない子だ」

「そんなことない!」

「私は死ぬんだ」

「死なせない!」

タクトはスグをぎゅっと抱きしめる

「……」

「これからもずっと……一緒だ!」

「!? ほんとう……ですか?」

スグの目は腫れている

ずっと泣いていたのだろうか

「ほんとうにずっと一緒ですか?」

「本当だ!」

「うぅ……ずっとずっとですよ?嘘をついたら……爆裂魔法ですよ?」

「あぁ、ぶっ飛ばしてくれ!」

「ふふっ、ドッカーンですよ……」

もう息ができない……

ゴボゴボゴボ……


シュウゥゥン……

_________________________________________

……ゲホッゲホッ

「あれ?生きてる?」

「生きて……ます!生きてます!」

「テレポート完了です」

「ミク!テレポートできるならさっさとしてくれよ!」

「そうですよ!ほんとに死ぬかと思いました!」

「だって、極限状態じゃないとホントのことって言えないじゃないですか?」

「「た、確かに……」」

「というか二人ともすっかり仲直りですね」

「ま、まぁな」

「ふふっ」

そう笑うと突然スグがタクトに抱きついてきた

「ぎゅぅーっ!」

「い、いきなりかよ……」

「えへへ、今日一日分のぎゅうっです!」

「あのさ、好きってやつの返事だけど……」

「いつでもいいですよ?」

「……いいのか?」

「はい……今日のことでタクトくんが私のことを恋愛対象としての好きではないことがわかりましたから、私のことを本気で好きになった時に返事、よろしくお願いします」

「あぁ、わかった」

タクトは不思議と笑みがこぼれた

「これからはタクトくんにベタベタしません!しつこくくっつきません!」

「絶対?約束?」

「ぎくっ!ん〜、で、できる限りです!」

「まぁ、嬉しいには嬉しいんだけどな……場合にもよるよな」

タクトもまんざらでもないようで……

「それじゃあ帰ろうか」

「はい!」

歩き出したタクトの左腕にミクがくっついてくる

「私はいつも通りにしますよ?」

「あ、あぁ……ははは」

ちらっとスグを見ると案の定、我慢の顔をしている

ただ、それも長くは続かない

貪欲な赤毛の子犬はタクトの右腕に猛進!

わたしの!という感じでくっついてきて

「や、約束は……明日から実行します」

なんとも芯の弱い約束だ……

結局約束が守られることはなかったのだが……


二人に挟まれたまま宿泊所まで帰りレストランで夕飯を済ませた

部屋に帰るとニヤニヤしながら二人が

「タクトくんがお先にお風呂、どうぞ!」

と言ってくる

「絶対入ってくるなよ?」

そう念を押して部屋のバスルームに入る

運良く内側からしか開けられない頑丈な鍵がついていたので曇りガラスにチラつく影の主を回避できた

風呂から上がり寝室に戻るといかにも不服そうな二人の姿が……

約束とやらは一体どこへ……

タクトはベッドに寝転ぶと今まで感じなかった一日分の疲労が体をベッドから離させまいと重圧をかけてくる

その心地いい疲れに促され、タクトは眠りの中に落ちていった……

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ライフ・ゼロライフ HP0で冒険続けてます プル・メープル @PURUMEPURU

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