第11話 トラベルウィーク1日目!山には地図を!
朝起きたらいつもの朝食
ではなく、今日はお弁当作りを手伝う
タクトとスグもエプロンをつけてミクのそばに行く
スグは短パンに半袖の寝巻きを着ているためエプロン外からはほとんど肌色しか見えず少しエロく見えてしまうが着ているのだ
安心してください、着てますよ!
だが二人に手伝う猶予も与えずにミクはさっさと調理を進めていく
まぁ、初心者の二人がミクを手伝おうなんて甘かったのだ
こちら側二人の料理スキルはLv.1
それに対してミクは最大Lv.80をカンストしているのだから
これはどんな食材でも調理を完璧にしてしまうというレベルで成功確率100%なのだ
ちなみにスグに同じことをやらせると産業廃棄物を生み出す
二人はせめてもの手伝いとして食材をせっせと運ぶ
そんなこんなで弁当作りは終わったがあとは荷物を整理しなくてはならない
山に海にと行くとなるとかなりの量だ
予定では1週間くらいいるつもりで山に3日、海に4日だ
ミクの垢切れも治り始めているのでこの様子だと海にも入れるだろう
服やら下着やらをリュックにまとめ、それぞれ背負う
肉やら野菜やらも一つにまとめる
それはタクトが持つ
「なんでストレージに入れてくれないんですか?」
何故か敬語である
「だって、雰囲気がでないですよ」
「いや、雰囲気の前に死にます・・・キャンプ場つく前に死にます」
「だいじょうぶ、タクトくんならやれる」
「そうそう!男の子ですもんね!」
女子二人はそう言っていらっしゃるが目は
持ちたくない
そう言っていた・・・
仕方なく荷物を持ち上げて部屋を出る
今にも肩が外れそうな重圧に耐えてやっと階段を降りる
だが、まだまだ道のりは長い
キャンプ場の近くにはテレポーターがなく、歩いていくしかない
街の南から抜けた場所の先にゲルマウンテンがある
あれが目的地の山だ
結局、ふもとにつくのに三時間ほどかかってしまった
だが、まだ山を登らなくてはならない
「まだ歩くのかよ・・・」
タクトがボヤいているとスグが
「私たちはまだまだ歩けますよ?ねー」
ミクも「ねー」と返すが
「それは二人が疲労軽減魔法を使ってるからだろ!俺にもかけてくれよ!」
「ダメです!」
「何でだよ?」
「頑張ったあとの美味しいご飯の味をタクトくんに食レポしてもらうためです」
「なんで俺だけ!?二人も一緒に「嫌です!」えぇぇー」
理不尽だ、不条理だ
「女の子は繊細なんです、こんな山道に重い荷物はキツすぎるです」
「俺も繊細だよ?ガラスのハートだよ?傷付いちゃう」
「だいじょうぶですぅ!」
スグは唇を突き出して威嚇
そのまま振り返ってさっさと歩き出してしまう
「ま、まってくれよ!」
タクトも急いで追いかけるが差は広がっていくばかり
「くそっ、SPDアップ魔法まで使いやがった・・・」
タクトはリグレットを噛み締めながら必死に追いかける
しばらく歩いて二人が立ち止まっているのが見えた、近くまで歩いて
「はぁ、はぁ、ど、どうしたんだ?」
「た、タクトくん・・・あの・・・」
二人の顔色からすればだいたい察することが出来る
なぜなら二人はずば抜けた方向音痴だからだ
普段はタクトのスキル
「ど、どうしましょう」
スグはオロオロしている
ミクはというと慌てるというより申し訳なさそうにしていた
タクトもかなり焦っていたが二人の様子を見ると自分がそんなではいけないと思った
タクトは二人の頭をポンポンと叩いて
「大丈夫だ、俺が何とかする」
「ほ、本当ですか?」
「あぁ、本当だ!」
タクトが笑顔を見せるとスグも笑顔を見せる
ミクも同じだ
それにキャンプに来ていたのだ
用具は揃っている
「少し歩いてみようか」
二人ともうなづいた
「どっちに行こうか」
タクトは
3人は辺りを歩き回ってみることにした
だが、いくら歩いても木だらけ
景色も変わらない
歩き回っているうちにあたりが暗くなってきた
もうそろそろ夕食の時間だ
「もうこんなに暗くなっぢゃいました」
「疲れました・・・」
スグもミクも疲れ果てたようでタクトはそれ以上に疲れている
「何を食べようか」
「BBQするです!」
「ミクは?」
「わたしも・・・」
「じゃあ、準備しようか」
準備と言っても野菜と肉を出すだけだ
バーチャルグリルはメニューに搭載してある
これは一部のNPCに搭載されていて耐久度命のタクトにとってはありがたい機能だ
準備をさっさと済ませる
焼くのはタクトの役割だ
「「「いただきます!」」」
美味しそうにやける肉と野菜
ミクは野菜をメインにバランスよく食べるがスグは肉ばかりをバグバク
「肉ばっかり食べてたら太るぞ?」
「うっ!きょ、今日だけは特別です!」
「いつもそう言ってるじゃないか」
「ムゥ〜、今が幸せだからいいんです!」
なんじゃそりゃ・・・
「それに・・・いくら太ってもタクトくんが結婚してくれますから!」
「確定事項!?」
「ね?」
グイグイ詰め寄ってくるスグの圧迫感につい顔が縦に動く
「ムフフッ」
不敵な笑みを浮かべるスグ
一部始終を羨ましそうに見つめる人、約1名
むしゃむしゃとやけ食い?していらっしゃる
_________________________________________
「ご馳走様でした」「ご馳走様です」
「食った食った」
食べ終わった時にはもう完全に日が落ちていた
テントの準備をしなければならない
まぁ、バーチャルテントだから簡単に建つのだが
「よし、完成!」
スグとミクは食材の片付けをしてくれていた
タクトはテントの中に3つの布団をしく
だが、思ったより小さくて結構キツキツだ
「タクトくん!終わりましたよ」
二人が駆け寄ってきた
そのあと、寝巻きに着替えるためにミクとスグが先にテントに入る
タクトは寒いが外で済ませた
タクトがテントの入口をポンポンっと叩くと
「もう入っていいですよぉ」
という返事が返ってきた
タクトがテントの中に踏み入ると二人は両端の布団に寝転んでいた
タクトは真ん中しか選択肢に無いわけだが寝てみるとやはり3人は狭い
「せ、狭いな・・・」
「じゃあ、こうすればいいのです!」
スグはミクと何やら目配せをするとそれぞれ呪文を唱える
すると二人の体は縮み、寝巻きもダボダボになってしまった
どうやら幼化の魔法を使ったようだ
「タクトくん、どうでちゅか?」
滑舌も回らないくらいの歳まで幼化してしまった二人がいつものように擦り寄ってくる
二人が小さくなったことでたしかに広くはなったが二人がギュッとしてくるために心はキツキツのままだ
「タクトくんの隣で寝まちゅ」
「わたちも・・・」
スグはいつもと変わらないように感じるがミクは何だかすごく可愛らしくなった気がする
いつも可愛いのだが普段はどちらかというと可愛いより綺麗
擦り寄ってくるときは可愛いけど・・・
だからか小さくなると子猫みたいで守りたくなる
二人はタクトの布団に入り込んできてモゾモゾする
「ちょ、な、なにを・・・」
布団の中で見えないが多分、服の中に入ってきている
そしてひょこっと顔を出したのはちびミク
ちびスグは布団の横からムウッとした顔で現れる
どうやら服の中に入れる選手権に敗退したようだ
だが、タクトの頬に擦り寄ると幸せそうに目を瞑る
ミクは服の中でもギュッと抱きついていた
(の、伸びる〜、服が・・・)
「み、ミク?ちょっと・・・あ、」
タクトがミクを見るともう寝息を立てていた
スグもおなじく・・・
幼化の影響だろう
良い子は早く寝なくちゃね
そんなことを思いながらタクトは目を瞑る
明日にはキャンプ場に着かなくては
そんな使命感を抱きながら・・・
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