第8話 神殿は見つかりにくい場所にありがちだがその割にご褒美は少ない・・・

3人はかなり奥まで進んできたらしい

「光が少なくなってきたな」

近くはかろうじて見れるのだが遠くにいる敵が見えない

「なら私が何とかします!」

スグは人差し指を立てて唱える

「炎の玉よ、私たちのために闇を照らして!」

するとその人差し指の上にボッと炎の玉が現れる

「お、明るいな、サンキュ、スグ!」

「どういたしましてです」

周りも明るくなったことで暗いのが苦手なスグも少し安堵したようだ

だが、灯りに寄ってくるのは人間だけではない

ガサガサッ

「な、何です!?」

「ん?どうした、スグ?」

「い、今なにか音が!」

「音?聞こえなかったけど・・・」

ガサガサッ

「ほ、本当だ!」

「ね?ね?な、何なんでしょう、タクトくん!見てきてくださいよぉ〜」

「あ、あぁ、じゃあちょっと待っていてくれ」

そう言ってタクトは音の聞こえた茂みに近づいていく

「何かいましたか?」

耳元で囁かれた

「いや、なにも・・・って、ギャァァァァァ!」

「す、すごい驚きっぷり・・・」

「な、なんだ、ミクか・・・」

「なんだとは酷いですね・・・」

喋り方からしてミクも少し緊張しているようだ

ミクはダンジョンに潜ったりする時は緊張感からかいつもしゃべり方が丁寧になる

いつもは「酷い・・・」の所を

「酷いですね・・・」と言っているところから読み取れるだけだが・・・

「ごめん、ごめん!いきなり現れるから・・・」

「驚かせるつもりは無かったのですが・・・」

「だが、何にもいないな・・・」

「じゃあ、さっきの音は一体・・・」

キャーッ!

「っ!スグの声だ!」

「さっきの場所からです・・・」

二人は急いでさっきの場所に戻る

するとそこでは大きな蝶のモンスターがスグに近づこうとしていた

「こ、来ないでください!うぅ〜」

スグはさっきの炎の玉をブンブン振り回して追い払おうとしている

だが、蝶のモンスターに逃げる気配はない

「あっち言ってください!近寄らないでください!怖いですよぉ〜、うぅ〜、えい!」

ついにはその炎の玉を蝶に向かってえい!っと投げてしまう

しかし蝶はひらりと避けてスグに・・・

ではなく炎の玉について行った

「スグ!大丈夫か?」

「その声は、タクトくん!みえないけど大丈夫なつもりです!」

「今そっちに行くからな!」

「はい!待ってます」

手探りで木の間を歩いていく

見えないが足音が聞こえるのでミクも着いてきているのだろう

「タクトくん!私はここですぅ!」

気がつくと足元で声がする

「こ、ここか?」

しゃがみこんで手さぐりでスグを探す

「あっ、ちょっと、んっ、あっ、ま、まって!」

(なにか柔らかいものがある・・・どこかで触ったことがあるような・・・)

「んんっ、も、もぉ!や、やめて・・・ください・・・」

(なんだ?何かを思い出せそうな・・・)

その瞬間、タクトのデータベース上に熱を出して二人に看病してもらった時の朝を思い出す

(ま、まさか!これは・・・スグの胸!?)

「い、いや、違うんだ!これは、全く見えてなくて・・・そ、それで・・・」

その瞬間、あたりが急に明るくなった

ミクの光属性魔法の囁かな灯火のようだ

そしてタクトの目に映ったのは・・・

スライムだった

「うぉ!す、スライム!?」

スグはどこに?と思い振り返ると後ろの足元にスグが倒れていた

その体にはスライムがまとわりついていて

「や、やめてくださいよぉ、た、タクトくん!見てないで助けてください!」

じゃあ、今まで触っていた柔らかいものって・・・

「スライムだったのかよぉ!!」

辺りはもう完全にスライムに囲まれていた

そしてミクね体にもスライムが登ろうとしている

「ちょ、や、やぁ、のぼらないでっ・・・んんっ!」

ミクはそのスライムたちを引き剥がそうとするが半液体のスライムに効果はなく、どんどん登ってくる

「た、タクトくん!た、助けてください!」

涙目で二人とも訴えてくる

(ど、どっちから助けたらいいんだ?わ、分からねぇよ!)

そうこう考えているうちにもスライムの侵食は進んでいく

「や、やぁですぅ!服の中に入ったらやぁですよぉ〜!」

「やめてぇ!スカートの中は・・・だ、だめよぉ!」

や、やばい、早く何とかしないと少年が見てはいけないものになってしまう!

「そ、そうだ!」

タクトは何かを思いつき、二人に向かって手のひらを向ける

「はぁぁぁ!俺の魔力を・・・!」

すると二人の体の中心から徐々に魔力のバリアが出現していく

それは二人の体を包み込むほどに大きくなり、体に張り付いていたスライムたちを無理やり引き剥がし、どこかへ飛ばしてしまう

「ふ、ふぅ〜」

「は、はぁ、はぁ、あ、ありがとうございます、魔防バリア作戦成功です!」

「ありがとうございます・・・」

「あぁ、よかった・・・」

スグはいつもの元気な姿だが、ミクは少し気にしているようだ

まぁ、普通は思春期設定の女子が男子にあんな姿を見られたらこういう反応をするのだろう

スグは幼馴染という関係もあってのこの反応だから少し異性に対して麻痺しているのかもしれない

スグもタクトも・・・

「と、ところで・・・ここどこだ?」

ゴチャゴチャしていたせいで右も左もどっちから来たのかわからなくなってしまった

「ど、どうしましょう!?帰れなくなったら嫌ですよぅ!」

「こんなことになるなら昼飯、残しておけばよかった・・・」

歩きすぎて3人ともお腹がすいてきていた

あたりをキョロキョロしているスグが急に悲鳴をあげる

「ひっ!」

「ど、どうした、スグ?」

「あ、あそこに・・・人魂が!」

「ひ、人魂!?」

恐る恐るスグの指さす方を見てみる

確かに火の玉が浮かんでいた

「うわっ!ってよく見たらさっきのスグの炎の玉じゃないか?」

「ん〜?あっ!ほんとです!私のです!」

「やっぱりか・・・でも、なんで断言出来るんだ?」

「実は、私の打つ火の玉の中には私の名前が入っているんです!」

3人は火の玉に近づいて見てみる

「あ!本当だ!スグルってかいてあるよ!」

「えへへ、私、けっこうれんしゅうしたんですよ?」

「見えない努力、見えない成果、好きだぞ?俺は・・・」

「えへへ、タクトくんに褒められたですぅ」

スグは火の玉を回収し、幸せそうな笑顔を浮かべている

だが、この森から出られない状況は変わらない

「どっちに進めばいいんだ・・・」

「タクトくん、迷子の時はむやみに進むともっと迷うことがありますから気をつけましょう!」

「あぁ、じゃあどうしようか・・・」

「こうするのです!」

ミクは自分の杖を地面に立てて倒れた方を指さして言った

「こっちです!」

「いや、それほどむやみな方法は無いわ!」

タクトは軽くミクの頭にチョップ!

「だ、ダメですか?」

「あぁ、ダメだ!」

「だ、ダメですかにゃ?///」

「可愛く聞いてもダメだ!」

一旦落ち込んだミクはもう一度顔を上げて息を吸う

「もちろん、泣いて言ってもダメだ」

それを聞いてミクは肩を落とす

しかし、どっちに行くかも決まらない以上、出られない状況は変わることは無い

「・・・まぁ、たまにはむやみに進むのも大事かもしれないな!」

ミクの笑顔が咲く

「じゃあこっちに行きましょう!」

ミクを先頭に先の見えない道を進んでいく

何見えないだけあって葉と葉がこすれる音さえも不気味に感じる

3人は木々をかき分けて進んでいく

すると開けた場所が見えてくる

「な、なんだ?あそこは・・・」

「神殿・・・ですか?」

見た目は神殿と呼ぶにふさわしい形をしていて入口にはこのゲームの神の一人であるサヒルの石造りの像が建てられている

「お、おっきい扉ですぅ」

重そうな扉を押してみると意外と軽く空いてしまう

「こういう場所にはテレポーターがあるかもしれない、探すか?」

タクトは二人に聞く

「はい!探しましょう!」

「うん・・・」

「よし、じゃあどこから・・・」

見た感じ部屋が三つあるようだ

どれか一つが正解なのだろうか

よく見ると壁にこう書かれていた

『どこかの部屋のボスが皆の探すものを隠している』

つまり三つの扉の奥にはそれぞれボスがいてどれかがテレポーターを隠しているということか・・・

「どれにしようか・・・」

「迷ったら右です!」

スグが胸を張って言う

「じゃあ、右にするか!でも、もしハズレだったら・・・」

「や、やっぱりやめるです!タクトくんが決めてください・・・」

「じゃあ、真ん中だな!」

「ま、間違えてたらタクトくんの責任ですよ?」

「ははは、心配になるようなこと言うなよ・・・」

一粒の不安の種をまかれたタクトは真ん中の部屋に踏み込む

3人が入ったところで入口が閉ざされてしまう

「ひっ!で、出られないです?」

「そうみたいだな・・・」

すると三人の目の前に石造りの神サヒルが現れる

その右手には弓が握られている

「ワタシトショウブシロ!」

「勝負?」

「セナカアワセデアルキ、サンポアルイタラユミヲウツ、アイテノヤニアタッタモノガハイシャダ!」

「つまりガンマンゲームね・・・ならば、わたしが相手になるわ!」

ミクが名乗りをあげる

確かに1番弓を使いこなしているのはミクだ

「頑張れ!ミク!」

「頑張ってくださいね、ミクちゃん!」

ミクは力強く頷きサヒルと背中合わせで立つ

その瞳は完全にバトルモードだ

「ショウブハサンカイショウブダ、ニカイアテタホウガカチダ、イイカ?」

「うん、いいよ!」

二人の頭上にはデュエルの文字が浮かび、赤い丸と青い丸がそれぞれに二つずつ

これがなくなった方が負けなのだろう

「「1!」」

二人は同時に一歩を踏み出す

「「2!」」

もう一歩・・・

「3!」

その瞬間、二人は同時に振り返る

だが、先に矢をはなったのはサヒルだ

その矢は一直線にミクの胸に!

グサッ!

ミクの青い丸が一つ減った

「み、ミクちゃん!大丈夫?」

「う、うん、ごめんね、次は大丈夫だから・・・」

ミクはサヒルに向き直り

「思っていたよりも強いね・・・」

「アナタハワタシノケイサンヨリモハルカニヨワイ・・・ワタシノカチハキマッタヨウナモノダ、アキラメロ・・・」

「それは無理だよ?だって・・・次は私が勝つからさ!」

ミクの目には曇など存在しない

真っ直ぐで澄んだ色をしていた

「いけぇ!ミク!お前なら勝てる!」

第2ラウンドの文字が表示される

「1!」・・・「2!」

・・・「3!」

「コンドモワタシガイタダキデス!」

また、サヒルの矢が先に放たれる

だが、

「二度も同じ手には屈しませんよ!」

ミクは杖を取り出し唱える

「神よ!狂った神を倒すため、聖なる力を与えたまえ!ビルド!」

ミクの弓矢は金色の光を放つ

「くらえ!」

そこから放たれた矢はサヒルの矢とぶつかる

だが、強化魔法・ビルドのかかった矢は簡単にサヒルの矢を破壊し、サヒルの左肩へと刺さる

それと同時にサヒルの左肩は破壊され、持っていた弓矢が吹き飛ぶ

サヒルの赤い丸がひとつ消える

「ケ、ケイサンフノウ、ケイサンフノウ・・・」

そして第3ラウンドの文字が現れる

「あれ?どうしたの?弓矢を持たないの?」

「ケイサンフノウ・・・ケイサンフノウ・・・」

「そう、じゃあ、遠慮なく行かせてもらうね!1!2!さーん!」

言い終わると同時にミクは振り向きざまに矢を放つ

緑色のオーラを放つ矢はサヒルの脳天に突き刺さる

「ケ・・サン・・・・ノウ」

それに追い打ちをかけるように地面から鋭利な草木が飛び出し、サヒルの体を串刺しにしていく

「ピーピピピーピィ〜・・・」

サヒルはついに動きを止める

そしてミクの頭上にWinの文字が表示される

「勝ちました!」

「凄かったよ、ミク!」

「初めは負けちゃうかと思いましたが勝ててよかったです!」

喜びもつかの間、扉が開くと同時にサヒルが爆発する

「に、逃げるぞ!」

「こわいですぅ〜!」

3人はギリギリで部屋から滑りでることが出来た

「あ、危なかったな・・・」

振り返るとさっきまでいた真ん中の部屋は完全に塞がれてしまっていた

「残りの二つも同じような部屋なんですか?」

スグは心配そうな顔で聞いてくる

「あぁ、少なくとも一つはそうなんだと思う・・・」

確率は2分の1

「次は左だ!」

「わ、私怖いですぅ」

「来るだけでも来てくれよ!じゃないと始まらないんだ・・・」

どうやら三人揃わないとボス戦は始まらないらしい

「わ、分かりました・・・」

まだ震えている体を無理やり動かしてスグは着いてくる

また、3人が入ったところで入口が閉ざされてしまう

「次はなんだ?」

するとまた目の前にサヒルが現れる

しかし、今度は剣を握っている

「ワタシトデュエルヲシロ!」

一対一、それにデュエル

タクトにとっては好都合だ

二人に戦えるところをアピールするため、タクトは名乗りをあげる

「今度は俺がやるよ!」

「タクトくん!頑張ってくださいね」

スグはミクに抱きつきながらも応援してくれる

「あぁ、かっこいいところを見せてやるからな!」

タクトは二人に笑いかけてサヒルに向き直る

「デハハジメル」

頭上にはデュエルの文字

サヒルのHPは2万

タクトのHPは0

耐久度は全快だ

スタートの合図とともに同時に駆け出す

サヒルは先制攻撃を狙い水平切り!

だが、タクトはギリギリのところで大勢を落とし、そのままスライディングをくらわせる

重心を失ったサヒルはそのまま転び、タクトはその隙をついて剣を振り上げる

だが、サヒルはそれを足で蹴り、攻撃を防ぐ

「なかなかやるな」

「アナタコソ」

タクトはもう1度剣を構え直し、サヒルに攻撃を仕掛ける

だが、さっきよりもサヒルのスピードが上がっている

刃と刃がこすれる音が響く

「ソコマデデスカ?ナラワタシノホンキヲミセテアゲマス!」

そう言うとサヒルは後方に大きく飛び退き、剣を上空に投げる

それに目を取られた瞬間、気がつくと目の前にサヒルの拳があった

「グフッ!」

まともに顔面パンチをくらい、視界を失ったところを後ろから蹴りを入れられる

タクトの体は軽く吹っ飛び、立つことが出来ない

そして上空にはサヒルが投げた剣が落ちてきていた

サヒルはそれを空中で掴み、そのまま振り下ろす

エイムはタクトの脳天

「タクトくん!諦めちゃダメですぅ!」

その言葉が心に刺さり、剣が刺さる寸前でサヒルの腹部に蹴りを入れ、サヒルもろとも剣を蹴り飛ばす

「はぁ、はぁ」

「ネバリマスネェ」

「俺の本気はこんなもんじゃない・・・まだ、戦える!俺の本気をくらえ!」

タクトはもう一度サヒルに向かって駆け出す

「ナンドヤッテモオナジデス、アナタハココデハイボクスルサダメダ!」

サヒルはタクトに向かって剣をふる

だが、

「リフレクト!」

タクトは魔力を盾にし、サヒルの攻撃を防ぐ

「ナンダト!」

リフレクトによってサヒルは反動でよろける

「くらえぇぇぇ!奥義!サイドトルネードブロー!」

タクトの剣はサヒルを貫通し、流れるように強力なトルネードがサヒルの体にぶつかる

巻き上げられたサヒルは地面に叩きつけられ行動を停止する

タクトの頭上にWinの文字が表示される

「よし、勝ったぜ!」

「かっこよかったですよ!タクトくん!」

「うん・・・凄くかっこよかった・・・」

「ありがとう、でも・・・さっきの感じからすると・・・」

ドガーン!

サヒルがまたもや爆発した

「やっぱり!」

「ひぃ〜!またですかぁ〜」

またもや崩れ落ちる中をかいくぐり3人は部屋から脱出する

「ふぅ〜、二回目とはいえ、やっぱりこわいです・・・」

やはりスグはまだ怖がっているがミクがよしよしをすれば元通り、元気なスグに戻ってしまう

「つ、次のボスはどんなのでしょう・・・」

3人は恐る恐る部屋をのぞき込む

「何もいないですね・・・」

「入ったらまた登場するんだろうな・・・」

「タクトくん、どうぞ・・・」

「え!俺が先!?」

「はい!タクトくんは強いですから・・・お先にどぞ!」

「ぐぅ〜、お世辞だとわかっていても喜んでしまう自分がいる!」

二人の眼差しがタクトを急かす

「わ、わかったよ、先に行けばいいんだろ?」

「さすがタクトくんです!」

「さすがは男の子ね・・・」

やはり、3人が入ったところで入口が閉ざされてしまう

そしてまたサヒルが・・・

でばなく・・・

「ワンちゃん?」

「子犬か?」

「ワンチャンです!」

なんと目の前に現れたのは小さな子犬だった

そして真っ先に駆け出したのはスグ

「ワンちゃーん!」

いきなりすぎる飛び込みに子犬も驚いたようで逃げ出してしまう

「まってよぉー!」

子犬は同じ場所をぐるぐる

スグもぐるぐる

予想外の展開にあとの二人はキョトン・・・

_________________________________________

「め、目が回りましたぁ〜」

スグは回りすぎてこの状態だ

「本当にこいつがボスなのか?」

「聞いてみたら?」

「おい!お前はボスか?」

タクトが犬に問いかけると子犬は近寄ってくる

「って答えるわけないだろ!」

子犬はタクトの手に擦り寄ってペロリ

キュンっ

「あ、やばい、可愛いな、こいつ!」

タクトは子犬を抱き上げる

子犬は足をじたばたさせながら尻尾をふる

「た、タクトさ〜ん、その子、飼いたいですぅ!」

「飼う・・・かぁ、でもなぁ・・・世話もあるし・・・」

「ちゃんとやります!私がやります!」

「本当か?」

「はい!タクトくんに誓って!」

「いや、俺に誓わないでくれ・・・」

タクトはミクに目を向ける

ミクは子犬に興味津々なようだ

「ミク?」

「は、はい!」

「飼いたいか?」

「・・・・・・はい、」

「よし!じゃあ飼うか!」

「ほんとうですか!?」

スグはキラキラした目で擦り寄ってくる

「あぁ、だが、この子犬がいいと言えばだがな・・・」

スグはすぐさま子犬に駆け寄る

「ワンちゃん?私と一緒に来てくれますか?」

すると子犬は

「いや、ワン・チャンって誰やねん!俺、そんな名前ちゃうわい!」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「なんや?なんか言うてみぃ!」

「こんな犬、いるか?」

スグもミクも大きく首を振る、横に

「じゃあ、置いていこうか・・・」

「いやいや、ちょっと待ちい!わてがボスや!わてをたおさんと出られまへんで!」

「じゃあ、やっちゃうか・・・」

「い、いや、ちょっと兄さん?落ち着きなはれ!いや、そんな刃むけんといてって・・・え?ちょっ・・・トランス解除!」

その瞬間、子犬の姿は変形しサヒルになった

「うん、だよな!わかってた!薄々気づいてたよ」

「ワタシトショウブシロ!」

「めんどくさいです」

「あぁ、めんどくさい」

「めんどくさいです・・・」

「ワタシトショウブシロ!」

「サウザンドストーム!」

「エンパイアブレイク!」

「ガイアブレス!」

三人が放った奥義はサヒルの跡形も残さないまでに粉々にしてしまう

「「「ふぅ〜スッキリ!」」」

ガラガラガラ!

「お!やっぱり崩れてきやがった!」

「あそこにテレポーターがあります!」

「急いで脱出だ!」

3人は崩れ始める神殿から脱出するべくテレポーターに乗る

「全員揃ったな!よし!「「転送!バハクーレ!」」」

3人は光の雫になって消えた

_________________________________________

シューン

「や、やっと帰ってこれた・・・」

「う、うぅ、帰ってこれたです?みんな無事です?」

「あぁ、みんな無事だ」

「良かったですぅ!」

「一時は帰ってこれないかと思いました・・・」

ふわぁ〜「眠くなっちゃったです・・・」

ふわぁ〜「わたしも・・・」

ふわぁ〜「俺もだ・・・早く帰ろうぜ」

「はい・・・Zzz」

「た、立ったまま寝るなぁ!」

倒れそうになるスグをギリギリで受け止める

「スグ、おきろ!」

「Zzz・・・」

「はぁ〜」

「手伝いますよ?」

「いや、いい、こうするから」

タクトはスグをお姫様抱っこして歩き出す

それを見たミクは羨ましそうな目をしていたが何かを思いついたような顔をして

「はっ!・・・Zzz」

「寝た振りをしても俺の手は余ってないぞ?」

「ムムッ・・・」

ミクはしかめっ面をしていたが諦めたように肩を落とした

「わかったよ!また今度してやるからな?」

「はい!」

ミクは今日最高の笑顔を見せる

_________________________________________

「ふ、ふぅ〜」

何とかスグをお姫様抱っこしたまま階段を登りきり宿屋のベッドに寝かせることが出来た

ミクもそのまま寝転んでしまい寝息を立て始めた

(俺も少し寝るか・・・)

タクトもスグの隣に横になる

(あ、やっぱりベッドはソファーより寝やすいなぁ・・・)

そのまま吸い込まれるように眠りに落ちていった・・・

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