第一話 終わりは次の始まりというが俺はまだ終われない!

タクト、スグ、ミクの3人は街で聞いた噂を頼りにある場所に来ていた。


ここがなかなかの危険地帯でリスポーンする敵もなかなか強い。


全員がLv.30で敵は平均Lv.40


三人でかかってなんとか倒せる程度だ。


しばらく進んでお腹もすいてきたので3人ご飯にしようと影を探す。


ちょうどいい影を見つけてレジャーシートを広げる。


ちょいど3人並んで座れる大きさだ。


「はぁー、お腹すいた!」


「ふふふっ、私もです」


「わたしも」


スグがストレージからランチを取り出して並べる。


「おっ!今日はサンドイッチか!美味そうだ!」


「スグちゃんのサンドイッチ、わたし大好きよ」


「二人ともありがとう!どうぞ召し上がれ!」


3人並んでいただきます!


「もぉー、タクトくん!ハムサンドばっかり食べてちゃダメですよ?」


「だって美味しんだよ!なぁ、ミク!」


「うん、私もたまごサンド好きだから」


「んー、まあ喜んでくれてるなら良しとしましょう!」


モグモグモグと食べる手が止まらない。


気がつけばあっという間に完食!


「「「ごちそうさまでした!」」」


「少し休んだらまた進みましょうね!」


「あぁ、遅くなるのも危ないし早めに進まないとな」


「ところでタクトくん、ここにあるレアアイテムって何なの?」


「えっとなぁ、たしか片手剣で二刀流可能バフ付きらしい」


「凄いじゃない、それはタクトくんが欲しがる理由も分かるわ」


「でも私たちは両手を使う技の習得中ですからね……」


「そう!だからこそ俺も両手技が使いたいんだよ!」


「じゃあ、タクトくんのためにも頑張りましょうね!」


「「えいえいおー!」」


「二人ともサンキューな!」


「うふふっ、どういたしまして。まだ終わってませんけどね?」


「最後まで油断は禁物よ」


「ああ、じゃあそろそろ行くか!」


3人は荷物をまとめて立ち上がる。


スグのサンドイッチのおかげでHP、MP、全回復!


おまけに状態異常も解除されて万能すぎる!


しばらく真っ直ぐ進んでいく。


「ここら辺は敵がいませんねぇ」


「てことはそろそろ目的地かもな」


「あれは?」


ミクが指さした方には大きな扉があった。


「これだ!」


タクトは飛び跳ねて喜ぶ。


「やっとつきましたね」


「ふふふっ、喜びすぎですよぉ」


「それくらい嬉しいんだもんな!」


タクトは一人で走り出した。


「ま、待ってくださーい!」


「ちょっとまって!わたし、足遅いから追いつけないわ!」


しかしもう待てないとタクトは大きな扉を開ける。


中にはひと部屋しかなく、ただ一つ、中央に宝箱が置いてあるだけだ。


「もぉー!待ってくださいって言ったのにぃー」




「やっと、追いついた……」

タクトは宝箱に駆け寄る。


「これで俺もTUEEEEに昇格できる!」


勢いよく開いた宝箱から出てきたのは―――。


「……あれぇ?」


「そ、それって……」


「マメ……よね?」


ただ、HPの最大量が少し上がるだけのマメだった。


しばらくの沈黙の後、最初に切り出したのはスグだった。


「まっ!こんなこともありますよ!噂ですから!」


「そうですよ、噂ですから……」


「二人ともありがとうな」


せめてもの救いとしてマメを食べる。


『タクトの最大HPが1上がった』


「う・・・うぅ・・・たった1かよ!」


「大丈夫ですよ!また、噂を聞いたら私たちも手伝いますから!次がありますから!」


「そう、次がある」


「そうだな、いつもの事だもんな!ごめんな!また男らしくないところ見せちゃって……」


「いえいえ、私はタクトくんのそんなところが好きですよ!」


ミクも頷いてくれる。


「ありがとうな!」


あっ、やばい、少し涙が……。


「なんで泣いてるんですか?」


「いや、ちょっと感動しちゃって……」


スグはタクトの右腕を包み込むように抱きしめて。


「しっかり涙を見せられるのも、男の人の強さだと私は思いますよ?」


すると、ミクもマネをして左腕を包み込んでくれる。


「う、うれしいけど……ちょっと歩きにくいから……」


「このまま帰りましょう!ね!ミクちゃん!」


ミクもうんうんと頷く。


「え?ちょっと恥ずかしいんだけど……」


「大丈夫ですよ!ここら辺には誰もいないですから!」


仕方なくそのまま建物をあとにする。


(あぁ、腕強く抱かれすぎて痺れてきた……)


「あのさ、もうそろそろ―――――」


ドカーン!!!


「へ?」


ものすごい音とともに砂埃が舞い上がる。


「な、なにゅごこでしゅか?」


スグは混乱しすぎて噛みまくっている。


砂埃が収まり始め、徐々にその正体が見えてくる。


「な、なんだこれ!?」


そこには巨大なモンスターがいた。


見たこともないモンスターだ。


どんな攻撃をするのか、情報は持ち合わせていない。


するとモンスターは俺たちを標的ヘイトする。


いや、標的は俺単体のようだ。


直後、右手に持ったこん棒を振り下ろしてくる。


3人はとっさにかわす。


スグとミクは左へ、タクトは右へ。


タクトは防御態勢をとる。


しかし、モンスターは標的を変え今度はスグ達の方を標的ヘイトした。


モンスターは先程とは違う予備動作を行い、地面をえぐるようにこん棒を振る。


「くっ!避けきれません!」


スグ達はそれに巻き込まれて崖っぷちまで飛ばされてしまう。


モンスターはそれを追いかけ、ダメージで動けない二人をめがけてこん棒を振り下ろす。


「や、やめろぉぉぉぉぉ!」


タクトはとっさに走り出す、だが、間に合う距離じゃない。


「クソっ!なんで、なんで!なんで俺じゃないんだ!なんであいつらがやられなくちゃならないんだよ!クソッタレェェェェ!」


もう、だめだ!


……そう思った時だった。


「ん?あ、あれ?」


何かおかしい……。


モンスターが動きを止めていた。


いや、モンスターだけじゃない。


スグもミクも砂も雲もすべてが止まっていた。


「な、なんだ?いや、そんな暇はない!いつ動き出すかわからないんだ!今のうちに!」


タクトは二人の前に飛び出し、攻撃を受け止める体制をとる。


その瞬間、すべてが動き出した。


構えた剣にモンスターの攻撃全てがのしかかる。


「えっ?タクトくん?いつの間に!」


スグが驚いているがそんなことを気にする余裕はタクトにはなかった。


「ぐっ!さっきの痺れが……!た、耐えられない!」


タクトはなんとか攻撃をずらし、直接攻撃は防いだが、発生した爆風に巻き込まれてしまう。


3人は吹き飛ばされて谷の底に消えていった。

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