~魔法使いと騎士~エピローグ

 読み聞かせるにはいささか量の多いその話を、女の子は何も言わずに聞き入る。

 朝食を食べた後から読み始め、終わる頃には太陽が沈む寸前。

 習慣化したその読み聞かせ。

 女の子はその物語を忘れてはいけないと自分に言い聞かせるように、何度も何度も母親にねだった。

 ある時は寝る前の少しの間に、ある時は暖かく心地よい風が吹く昼下がりに。

 最後まで読むかどうかは別として、女の子は眠気で船を漕いでも、完全に眠りに落ちる事はなく、誰かがそれを止めるまでその話に耳を傾け、そして読み続けた。

…きょうはここでおしまい?…

…ええ、もう夕食の時間…

…ん~、そうか~。じゃあ、あしたも読んでくれる?…

…ええもちろんよ。アリエスちゃんがそれを望むなら、いつでも読んであげるわ…

…やったー…

 母親もそれをやめる事はない。

 母親にとって、それが成すべき事だから。



…魔法使いと騎士、終わり…

…運命の竜、つづく…


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