第五話…「炎と故郷」【1】
山の方、おねぇ達が向かっていった方から、大きな爆発の音や、怖いと感じる声…叫び声が何度も村の方まで届いた。
人の叫び声に似ていて、あたしはすぐにお母さんの所に駆け寄る。
お母さんは大丈夫と言ってくれたけど、その表情はいつもの優しさの詰まった笑顔じゃなかった。
皆の帰りを待ち、無事を祈っていた人達も、ザワザワと落ち着きを無くしてる。
ドンドンッと遠くから響いてくる魔法の音。
アアアアァァァァーーーーッ!
それをかき消すように聞こえてくる叫び声は、思わず耳を覆いたくなるほど大きくて、周りから小さな叫び声とか、赤ちゃんの泣き声とかが聞こえてくる。
「お母さん」
---[01]---
何が起こってるのかわからないし、その叫び声も怖くて、すがるように震える手でお母さんの手を握った。
お母さんもしっかりと握り返してくれたけど、その手からも震えを感じる。
でも、感じる揺れはそれだけじゃなかった。
叫び声が聞こえなくなって、周りがまたざわつき始めた時、人の声とは違う何かが聞こえ始める。
それにみんなが気付き始めた時には、音だけじゃなくて体で感じられるぐらい、その異変は大きくなった。
はっきりと聞こえる程、ゴゴゴッて大きな音がして、それは次第に足元から揺れを感じれるようになっていく。
地面が揺れてるってわかった時には、立っていられない程の大きな揺れになっていた。
---[02]---
さっき、ちょっとだけ聞こえていたみんなの叫び声がさらに大きくなったけれど、それをかき消そうとするように地面の音が鳴り響く。
長いような…短いような時間、あたしは怖くて声も出せずに目に涙を溜めてお母さんにしがみつくばかり、お母さんも覆いかぶさるようにあたしを抱きしめて、呪文みたいに、大丈夫、大丈夫、て呟き続けた。
揺れが収まった頃、大人の男の人が最初に声を上げる。
『村長! 様子がおかしいぞ!』
祈りとかをするために広場に集まってた人たちの視線が、一斉に村長に向けられる。
『まずは落ち着かんか』
すごく焦ったような表情で額から汗を垂らしている男の人、村長の所に行こうとしてもうまく歩けずに足をもつれさせて転ぶ。
---[03]---
『みなの気持ちはわかる。こちらも同じ思いじゃ。しかし、今、この場にまともに動けるもんがいると思うのか? 向こうで何が起きているかはわからんが、今の状態では…』
声を上げた男の人の説得をしていた村長の口が止まる。
視線を山の方に向けたまま、普段閉じているような目を黒目がやっと見えるぐらいに見開いて…。
『みな伏せ…』
村長が口を止めてから、そう叫ぶまで一瞬だった。
しかし、それを言い終わるよりも早く、突風なんてレベルではない大きな衝撃が山の方から襲い掛かってきて、みんながその風に薙ぎ倒され、それだけで収まらずに、まるで蹴られた球みたいに地面を転がらされた。
---[04]---
地震とは違ってそれは一瞬で終わったけど、村を囲っていた柵はその風で倒されて、山側にあった家は傾き、中には瓦礫になってるのも…。
『みな大丈夫か!?』
舞い上がった砂ぼこりのせいか、周りからゴホゴホって咳きをする音や、痛みを訴える声が聞こえてくる。
村長の声に、まばらながら答える声もちらほらと聞こえ始めた時、お母さんの大丈夫?…という問いかけに頷きながら、あたしは仰向けに倒れたまま空を見ていた。
意識がはっきりしていくと、だんだん気分が悪くなっていくのを感じる。
その原因が何か、それに気づく前に空を見ていた私の目に何かが映った。
さっきまでちらほらとあった雲がなくなった空。
青くまばゆい空に、黒い何かが映った。
---[05]---
鳥よりも大きくて、鳥のように翼を羽ばたかせて飛ぶ何かの姿を…あたしは見た…。
進むにつれて違和感を覚え始めた。
澄んでいた空気は、臭いこそしないけれど、淀んでいるというか、濁ったようなモノに変わっている。
王都のお祭りの時も似たような感じはあるけれど、それとは比にならない程に濃く、これは気分を…体調を害する程だ。
後ろを走る私からは、前を走る彼の状態をうかがう事は出来ないけど、これが日常茶飯事で、祭りが行われる度起こっているのだろうか。
彼は何も言っていなかったけど、もしそうなら今まで村のお祭りに参加していた者達は何も感じなかったのだろうか。
---[06]---
そんな濁ったような感覚とは別に、何か大きな存在に押さえつけられているかのような圧迫感も感じる。
そして、そんな状態のまま、馬を休ませる頃合いになっても彼は止まる事なく進み続けた。
今まで通ってきた平原とは違って、林が至る所にあり、村らしきモノがあるであろう場所は、森の中と言ってもいい状態だ。
森の中にあるというだけだったら、自然豊かで心休まる場所と言えたかもしれないけれど、依然として続く不快な空気に、居心地の悪い圧迫感がさらにその濃さを増し、それらが何かの異変であると決定づけるモノが視界に入っていた。
私たちが向かっている方向、その森の先で黒い煙が天へと上っていくのが見えた。
大きなモノから小さなモノまで、いくつもの黒煙が上っていて、焚火をしているというには不自然な点が多く見て取れる。
---[07]---
いくらお祭りだからと言ってもそんな大げさに火を燃やす必要はないし、そもそも彼からはそんな事をするといった話を聞いていない。
彼への不信感が少し生まれつつ、私たちの馬車はその黒煙の方へと向かっていった。
不自然に木々や草花が同じ方向に傾き、私たちの進行方向から後ろにかけて強い風が吹いたかのような状態だ。
それも、草花の地面から抜け出てしまっていたりもして…、その空いた穴の土が乾いていない事から、そうなってからそう長い時間がたっていない事がわかる。
彼の住む村らしき場所、黒煙が上っていた場所の前まで来て、馬車は止まった。
前で彼が馬車を降りる姿が見えたので、私も馬車を降りる。
いろいろと聞きたい事もあって、少しだけ馬の調子を伺いつつ、すぐに彼の方へと向かったけれど、すぐにその足を止めた。
---[08]---
異変が起きている、それは分かっていた事。
だから気づいてからは警戒を怠る事はなかった。
もしかしたら、彼もグルになって何かを仕掛けてくるかもしれない、そんな事も少しは頭を過った。
村の前まで来てもなお感じる事のない人の気配。
それが尚更悪い考えの証明になるとも思ったけれど、それもすぐに無用な事だと分かる。
村の状態、それを見て私は言葉を失った。
毎年恒例、いつものように村を出て、いつものように帰ってきた。
---[09]---
人手が足りなかったり、魔物に襲われたり、問題はあったが時間とか荷物とか、そういったモノにはなんの支障もない。
なのにこれはなんだ。
村を出る前とは桁違いな程、この空間には魔力が満ちている。
魔法に一切関わりのない人間でも気付く程に魔力が満ち、魔法使いである俺としては、過剰に魔力を感じ過ぎるせいで吐き気を覚える程に気分が悪くなる空間。
そして、自分が生まれ育った村も、出て行った時とは違い、見る影もなくその姿を変えていた。
村を囲う防護柵は倒れ、家は傾いたり…倒壊したり…見るも無残な状態だ。
だが、それは地揺れがあった訳だし、こちらでも起きたのなら、それが原因という可能性が無い訳じゃない。
---[10]---
もしそうなら、俺が感じた揺れよりも大きな揺れが襲った、それだけで解決できる。
だが見る影もないという理由は他にある。
多くはないが、魔法を使った跡が見て取れる。
そして一番目を引くのが、村の至る所が黒く焼け焦げ、何故かそこから見覚えのない草花が多く姿を現している事だ。
焼けたばかりという事を証明するように、その焦げた地面からは煙が上がっている。
もともとそこに草花があった訳ではなく、それはまるで焼けた地面から新しく生えてきた、そんなようにも見えた。
完全に燃え尽きて炭となった家の部分から地面同様草花が生え、長いツルが炭になった柱に巻き付き、火の近くまで伸びているというのに、それは燃える事なくその異様さをさらに際立たせている。
---[11]---
空に上る黒い煙、家が燃え、それだけなら火事だが、どう見てもただの火事ではない。
何より、村がこんな状態になっているのに誰の気配もない、人気というモノが一切ない。
そしてこんな村の状態を見ていると、嫌でも視界にちらほら入ってくるモノ、真っ黒く焼け焦げて、他と同じくそれからも草花が生えている。
そんな普通ではありえない状態だから、その存在、それが何かという事、頭に出てくる答えを何回も否定した。
『サグエさん? 大丈夫ですか?』
そんな時、後ろから譲さんが話しかけてくる。
---[12]---
「ああ…。俺はな。そっちこそ大丈夫か?」
彼女が声をかけて来たのは丁度良いといってもいい。
今の状態で考えをまとめていても、出て来た答えを否定する連続でただの袋小路だ。
少しでも冷静になるためにも、彼女との話は良い薬…息抜きになるだろう。
「私ですか? 正直、気分は優れないというか、体に怠さを感じます」
「そうか…。この辺一帯…というか、ここに来るだいぶ前からだが、魔力の濃度がかなり濃くなってる」
「やっぱりそう…ですか…」
「こんな事初めてだ。少なくとも俺が記憶している限りはな」
「それとこの場の状況は…。聞くのは心苦しいのですが、ここが…」
「・・・俺たちが目指していた場所。俺の村だ」
---[13]---
「そう…ですか…」
余計な事を言ってしまった、とでも思っているのだろうか、譲さんはそれ以上何かを言う事はなかった。
「とりあえず中に入る。ここで話してても埒が明かないしな」
俺は譲さんの返答を待たずに村の中へ入っていく。
乗ってきた馬車の事が頭を過ったが、今の状況ではどこにいたって危険だ。
これだけ魔力が満ちていたら、村周辺の結界が生きていたとしても効果を発揮しないだろうし、後はこの近くに来た魔物に見つかるかどうか。
それに対しての最善の策なんて思いつかん。
どこかに馬を繋げておくにしても魔物に見つかれば終わる、魔物から逃げられるよう馬車から放しておいたとして逃げられたら俺たちの足が無くなる。
---[14]---
できる事なら馬小屋に入れておきたいが、ここから見えるソレは倒壊こそしていないがそれなりの傾きを見せていて、魔物以外で危険を伴う。
正直、魔物が来ないようにと願う以外の選択肢なんて無いように思えた。
周囲の警戒はしつつも、隠れる事はせずに村に入っていく。
慌てる事もなく、ただわかりきっている答えを確認していく作業だった。
草花が無駄に生えてしまっているせいで見落としていたが、村の広場を含めほとんどが焼けている。
部分部分という話ではなく、まるで広場全てを使った焚火でもしたかのような惨状だ。
そして、さっきから視界に入っていたそれらを見下ろして、何と言えばいいかわからない感情が込み上げてきた。
---[15]---
それは、人…、ツルが絡まり、燃えて真っ黒な炭になり果てた人だった何か…。
今、自分の目の前にあるそれは大人が盾にでもなるかのように数人の子供に覆いかぶさっている状態だった。
それ以外にも、村に入った事で草花まみれになったそれらが視界に入ってくる。
見えているだけでその数は10を超え、どれもこれも真っ黒なせいで、大人子供、男女の区別はできてもそれが誰なのかまでは判断できないモノが多い。
「魔物魔人の仕業にしても…襲われた跡がこんな状態になっているのは見た事がありません」
俺のすぐ近くの死体に触れながら、譲さんは淡々と答えた。
「まだ熱い、この村が襲われてからさほど時間は経っていません」
「・・・そうか」
---[16]---
「何をするにしても、この状況、私たち2人の手に余りますね」
「こっちよりもあんたの方がどうするか決めておいた方がいいんじゃないか? 俺があんたに頼んだ内容は荷物の運搬に対する人手だけだ。そっちの目的は村の祭の見る事、片方は最後まで責任を持ってやり遂げてくれたけど、もう片方はこんな惨状だ。あんたがこれ以上ここにいる理由は完全になくなっていると思うけど?」
意地悪が過ぎる言い方だ。
それだけ感情の制御ができていないという事らしく、言ってから俺は後悔の念を抱く。
だが言われた事など気にしていないのか、立ち上がった彼女は表情に怒りと言った負の感情を一切見せず…声色も変えずに続けた。
「確かに契約…というか約束ではそうですが、忘れてませんか? そもそも私はこの国を守る騎士の1人ですよ? この状況を見て何もせずに帰れる訳がないでしょう」
---[17]---
「・・・」
「まずは状況を確認しつつ生き残った人がいないかを探しましょう。現状、私達ができるのはこれぐらい。その後の事はそれが終わってからでも遅くはないです」
ぐぅの音も出ない正論だ。
自分でもわかっているはずなのに、改めて相手から諭されている自分に怒りを覚える。
「そう…だな…。悪い…」
「いえ。こんな状況では冷静でいる方が無理というものです。さあ、まずは手足を動かしましょう。幾分かは気も紛れます」
ぽんっと俺の肩を叩いて、彼女はさらに村の奥へと進んでいく。
叩かれた部分に手を当てて、経験の差のようなモノを、身を持って感じる事になった。
---[18]---
最初に建物外に生存者がいないかを見て行って、明らかに死体と村の総人口が合わない事に気付く。
考えられる答えは、逃げたか、魔物が持ち去ったか…といくつか思いついたが、村の中の捜索で手一杯で、譲さんからも手が足りないと言われてしまった。
それからは俺が死体を集めつつ、譲さんが火事になっていない建物の中を探していく。
突発的な近接戦で、魔法と剣では後者の方が、危険が少ないって判断だ。
剣の腕は…、言うまでもなく彼女の方が上だろう…、俺自身それで納得している。
それに、死体の数とか、元々の村人の数とか、人関係は譲さんより俺が適任だったという事もこの分担になった理由の1つだ。
といっても、こうやって目に見えた死体を集めてみてもやっぱり誰が誰だかわからん。
---[19]---
こんな芸当、そこらの魔物ができるとは思えないし、人の手でやるにしても、ただ火をつけるだけで相当な手間だろう。
そもそもこの村の人間が、そんじょそこらの魔物なり人間なりに後れを取るとも思えない。
いっその事、村をこんなにした奴に、自分がやりましたと名乗り出てほしい程だ。
力量の差はあるかもしれないが、そいつの顔に傷でも負わせてやらないと、この胸に空いた喪失感という穴が埋まる事はない。
それが例え自殺行為だったとしても、相手が目の前に出てきたら理性なんて一瞬にして蒸発するだろうさ。
ガタッ…。
死体集め、言葉としてはあまりにも気分を害されるモノだが、そのほとんどが真っ黒な人の形をした炭と化しているのと、できる限り意識をそちらに集中させないようにする事で、思いのほか嫌悪感は感じなかった。
---[20]---
これが元は知り合い達だったという事も不快感を感じさせない効果の1つだろう。
知り合いだからこそ、ちゃんと弔ってやらねばという使命にも似た感情に動かされている。
そうして魔法で死体を動かしている時、近くの家で物音が聞こえた。
その家は倒壊していて、その上火事で半焼状態、火は消えずに今も燃え続けている。
正直中に人がいたとしても生きているとは思えない。
俺は死体の移動をやめ、できる限り音を立てずに剣へと手を伸ばした。
燃えた家が崩れただけか…、そう思いもしたが、万が一という事もあって念の為にその家へと近づいていく。
少し離れた距離からでもわかっていた熱気が、当然だが近づく事でより熱さを増し、そこにいるだけで自分の皮膚を焼かれて徐々に痛みを覚え始める。
---[21]---
近づくだけでこれだ。
完全に生存者という単語は頭から消えて、俺は何かからの攻撃に備えて直剣を抜く。
瓦礫や家を焼く炎の隙間からその中を覗き込むと、天井が焼けたために落ち、そこから入った光で、中が難なく見える状態だった。
何が出てくるかわからない緊張から、自然と息を殺す。
だが、それもすぐに必要がなくなる。
視線がある一点に向いた瞬間、持っていた剣はその場に落とし、燃えて火が襲い掛かってくるのも無視して、家の中へと飛び込んでいた。
火が消えたばかりでまだ高熱な瓦礫、俺は我を忘れたかのようにその中に素手を突っ込んでは退かしていく。
---[22]---
もっと良い方法は無いか…、そんな事は頭から締め出されていて、中に残っていたのは藁にもすがる思いと、無事でいろ…という願い、ただそれだけだった。
視界に入ったモノ、中は焼けて崩れた家の残骸と、燃えていないモノを次々と焼いていく炎、でもそんな場所にも希望はあった。
黒く焦げた瓦礫の中に、人の手が見えたんだ。
それも他の死体とは違って炭になっていない手だ。
もしかしたらと…、薄い望みにすがる。
「カヴリエーレッ!!」
他で生存者を探している譲さんを呼んだ。
とっさの事で呼び方なんて気にせずに、パッと頭に思い浮かんだ彼女の名前を叫んだ。
---[23]---
重い瓦礫を何とか退かし、その下にいた存在の姿があらわになる。
そこにいたのは女性と女の子の2人。
女性が女の子に覆いかぶさるような形を取り、見えているだけでも女性は背中や足、後ろの大半を焼かれた状態で、女の子も酷い火傷が見えるが女性よりも幾分かマシな状態だ。
そしてなにより、その2人はよく見知った存在だった。
俺は残った瓦礫を退かす最中、意識のない彼女達の名前を叫ぶ。
「ジョーゼッ! 姉さんッ!」
毎朝俺に挑んでくるジョーゼ、あの元気な姿しか想像できない少女が力なく倒れ込み、その母親である姉さんは必死に娘を守ろうと自らを盾にしていた。
俺は生きているのなら返事をしてくれと、熟睡した人間でも起きる程の大声で、叫ぶように声をかけ続けた。
---[24]---
そんな俺の声に反応するかのように、姉さんから言葉にならない声が零れ落ちるかのように漏れ、その僅かな声が俺にとっての力になった。
無我夢中で瓦礫を退かす中で、燃え盛る火で焼けた皮膚の痛みも無くなり、普通なら重くて魔法を使うモノさえも、一人で持ち上げて行く。
「サグエさん!」
譲さんがこちらに着く頃には、瓦礫を完全に退かし終え、2人を今もなお燃え続ける家から引きずり出していた。
「女性の方を馬車へ、女の子の方は私が」
こちらの返答を待たず、譲さんはジョーゼを抱きかかえて村の入口へと走っていき、俺は来ていたローブを脱いで姉さんに羽織らせると、できるだけ慎重にかつ急いで譲さんの後を追った。
---[25]---
片方の家具の乗った馬車へ行き、乗せてあった家具を半ば強引に投げ捨てるようにして外に出すと、そこへ野営用の布を敷いて2人を横にする。
ジョーゼの方は、姉さんが魔法で火から守っていたのか、あの中にいて衣類が燃えずに残り、顔や足、腕と言った部分的に火傷がはあるが命に別状はないように見える。
問題は姉さんの方で、衣類はもはやその意味をなさず、あらわになった肌のほとんどが焼かれ、その肉を焼いた臭いが鼻へと届いていた。
「譲さん、あんた魔法で人間の治癒をやった経験はあるか?」
「いえ。応急処置などは一通り熟せますけど、魔法の治癒はできません」
「わかった。じゃあ女の子の方を頼む。向こうの馬車に薬草とかも積まれていたはずだから持ってきてくれ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます