第6話 トイレのドアをガチャガチャする心理

 コンビニとかデパートとかの公共トイレで用を足している時、鍵が閉まっているにも関わらずドアをガチャガチャされた方は少なからずいると思う。鍵がかかっていることなんか色表示でわかるのに何でガチャガチャされるのか、腹立たしいと感じた方もいるだろう。時折「誰か入ってる!」と聞こえよがしに言う人もいて、あれには正直私も怒りを覚える。


 しかしガチャガチャする人の立場で考えてみると、そうする心理はわからないでもない。もうそこまで来ていて溢れ出そう、というレベルまで来ていると、トイレで用を足している人の気持ちよりも自分のことしか考えられなくなる。いい年した大人が決壊させてしまったら、文字通り人生に汚点を残すことになる。幼児期でお漏らしするならともかく、大人になってからやらかしたら棺桶に入る直前まで忌まわしいトラウマとして心の片隅にこびりついてしまうに違いない。ましてや、お外で漏らしたら家まで汚れたままで帰るはめになる。その恥ずかしさたるや市中引き回しと同じかそれ以上のものである。


 トイレをガチャガチャするのは、「社会的に死にたくない」という一種の生存本能が働いているためであろう。

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