第24話 丁寧な死体処理

 母屋の方に行って、鎖島さんにも、「堕ちてきた者達」に襲われたこと、井の頭公園で見つかった足は、「堕ちてきた者達」の仕業だとルフォンさんが言っていたことを伝えた。

「生贄の残りをゴミ箱に捨てたのかもしれないな」

 冷静な反応で返された。

「この日本で生贄ですか。そんなことまでしているのですか」

「あいつらのやることはどんどんエスカレートしている。本当にいかれたやつらだ。しかし、随分と雑な死体処理してくれるぜ。お前もぼさっとしていると、ゴミ箱から発見されるぞ」

「丁寧な死体処理とかあるのですか?」

「山に埋めたり、酸で溶かしたり、うなぎや豚に食わせたり、色々あるぞ」

 下手に逃げ出そうとしたら、僕もそうなるのかな。

「とにかく、此原、僕を保証人にしていなくなった此原が、悪魔教団に捕まっているかもしれないんです。全面戦争するなら、早めにお願いします」

 鎖島さんは、僕の発言に苦笑いした。

「過激なことを言うなあ。お前に言われなくても、やるときはやる。ただ松崎は要塞みたいな家からほとんど外出しない。元自衛官の用心棒も待ち構えている。そう簡単にはいかん」

「元自衛官って、なんか凄いですね」

「自衛隊に残れるのは幹部だけだ。残りは除隊して再就職だ。就職先がみつからないで裏家業にくる奴もいる。「堕ちてきた者達」にいる郷崎ごうざきという奴は少し違うけどな。郷崎が自衛隊にいたときは、災害救助なんかで活躍したエリートだったらしい。富士山麓墜落事故で、松崎を救助したのも郷崎だ。それがどう間違えたのか、今じゃ悪魔教団の手先。何があったのかは知らないが、郷崎は危険な奴だ。奴に狙われたらお終いだと思え」

 松崎と郷崎の間に、何があったのだろう。悪魔に魅入られてしまったのだろうか。

「とにかく気をつけろ。悪魔教団は密かに広がっている。芸能人やスポーツ選手にも教団員はいる。どこに潜んでいるかはわからない。気付いてみたら、バラバラにされているかもしれないぞ」

 気が沈んだ。自分の身ももちろん心配だが、此原もかなり危険な状況にあると言えるだろう。死んでいるなんて考えたくない。とにかく無事でいてくれ。

「猛さんにも無茶させるな」

 そう言って鎖島さんは、話を終わらせた。

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