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それはあたしが16になる頃だった。

学校の先生が買春で捕まった。相手はあたしのクラスメイトだった。

すごく清楚そうで、男の人なんか知りません、みたいな顔してる女の子が花を売ってたと聞いて、あたしはぽかんとしていた。

__なんだって、そんなことしたんだろ。

花売りだった女の子は、そのままカウンセリングを受け始めた。なんだかすごく被害者みたいに扱われてて、ずっと不思議だった。

__痛かったなら、やめたらよかったのに。

そういう痛くて悲しいことは、痛さも悲しさも感じない人に任せればいいのに。

けれどそうじゃないのだと、その女の子は言っていた。

「わたし、愛されたかったの」

愛されるって何なんだろう。どうしてそんなに痛いこと、受け入れてまで求めたんだろう。

ああでも、と。あたしは花売りの女の子の、悲痛に泣きじゃくる顔を見ながら思ったものだった。

何かに飢えるって、きっととっても痛くてつらいんだろうなぁ、と。

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