2
それはあたしが16になる頃だった。
学校の先生が買春で捕まった。相手はあたしのクラスメイトだった。
すごく清楚そうで、男の人なんか知りません、みたいな顔してる女の子が花を売ってたと聞いて、あたしはぽかんとしていた。
__なんだって、そんなことしたんだろ。
花売りだった女の子は、そのままカウンセリングを受け始めた。なんだかすごく被害者みたいに扱われてて、ずっと不思議だった。
__痛かったなら、やめたらよかったのに。
そういう痛くて悲しいことは、痛さも悲しさも感じない人に任せればいいのに。
けれどそうじゃないのだと、その女の子は言っていた。
「わたし、愛されたかったの」
愛されるって何なんだろう。どうしてそんなに痛いこと、受け入れてまで求めたんだろう。
ああでも、と。あたしは花売りの女の子の、悲痛に泣きじゃくる顔を見ながら思ったものだった。
何かに飢えるって、きっととっても痛くてつらいんだろうなぁ、と。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます