第268話本妻

「その手があったのか」


「わたくしも失念してましたね」


「ウチも考えが足らんかったわ」


いきなり、3人が騒ぎだした。


「どういうことだ?」


俺にはさっぱりわからない。


「だって、一緒に鐘を鳴らすほうが、正妻っぽいでしょ? 森の賢者であるボクとしたことが」


「ウチも哲学者の子孫やが、気が付かんかった」


「確かになあ」


俺としては、そんなことはどうでもいいんだけど。


そもそもだが、俺は正妻なんていらないし。


「じゃあ、どうするよ? くっつく場所を変える?」


密着されてうれしいのに、離れてしまうのは嫌だが。


「ウチとしては、よしかが正妻でいいと思うで。なにせ、婚約者やからな」


「いやいや、ここは一樹との付き合いが一番長いボクでしょ」


「それをいったら、わたくしなんて10年くらい前からのお付き合いですが」


俺にくっついたまま、争いを始めてしまう3人。


「俺としては、そんなことはどうでもいいんだが」


ハーレム建設を願えれば、それでOKだ。


「アンタは黙っとき」


「嫁が正妻なのは当然だよね?」


「お兄様には分からないかもしれませんが。これはとても大事なことなのですよ」


なんか、3人の声が怖い。

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