第247話懸念

「残りはサーシャだけか」


関わった女の子への疲れを感じながら、俺はつぶやいた。


海の向こうから侵入してこない限り、そうなるはず。


同じヒロインの2回目イベントなんて、同じ夜に起きてはならない。


「しかし、サーシャだぞ」


専用機を渡された少しあとにデートをしたりしたが、基本的に不愛想な少女である。


精神系魔法で操られない限り、自分を安売りすることはないだろう。


今夜はこれでおしまいだ、と安心しかけた時である。


「少しいいだろうか?」


来るはずのない銀髪の少女の声が聞こえた。


どうやら今までの女の子のように、扉の前にいるらしい。


「どうなっているんだ?」


このホテルの中に知らない魔女が潜んでいて、いつの間にかサーシャを洗脳していたのだろうか?


それだと、ほかのお女の子も一緒にされている可能性があるな。


下手すると、全員が何者かにNTRされてしまう。


「お前と少し話がしたいんだ。いいだろ?」


俺が無視していると思ったようで、催促してくる。


「ああ、もちろんだよ」


そう言いながら、部屋の鍵を開けた。


洗脳されていても、いきなり攻撃されたりはしないと信じて。


銀髪の軍人に変わった様子はなく、いつもと同じように見えた。


「それで、話ってのはなんだ?」


いざとなれば、いつでも逃げられるように、身構えて話しかける。


本当に洗脳されていたら、絶対に助けてやるからな。


「話と言うのは、私の家族のことだ」

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