第226話対決

「お姉さまから、お話はうかがいました」


先輩が協力してくれたおかげで、またもののはと会えることになった。


とはいえ、家に押しかけれないので、近くのホテルに部屋を借りたのだが。


今回は誰も連れてきていなく、俺一人だけである。


「仮にあなたの主張が真実だとして、それが何なのでしょう? 後継者を選ぶのは、あなたでもお姉さまでもなく、おばあさまです」


俺がケチをつけようとしてると思ったのか、こんなことを言われる。


「そんなことは分かってる。ただの婚約者が、後継者争いに口出ししないさ。ただ、お願いしたいだけさ」


「なんでしょう?」


先輩そっくりにつり目で俺をにらみつけてきた。


「以前話した、関西で活動中の魔女2人を覚えているか?」


「愛人の方でしょうか?」


目の前の陰陽師は、わざとらしく首をかしげる。


ばっちり覚えていたようだ。


「愛人ではないけど、その2人だ。彼女たちの仕事を、潰さないでほしい」


「どうしてですか?」


「2人が困ってるからだけど」


当然のことをどうして聞くのだろう?


「そういうことではなく、それがあなたにどういうメリットがあるのかです?」


「メリットなんてない。困ってる相手だから、助けただけだが」


いまいち言われてる意味が分からず、俺は困惑する。


「本気で言っているなら、あなたは魔女の世界では受け入れられないでしょう。お姉さまは、とんだ男性を見つけた」


「どう思われようが、俺は俺のやりたいようにしかやらないさ」


「では、その提案をお受けしましょう。くれぐれも流言を流さないようにしてくださいね。」


こうしてののはとの話し合いは終わった。

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