第227話終決
『それで、上手くいったんですね』
「ええ、先輩やみんなのおかげで」
どうやら、先輩が賀茂家の後継者にならなくても2人は潰されないようだ。
方便の婚約者には荷が重かったが、解決できて本当によかった。
『一樹君も欲がないですね。あの子を脅せば、借金のいくらかは返せたのかもしれないのに」
「そんな方法では嫌なので」
俺が向き合わないといけない、家族の問題である。
卑怯な手で稼いだところで、母親が喜ぶとも思えないしな。
『そんな一樹君なので、おばあ様も信用したのでしょうね』
「そう言ってくれてうれしいです」
先輩の婚約者になれて、本当によかったよ。
このロリはそろそろ、攻略できるんじゃないの?
『実をいうと、外国に行くのが上手くいかなそうなんです。どうやら、あいつ等のせいみたいですね』
「賀茂家に対する、妨害ってことですか?」
御三家はお互いに先制しあい、どこか一つがとびぬけた力を持たないようにして成り立っているらしい。
先輩がこれ以上活躍することを、最後の一角は許さなかったようだ。
『ですので、せっかく開けておいた予定が、ぽっかり空いてしまうんです」
「それってもしかして……」
誘われてるのか?
性欲の塊みたいな俺にするってことは、そういうことだよな?
『ええ。こんどみんなで旅行にいきましょう』
「二人だけじゃないんですか?」
いい体験ができるかもと、期待したのに。
『当たり前ですよ。私と君は、方便で婚約者になっただけですからね」
電話越しではあったが、先輩の笑顔が想像できてしまった。
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