第225話可能性

『金属疲労ですか?』


「俺はその可能性はあると思っています」


忙しい合間を縫って、俺の電話に出てくれた先輩に返答する。


ののはの弱点を探るため、俺はPCとにらめっこをして金属について調べた。


その結果、一つの可能性に行きつく。


「あれだけ自在に形を変えさせたら、金属自体がもたないでしょう。ぽっきり折れても、おかしくないはず」


『言われてみたら、その可能性はある気もしますね。陰陽術だって、万能なわけではないですし』


「本当だったら、先輩に対抗できるはずもないでしょう」


ミサイルが使い捨てとはいえ、先輩は専用機自体を使い潰しているわけではない。


予想通りならののはの専用機は、自分の魔法で操ったパーツがいつか壊れ、修理しなくてはいけなくなるはずだ。


そうなったらコスパが悪いと叩かれる先輩以上に、ののはは周囲から嫌がられるのだろう。


『私が直接見たわけではないから何とも言えません。とはいえ、何のリスクもなしに、強い魔法が使えるとは思えませんからね』


「もし事実なら、これを広めれば仲間は去っていくでしょう」


と言うより、風評でも悪いウワサが立てば、ののはは信用されなくなるだろうし。


仲間が減れば、実績のあるロリ先輩のほうが家を継ぐ可能性が高くなる。


「この勝負、十分勝算がありますね」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る